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10周年のその先へ

androp-10th Anniversary live-を振り返って

 1月11日と12日、東京、昭和女子大学人見記念講堂にてバンドのデビュー10周年を記念したライブが開催された。私は11日に参加した。彼らの音楽を初めて耳にしたのは2011年。ラジオでMirrorDanceを初めて聞いてからすぐさまネットでバンド名を検索した。今となっては良い思い出だ。
 
 この日はタイトルに「10年記念」と名付けられているからこそのセットリストと演出によってライブが進行していった。開演するとまずは内澤さんが一人でギターを抱えて登場。一瞬ほかのメンバーはどこへ行ったのか目を疑ったが、これこそが演出の一部だった。バンドが初めて音を合わせた曲 Image Wordを弾き語りし始めたかと思うと、曲が進むにつれ佐藤さんが登場。その後も伊藤さん、前田さんとメンバーが姿を現しバンドのグルーヴが完成していく。1曲目からバンド結成までの軌跡を物語るかのような心を掴まれるエモーショナルな演出。登場順は加入順に沿ったものだろう。その後はリリース順にアルバムのリード曲が披露されていった。序盤はステージに設置された四角い囲いの中で演奏。左右と天井にライトが設置されていて激しく光を放つ仕様になっていた。曲に合わせて、さまざまな色を放っていた。時にはメンバーが見えなくなるほど光が強調されることもあり、露出が控え目だったデビュー初期の事を彷彿とさせるワンシーンだった。産声を上げ、「いい意味で」内向きで独特な詞世界が初期のandropにはあったが時間の経過と共にリスナーに開けていくバンドの変化を表すかのようにその後も10年でバンドが紡いでいった曲が続々と披露されていった。過去に聴いた曲がいくつもあったがこの日は不思議と少しも飽きることが無かった。

 それは、「内澤さんのコンディションの良さ」と「楽曲のバラエティの豊かさ」によるものだろう。この日の内澤さんは今までで一番と言ってもいいくらいコンディションが良かった。裏声(ファルセット)を多用する曲も気持ちよさそうに淡々と流れるように歌いこなしていく。2年ほど前から、内澤さんは喉の調子を悪くすることが多くなり、実際にその場面を見ているだけにこの日も心配していたのだがそんな心配は無用だった。この日は本当に綺麗で神秘的とも言えるような歌声で、改めて彼の歌の上手さを実感した一夜だった。彼らのライブに行くと必ず音楽的な新しい発見がありそれが毎回楽しみだ。今回もロック、ダンスミュージック、バラード、シューゲーザー、など、さまざまなジャンルの音楽を聞かせてくれた。彼らはこれまでアルバム毎に音色を変えて変化を繰り返してきた。ここ数年はHikariを筆頭に歌を主軸としたアレンジの曲が多い。それは4人のスキルの高さを証明している。音数が少ないということはミスが非常に目立ちやすいリスクがある。だが、彼らはそれを淡々とやってのけている。10年の貫禄を感じずにはいられなかった。キャリアを総括する形で今までの楽曲が惜しみなく披露されたこの日のライブは間違いなく、11年へ向かうための総括だった。初期は心を開くことに消極的だった内澤さんは積極的に
ファンとコミュニケーションを取り、自然体でMCが出来るようになった。2013年、東京国際フォーラムで初めて彼のMCを聴いたときは物静かな印象だったが、今は全く異なっている。佐藤さん、伊藤さんはトレードマークだった髪型を変え、前田さんは他のアーティストへのサポートや、音楽以外のカルチャーと繋がりを持ちながら幅広い活動をするようになった。10年の間、様々な変化を繰り返し、転がり続けるandrop。バンドという形態にこだわりながらもジャンルレスな音楽を奏で続けている。この日最後に披露された新曲も刺激と面白みの溢れたもので今後がますます楽しみになる一夜だった。

 ライブから1ヶ月近く経った今でもセットリストの曲を聴くと鳥肌が立つ。それほどまでに心に印象に残ったライブは初めてだ。またすぐライブに行きたい気持ちが溢れているが、内澤さんが常々言っている「また、音楽で会いましょう」という言葉を胸に、遠くない未来にリリースされるアルバムを心待ちにしながら日々彼らと共に歩んでいきたい。

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