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変わらない変化を続けるTHE KEBABSのロックンロール

大ナナイト vol.128ライブレポートから紐解くこれから

 
 
今回がvol.128となった「大ナナイト」。この日は、会場となった高崎club FLEEZの16周年を祝した公演でもあった。
 
 

「今夜、THE KEBABSとハルカミライという二つのバンドが対バンすることは、いいライブになるのはもちろんのこと、今後の『ライブハウスの在り方』を変えると思っている」

という、主催者の方のコメントから始まった本公演は、熱気の中に確かな追い風を感じるものとなった。
そんな対バンライブの先攻、THE KEBABSのステージのライブレポートを以下記していく。
 
 

暗転したステージに入場SEを背負って登場したTHE KEBABSの4人。いつものごとく、Ba.田淵はバッタバッタと恐竜のような足取りで飛び出し、Vo.佐々木は飄々とした顔でビールを煽りながら登場した。

照明が一気にステージを照らして始まる一曲目は、ケバブスの自己紹介ソングとも言える「THE KEBABSのテーマ」だ。若干アウェーな雰囲気が否めない中、グッと会場の温度を上げる一曲となった。
続く2曲目は、一転してポップなイントロから始まる「THE KEBABSがやってくる」。軽やかなリズムが観客を魅了すると、そのまま暗転しギターヒーローGt.新井の鋭い演奏で続く曲は「恐竜あらわる」だ。様々な角度で観客を掻き回し魅了するケバブスの音楽に翻弄されていく。
殺人的なほどクールに決めたかと思いきや、MCになると突然ステージからはけた田淵がニコニコしながら缶ビール片手に戻ってきて、プルタブを開ける音をマイクに乗せた。ビールを煽る佐々木と田淵に観客からは「フゥ〜」と歓声が沸く。

「まだ僕ら、CDも出したことない新人なんですけど」

と佐々木は悪戯っぽい表情で告げた。こんな手練れの新人がいてたまるか!という思いもありつつ、これだけ自由にステージで暴れ回ることができるのは、もしかすると新人の特権なのかもしれない。

MCで佐々木は、今回が128回目となった大ナナイトについて触れ、

「128回も同じことをやり続けるなんて狂ってると思うけど、でも、何万回も同じことをやり続けるのがロックなんだ」

と告げ、主催者とイベントへのメッセージとした。

MCが明けて次の曲は「すごいやばい」。観客が一体となって飛び跳ねながら、王道ロックの「Cocktail Party Anthem」に続く。メロディアスなこの曲から一気に会場をパンクな雰囲気にしたのは「メリージェーン知らない」。この曲では、新井が裏声で女性の声真似をして「I’m not Mery Jane.」と歌ったり、メリージェーンという女性を探して回る歌詞の中で「バスドラムの中」というフレーズが聴こえたと思ったら、Dr.鈴木がバスドラムを激しく鳴らすなど、ただ格好いいだけではない、遊び心のあるギミックで観客を沸かせた。
鋭いベースのイントロで始まる「THE KEBABSは忙しい」は、佐々木と田淵のツインボーカルで披露され、毒々しいピンクの照明の下で半ば巻き舌になりながら叫ぶように歌う田淵の姿が印象的だった。

再びMCを挟んで続く曲は「台風ブンブン」。身を乗り出して歌う佐々木と、拳を突き上げながら「台風!」「ブンブン!」と叫ぶ観客の図、というものは、まぁ冷静になると奇妙な光景であるのだが、カッコよくて楽しければ問題ない!と手放しに称えてしまう魅力が、彼らにはある。
そして、「ジャキジャキハート」「枕を変えたら眠れない」と続いていく。ステージ上で暴れまわりながらも、観客一人一人と顔を合わせて、時には触れてしまうほど近くで鳴らして。きっとアウェーだったであろう会場の中で、知らない曲・よくわからない歌詞でも心から楽しめるのは、そうやって音楽で密なコミュニケーションを取ってくれるからだと感じた。THE KEBABSの音楽には、誰もついて来られないような獣のような強さがありながら、誰も置いて行かない寛容さが芽生えたように思う。

「枕を変えたら眠れなくなるから」

というサビで起こった大合唱。実のところ、私の前にいたお客さんはケバブスのライブが終わったあと、

「枕を変えたら眠れなくなるから、ってサビどういうことなの?(笑)」

と笑っていたが、「でも楽しかったからすごい良かった」と話していたのを盗み聞きして私はニヤニヤしていた。ケバブスの魅力はここにあるのだと確信した瞬間でもある。

「おねがいヘルプミー」では、マイクをずらしてステージ上を動き回る田淵、そのまま客の中に飛び込む佐々木、ともうはちゃめちゃ。激しく点滅する照明の中で観客のテンションも天井を打ち破っていく。
そして、鈴木のドラムに合わせて佐々木が

「踊れるやついるか
社長さんでもできる、ヒラでもできる、男でもできる、女でもできる…
猿でもできる!」

と叫んで始まった曲は先日MVが公開された「猿でもできる」。
「踊れるやついるか 猿でもできる」
だけで構成されたこの曲は、タイトルの通り本当に誰でも歌え踊れる曲なのだと思わず笑ってしまうほどの一体感が生まれる。
そんな構成の曲の中で際立つのが超絶技巧のギターソロ。新井のギタープレイを見ながら佐々木は「これは猿にはできないね」と笑っていたが、本当に饒舌で繊細でありながら力強いギターソロが映える楽曲だ。
「ガソリン」のサビでは「圧倒的に邪魔くせぇ」の大合唱が起こる。

「どうでもいいことを死ぬまでやる
どうでも良くないことをやるのはマジでどうでもいい」
 

という歌詞がケバブスの在り方だけでなく、音楽シーンもとい「ライブハウスの在り方」について考えていると述べた主催者からのメッセージへのアンサーなのではないかと、思い返すとそう感じる。
が、ライブを見ているときはそんなことを考える暇すらなく、ただ「圧倒的に邪魔くせぇ」の波に飲まれていた。

そして最後の曲は、二度目の「THE KEBABSのテーマ」だ。
1曲目で披露したときと比べものにならない盛り上がりを見せたこの曲。特別に何か気を衒ったことをしたわけではなくとも、いつも通りギターソロでは佐々木・田淵が新井にちょっかいを出しに行き、鈴木の周りに集まって頭をブンブンと振り回す。
何度かTHE KEBABSのライブを見てきたが、これまでケバブスには「なんでもやっちゃうぜ〜」的なブッ飛んだイメージを持っていたのだが、この日のケバブスを見てそのイメージが少し変化した。
ブッ飛んだイメージが持つ刺激はそのままに、

「何言ってるかとか、何やってるかはよく分からないけど、そんなことはどうでも良くなるくらい楽しくてカッコイイ」

という、手放しにカッコイイと感じさせるロック、という形で洗練されていたように思った。これは(おそらくアウェーの)対バンイベントが彼らをそうさせたのか、それともバンドとしての形が徐々に固まりつつあるのか、今はわからないが今後もTHE KEBABSの「変わらない変化」に注目していきたい。

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