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あの日吐き捨てた言葉は「神様、僕は気づいてしまった」

縋っているものは偶像であることすらも気づいている私たちが

だから僕は不幸に縋っていました/神様、僕は気づいてしまった

Youtubeを惰性でスクロールしている指がピタッと止まった。

どちらが曲名なのだろうか。どちらがアーティスト名なのだろうか。

そもそも楽曲なのだろうか。そんな違和感が過ったのも束の間、気づけば目の前には真っ黒の画面。どうやら聴き終わっていたようだ。
そんな聴いていたことすら忘れるほどの感覚だった。

駆り立てられるように詳細を探れば、ボーカルの唯一無二の中性的なハイトーンボイスが魅力な4人組ロックバンドのようだ。

確かに初めて聴いた印象の一つには感じ取っていた。この脳裏に焼き付くような声は、どのバンドにも真似できない強い武器になり得るだろうと。

ただあの時感じた全身がよだつような何かに気づかされたような感覚。

それは間違いなく、神様、僕は気づいてしまったの歌詞とメロディーだった。

【だから僕は不幸に縋っていました/神様、僕は不幸に縋っていました】

『もはや音楽に期待はしちゃいない
 何も変わりやしなかった
 誰も変われやしなかった
 インチキ同然のガラクタなんだ』

待ってくれ。この言葉が乗っているのは「音楽」だぞ。
そこに私は非常に共感したことを覚えている。

学生時代からどこか悲観主義であらゆるものを斜に構えていた私は
友達も少なく、とても「充実」の二文字では形容できなかった。

その中で気分を上げたい、気持ちを切り替えたい時に寄り添ってくれたのは音楽だった。

悲観主義故にポジティブな楽曲・歌詞には惹かれず
いつも私の心を抉り取るネガティブな歌詞やメロディーだけが心を落ち着かせてくれた。

それがどこか自分を肯定してくれている、承認してくれているようで。

ただこの歌詞にもあるように、あの日から何も変わってはいない。
それでもこの文字を走らせている隣に流れる音楽はあの日と同じだ。
 
 

そんな彼らを追い続けて3年ほどになる。

彼らの名を世に知らしめた代表曲『CQCQ』
ドラマの主題歌だけでなく、映画、アニメと幅広く曲を書き下ろす。

そして気付けばSUMMER SONICやCOUNTDOWN JAPANといった大型フェスに出演するようになった
神様、僕は気づいてしまった。

彼らのライブスタイルは数多あるバンドの中でも異質である。
正体をくすませたまま、仮面を被り、ステージには紗幕が垂らされ、
こちらからは何かが動いているくらいの認識で精一杯。

しかしその異質感で飽和した空間が心地よかった。
まるで自分が謳っているような感覚に陥られる。
スクリーンに投影される歌詞の一つ一つが自分の言葉のように錯覚する。
自分の心がそこで音を、言葉を鳴らしているようだった。

神様、僕は気づいてしまった/ギター/東野へいとによると、
仮面を被るのは自分たちの思いが乗った歌詞をメロディーに
人の感情を始めとするあらゆる他要因を一切排除してクリアに聴いてほしいから。

ああなるほど。その思いは間違いなくここに届いている。そう確信できた。
今までになく、スッと読み込めた歌詞もメロディーにも辻褄があった。

昨年発表されたアルバム「20XX」
ボーカルの中性的な声、歌詞の一つ一つが
まるで自分の深層心理にあった言葉のよう。

そうだよな。そうなんだよ。と
頭を縦に振って涙を流しながら聴いた日を忘れない。
心から滲み出てくる黒く染まった感情が私を抉って止まない。
それなのにどこからか湧き出る爽快感、共感性。

もしもこの世に神様がいるとするならば
私は下を向いたままでこう言い放つ
「神様、僕は気づいてしまった」

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