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SSA ~Shomura Satoyasu Arigatou~

[Alexandros] SSAツアーファイナルDVD発売に寄せて

SSA。

埼玉県さいたま市に所在するアリーナ施設「さいたまスーパーアリーナ」の略称として、我々ロックキッズには馴染みのある3文字だ。

この場所が自らのキャリアのラストライブの舞台となった、1人の男が居る。
[Alexandros]のドラマー、庄村聡泰である。
 
 

私が[Alexandros]に出会ったのは、今から約5年前。メジャー1stAL「ALXD」発売後のタイミングで行われた、rockin’on JAPANの表紙巻頭特集だ。「ワタリドリ」は既に流行り始めており、気になった私は地元の図書館でJAPANを借りた。(あの時の自分、よくやった。)

彼に抱いた最初の印象は、「絶対、洋平よりオジサンだな」だった。ごめんなさい。
当時高校2年生だった私には、長いパーマの髪に口髭、ハットにサングラスという出で立ちは、スタイリッシュな他メンバーのビジュアルに比べて明らかにオジサンにしか見えなかったのだ。(あの時の自分、センスがない。)

しかし、記事を読み進めていく中で印象は一変する。
各メンバーが自らの半生を語る形で記事は進む。そうして読み始めた彼のパートで語っていた言葉の内容を、私は今でも忘れる事が出来ない。
「自分は輝けないから」と、彼は言った。
「輝ける人達を輝かせるのはドラムでしょ」「ドラムセットはコックピットみたいなイメージ」「洋平がどこまでも行けるように、見えないレールをドラムのビートで作って行きたい」ということを、彼は言っていた。
私は衝撃を受けた。「こんな謙虚なバンドマンが居るのか」と。抱いた「オジサン」イメージを一撃で拭い去るには十分すぎる内容だった。
その後アルバムを全て借りて聴き漁り、楽曲の素晴らしさに興奮を覚えると同時に、4人の人間性の素晴らしさも相まって、私は完全に[Alexandros]の虜になった。そして中でも、その謙虚さに心打たれた彼の事は、自分の中で特別な存在になった。
特集記事が好きすぎて、何度も読み返した。
気付けば、貸出期限はとうに過ぎていた。急いで返した。
図書館の人、あの時はごめんなさい。

その後の彼らの活躍ぶりは言うまでもないので割愛する。新曲が出る度に、そして世の中にそれが浸透していくのを感じる度に、喜びと興奮を覚えた。
 
 

時は流れ2019年6月16日、Sleepless in Japan Tourの最終公演。会場はSSA。
この時点では、彼自身これを最後にするとは決めていなかったはずで、他メンバーも、ファンも、その気持ちは同じだったと思う。同年4月以降の、腰の痛みによる活動休止からの復活のステージとしての位置づけだっただろう。ツアーファイナルで復活とは、なかなかに乙な事をするなと、当時の私もワクワクしたものだった。
結果的に最後となってしまったこの日のライブ。この場所に居られなかった私は、この場所に集う事の出来たファン達に、羨望の眼差しを向けずにはいられない。

意図しない形で組まれた「オリジナルメンバー4人でのラストライブ」の最後の歌は、再会を約束する様なこんな言葉で締め括られている。
「ワタリドリの様に いつか舞い戻るよ ありもしないストーリーを いつかまた会う日まで」

シンバル高めのコックピットに舞い戻る日を、我々ファンが、メンバーが、そして何より彼自身が一番望んでいたに違いない。

待ち望んだ「また会う日」が来ない事が現実となった今、私の心には悲しみが住み着いて、当分出て行ってくれそうにない。
しかし同時に、私は彼に、感謝の思いを止めずにはいられない。

シンバルの高さに象徴される、独特のドラムセット。
メンバー4人でのトークでは、彼独自のワードセンスで届けられる話の数々に何度も笑わされた。
MVに付属するオマケ映像、彼が担当する回は傑作揃いだった。撮影が終わってめでたい「city」、ゲロルを舞う「Starrrrrrr」、キック アーンド スピン!な「Kick&Spin」、たまに心が折れそうになる「Adventure」等々。
そして、手数の多い難解なリズムを淡々とこなすドラミングには、何度心を躍らされたことだろう。彼の刻むビートは本当に心地よく、音の楽しみを感じさせてくれた。
出会ってから5年間、高校から大学という青春時代ど真ん中の私に、彼は沢山の思い出をくれた。タビカサナル辛い時も、彼のビートがそばにあった。思い起こされる思い出の数々に、私はただただ感謝する以外の気持ちが見つからなかった。
 

SSA。
ラストライブの会場を示す3文字を見た時、私はふと思った。
SSA→Shomura Satoyasu Arigatou だ、と。
下らないと言うだろう、こじつけだと言うだろう。某総理の孫のパクりだと言う人もいるだろう。
その通りだ。
下らないし、こじつけだし、パクりだ。
しかし、こういう偶然に気持ちを躍らせてみるのも、「Well maybe it’s not so bad」だろう。

あたりまえじゃない「今」に、心からの感謝を。
 

庄村聡泰、ありがとう。
 

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