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優しさが生む孤独、孤独が生む優しさ

THE BACK HORNに支えられた人間の半生

長くは生きていけないと思っていた。

跳び跳ねる野性動物のように無垢で、獰猛なエネルギーを持て余していたあの頃。
THE BACK HORNに出会った。

何一つ分かっていなかったが、自分が世界の異端で、「排除されるべき」と判断されているのは認識していた。

孤独だった。

そんな時、そっと触れてくる音楽があった。
思わずCDを取り寄せ、購入した。

「人間プログラム」。
ジャケットもおどろおどろしい。
タイトルも不気味だ。

突き刺すようなギターから始まる、「幾千光年の孤独」。
暴力的な歌詞と演奏に、ほっとしている自分がいた。
もうその時には気づいていたのだと思う。

彼らが、牙を剥き出さねば解消できぬ孤独を感じていることを。
その底に、傷ついた分押し込められた優しさがあることを。

愛や恋についてを薄っぺらく何度も叫ぶ偽善者より、遥かに真実味があった。

自分の心の内側を言葉にして、叫んでくれている。
そう感じられた。

嫌なことがあった時はTHE BACK HORNを爆音でかけた。
ヘラヘラ笑って歩く他人を睨み付けながら、よく聴いていた。

幸せなんてないと思っていた。

何度も死を考えたが、その中の数回は、THE BACK HORNが踏みとどまらせてくれた。

生きなくてはいけなかった。

少しずつ世の中を知りながら歩み続けていく。
不器用な自分にも、手を差し伸べてくれる人間はたくさんいた。

若い頃、「偽善者」と、「ヘラヘラ笑って歩く他人」と、決めつけていた人間にも怒りや悲しみや、やり切れなさを抱えていることを知った。

あさはかな自分を恥じた。

たくさん迷いながら、一つずつ知っていった。

そばにはいつもTHE BACK HORNの音楽があった。
楽しい時にあって欲しい音楽ではなく、苦しい時にあって欲しい音楽だった。

彼らも異端なんだ。勝手に共感していた。

長い年月を経る中で、彼らの音楽も変容していった。
体の内側の孤独を泣き、叫んでいた彼らもまた、きっといろいろなことを思い、感じていたのだろう。

あの暴力的な世界を作り上げていたギターの菅波栄純が人一倍優しくて繊細な男だということを知った。
「そうだろうな」と思えた。

ふわりと優しい「トロイメライ」から始まる「リヴスコール」のツアーに、行くことを決めた。
音楽を聴き続けて八年ほど経っていた。

ライブは素晴らしかった。
と、言い切りたいところだが実のところよく覚えていない。
途中から、涙が止まらなくなり冷静さが全くなくなっていたから。

呆けた顔で帰途についた。

その後も彼らは変わり続けた。
苦しさから抜け出し、そこで振り返り、まだその中に残っている人間を救い出すような曲が増えたように思う。

「また生きて会おうぜ」。
いつからか、ボーカルの山田将司がMCで必ず言うようになった。

「THE BACK HORNらしい」言葉だ。
死がそばにあった人間が、死をそばに感じてしまう人間に言える言葉だ。

死にたくねえ。

また生きて、ライブに行く。

何度転んでも歩き続けた自分のそばに、守るべきものが増え続けた。

まだまだ迷いはあるが、THE BACK HORNの音楽があれば、続けていける。

また言ってくれよ。
「また生きて会おうぜ」って。

ツアーの再開を心から待っている。

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