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XIIX(テントゥエンティ)のすすめ

斎藤宏介と須藤優による34歳新人バンドのデビューに寄せて

UNISON SQUARE GARDENで、複雑なギターを弾きながら息継ぎがてんでない歌を涼しげに歌う、スーパー努力家斎藤宏介と、様々なアーティストのライブサポート、楽曲提供・アレンジ等で幅広く活躍する、めちゃくちゃベースの上手い音楽スペシャリストであるベーシスト須藤優が2019年新たにバンドを結成した。

二人は10年来の互いに信頼を寄せる友人だった。
 
 

XIIX、読み方はテントゥエンティ。
ローマ数字の10、2、10を並べて1020を表す。
しかし表記はアルファベットでX、I、I、X。

「バンド名を決めなきゃいけないぎりぎりの日が10月20日だった」
「”じゃあテントゥエンティでよくね?”って」

鍋をつつきながら決めたらしい。
なるほどそんな経緯からもこの二人の、バンドの関係性が見えてくる。

斎藤さんのこの発言に、「いいね」とこの独特な表記を考えたのが須藤さん。
後付けだが、Xの間のIIが二人に見えてお気に入りらしい。
 

もともとUNISON SQUARE GARDENのファンだった私。
斎藤さんの自主企画ソロイベントにも行ったことがあったし、
ソロでの活動も(音源化について)匂わせていたので
“バンド結成”には驚きがあったものの、これにはすごく楽しみだと思った。
 
 

―メジャーバンドのメンバーが別のバンドを組んだとなると、それはもちろんそこに注目される。

「ユニゾン斎藤がベーシスト須藤優とタッグを組んで新バンド結成!」
「ユニゾン斎藤が新バンド結成!」

“ユニゾン斎藤が”

間違ってはない。わかる。
でもそれって「ユニゾン斎藤とベーシスト須藤優で新バンド結成」じゃだめなのか?

…と思わせるくらいにはこのバンドがめちゃくちゃ本気の”バンド”だった。
 

要は、ユニゾンの斎藤さんがユニゾンメインとしながら、課外活動として、須藤さんを誘って別バンドを組みました、なんてことでは全くもって違うということである。

斎藤さんがソロ活動も始め、そこにアレンジャーとして須藤さん、でも全くない。

XIIXは斎藤宏介と須藤優による、2人組のバンドなのである。
(ちなみにバンドをやろうと声をかけたのは須藤さんの方らしい。)
 

そしてもちろん斎藤さんはUNISON SQUARE GARDENをないがしろにするわけではない。
「今までユニゾンに100%かけていたとしたら、今度はユニゾンとXIIX、どちらも100%ずつで200%、今まで以上に頑張っていく」ということを断言していた。

実際、2020年1月にリリースされたXIIXの1stアルバム<White White>は2019年1月~制作をしていたそうで、私はユニゾンファンとして、2019年のユニゾンをずっと見てきたが、その中で斎藤さんがユニゾンに全力を尽くしていないように感じたことは一度もなかった。むしろアニバーサリーイヤーで忙しなかったはずなのである。
多くの友人アーティストから”努力家”と称される斎藤さん。まさに”プロ”だと痛感する。
 

XIIXの曲作りに関しては現状2パターンあるそうで、
・斎藤さんが詞曲をし、須藤さんがアレンジをするパターン
・須藤さんがトラックを作成し、斎藤さんがそこに歌詞とメロディーを乗せ、さらにそれを須藤さんがアレンジするパターン
だそうだ。

特に2つめの手法だと、お互い思ってもみなかった返しがきてそれが楽しいのだそう。
二人とも個々の活動が忙しいが故、顔を合わせなくともできる曲作りであるようだ。
しかしそれがむしろXIIXの楽曲の面白さになっていると思う。
顔を合わせず自分だけで作るからこそ、自分のできるところまでやりきって相手に投げることができ、それを受けてさらに自分もやりきって返せるとのこと。
それぞれが自分の思う一番良いものを投げ合ってキャッチボールをすることで、にあんなに素敵な曲たちが生まれているのだなあと感心。
 

ちなみに須藤さんがライブサポートをしているアーティストは、米津玄師、ゆず、家入レオ、Superfly、aiko等…名だたるアーティストばかり。

「新人だけど、二人とも場数だけはあるからね(笑)」

…むしろこちらから言わせていただくと、玄人である。
 
 

そんな二人が2020年1月22日にリリースした、デビューアルバム<White White>。
「みんなに思われている、”このバンドはこんなものなのではないか”というものとはかけ離れていると思う。」そのまっさらな状態での音楽を示すアルバムタイトル。2人なのでこの単語を2回並べたそう。

収録曲は全14曲、アルバム1周45分。
1曲目を聴き始めると、気づいたら14曲目まで到達する。そしてまた1曲目に戻って再生ボタンを押している。この聴き心地のよさ。
人の集中力の持続と、通勤通学での聞きやすさを考え、45分で納めたかったとのことだが、これがまさにこのアルバムの、”すんなり聞けてしまう聞きやすさ”につながっていると思う。

14曲それぞれ個が強い曲ばかり。振れ幅がとても広い。
そして歌はもちろん、楽器の音を聴かせる曲が多いうえ、ギターソロだけでなくベースソロの存在感もすごく大きい。
何ならベースだけの曲、ベース+歌なんていう曲もある。
さらに、聞いてパッとわかる楽器以外の”音”もたくさんちりばめられており、そこに耳を澄ませるのもまた楽しい。
 

<White White>のアルバムジャケットにはホログラムが使用されており、
光の当て方によって色が変化するのがとても素敵なのだが、これがまさにこのアルバムのイメージにぴったりだと思った。

宝石みたいにキラキラした曲たちが14曲詰め込まれた、宝箱のようなアルバムだと、私は感じた。タイトルは<White White>なのに。開いてみたら、とても鮮やかだった。
 

リリースの翌週、1月27日と30日にそれぞれ東京と大阪にてXIIXの初ライブが行われた。
アルバムがリリースされるより先に発表され、チケットもリリース前にSOLD OUTしてしまうという異例のお披露目ライブ。

演者も客もお互い初めてのライブに、あの斎藤さんが「(緊張して)しゃべりすぎちゃった(笑)」とラジオの後日談で語るほど。
良い意味でゆるさのある雰囲気でありながら、演奏は流石の完成度であり、”ロックバンド”とは違った楽しみ方のできる、音楽同様に心地の良いライブだった。
さらに、ライブならではの演出もあり、とても感動してしまう場面もあった。

曲数がまだ少ないため、「すまんすまん」と言いながらもう新曲をやってしまうXIIX。
アルバムをリリースしたばかりにも関わらずもう次のアルバムのレコーディングを開始しているという。

「このライブはアルバムを聴かずにチケットを取ってくれた人たちが来てくれてるから、申し訳なくて。」
<White White>のアルバムライブは6月にも東名阪にて公演が決まっている。
 

私はリリースしてから1ヶ月以上が経っても<White White>の世界に浸かりきってしまい、なかなか抜け出せそうにない。
なんだか新しい世界に潜り込んでしまったようなのである。大空のような、深海のような、広くて先が見えないところに。
 

“ユニゾンとの比較”なんてものは野暮だと思えるくらいに、ただただXIIXが素敵なバンドなので、ぜひこのアルバムを一回曲順通りに一周してみてほしい。
XIIXのあまりに心地の良い新世界を覗いてみてほしい。
 

XIIXはこれから何色になっていくのだろうか。今から楽しみで仕方がない。
 

「どうかどうか
“彼ら”の今が いつまでも続くように」
 

XIIXのこれからに期待を寄せて。

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