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僕の生きる力の片隅に。

 〜吉井和哉「MY FOOLISH HEART」に寄せて〜

4年前、知人の旦那さんの訃報を受けて僕は泣いた。
外では何とか堪えていたが、車に入るや否や、止めどなく涙が溢れてしゃくり上げた。――――
 

その方には2度しかお会いした事がない。
でもずっとその知人から人となりを耳にしていて、優しく明るく素敵なその人柄に、人付き合いが少々苦手な方な僕も、珍しくとても会いたいなと思う方だった。

その理由のひとつに、その方とは共通点があったからだった。
それはTHE YELLOW MONKEY、ひいては吉井和哉の音楽が好きだという事だ。
お会いした事はないけれど、当時吉井さんが「GENIUS INDIAN」を展開していた頃で、そのグッズをご夫婦の結婚祝いの様な形でプレゼントしたのを覚えている。

そして遂にお食事をご一緒する機会に恵まれ、ようやくお会いする事が出来た。まさに彼は伺っていた通りの人柄で僕も直ぐに心を開き、何の無理もなくお話出来る事に安心感を覚えてとても嬉しかった。吉井さんの話になると彼は噛み締める様にその熱い気持ちを静かに語っていたその表情は忘れない。
更にはその後、吉井さんの武道館ライブにもご一緒させて頂く事が出来て、行った皆で盛り上がって「サイコーでしたね!!」と大興奮したのは素敵な思い出だ。。。
 

―――そんな事が頭の中で思い出されていた。
散々泣き喚いた後、その日僕は憔悴した心地の中で家に帰って音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンを耳に差し込みふと吉井和哉さんのソロ曲「MY FOOLISH HEART」を流した。
目を閉じて、どこへ向ける事も無い思いを馳せて。

「さざめくような心の中
あなたに出会ったんだ」

毛布みたいに優しく包んでくれるピアノの旋律と、吉井さんのフラットな、語る様な歌声が流れ始める。

「行かなきゃ 僕はいつか行かなきゃ
やるべきことのつづきに」

一体どこへ行ってしまったんですか。
やるべきことのつづきって…。

「一人かい僕はずっと一人かい
光が消えないうちに
もはや
生きるべきか 死ぬべきなのか
震えるな MY HAMLET HEART」

でも結局、本当の気持ちは、御本人にしか分からないな。そう思ったらグワーッと切ない感情が押し寄せギューッと胸が締め付けられる様な思いだった。

そしてこのフレーズが流れた。
「I FALL IN LOVE I FALL IN LOVE
ごめんなさい
そばで見守れなくて」

愛する妻と小さな子供を残して逝ってしまったその方の思いが本当に宿っている様で、本当に勝手だがそう感じて唇を噛み締めて、またやり場のない悲しみに嗚咽した。

そして連絡をくれた知人のメールの中には要約するとこんな様な言葉があった。

僕とライブに行ったこと、彼もきっとちゃんと覚えてるよ、と。
前に話した時に僕みたいな人合うんだよなぁって彼が話した事があった、って事も。

それは僕も同じです、と心から言いたい。
僕もあれだけ気兼ねなく話せる方とお会い出来たのが心から嬉しいです、1度でも吉井さんのライブを一緒に楽しめて最高の思い出でした、と告げたい。

こんな2度しかお会いした事ない人間を合うなんて言って下さっていた彼がもうこの世に存在しないっていう事が、本当に悲しくて受け入れ難い事実だった。
今でもこのメールを見ると涙が溢れる。
それはずっともう変わらずだ。

こんな場で綴るのも本当に失礼なのかもしれないが、彼が吉井さんを愛した気持ちを少しでも残したい気持ちになり、僭越ながら僕がここに駄文ながら綴らせて頂いた。
きっとこんな文章はその知人にも届く事はないであろうが、彼もいつか何処かでこの文を読んで懐かしんでくれたら本当に幸いだなという思いを込める。

あれから曲がりなりにも歳を重ねて、
大した事も成し遂げていない。
しかしまだまだ僕は僕の人生を全うし、
僕なりに輝く様に、弱くも強く、生き抜いて行きたい。
なげだすものか。
逃げ出すものか。

この歌を、
彼と僕の細やかな思い出に捧ぐ。

「決して
なげだすものか 逃げ出すものか
聞こえるか MY FOOLISH HEART
怯えるな MY FOOLISH HEART」
 

※「」内は全て、吉井和哉の楽曲「MY FOOLISH HEART」の歌詞より引用

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