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2017年8月3日

てっちゃん (22歳)

リンダ リンダのむこうを見にいこう

GEZANとTHE BLUE HEARTSとシティポップと

THE BLUE HEARTSといえば日本を代表するパンクロックバンドだ。
彼らは70年代のイギリスのパンクロックのサウンドに影響を受けたシンプルで力強いサウンドに、ストレートな日本語の歌詞を乗せ、一世を風靡した。

彼らの歌は、ブルーハーツのメンバーがそうだったように、鬱屈した青春時代を送る若者に向けられた曲が多く、
ステージを駆け回り、そんな歌を歌うその姿は、直撃世代はもちろんのこと 世代じゃない僕たちにも、またその下の世代にまで多大なる影響を与えた。

中高生だった僕たちは、その「どうしようもない自分」を肯定してくれるブルーハーツのVo.であるヒロトやマーシーに対して強烈な憧れとシンパシーを抱いた。
 
 

青春時代なんてものは、若さゆえの自尊心やプライドだけがドンドン膨れ上がる一方で、年を取ることによって自分が何者にもなれないただの凡人であるということに徐々にムリヤリ気づかされる時代でもある。

そんな自尊心と現実との狭間で、僕が僕であることを証明するために、「僕らのための音楽」であるブルーハーツを歌いまくった。
 
 

そうしてなんとか20代になり、
クソみたいな就職活動によって、自分が何者にもなれない凡人であることを完全に自覚させられ、
世間なんかは当たり前のように上手く渡ることが出来ず、あれだけ卑下していたオトナたちのズルを自分も使わざるを得ないようになるまでボロボロに打ちのめされた。

僕はヒロトやマーシーが歌うようにドブネズミみたいに美しくなれない、終わらない歌は終わった。このままダラダラと生きのばして死ぬ。そんな大人になるんだ。
 
 

そんな就職活動真っ最中に大好きなGEZANの新曲のライブ映像がYoutubeで公開された。
その歌はこんな歌い出しから始まる。
 

「おわらない歌がおわったから 暗闇なんだ 現在
リンダリンダ じゃもう 震えない こころ から 今はじまる」
 

僕はそれを聴いて、鳥肌と同時に涙が溢れでた。
ブルーハーツといえば僕の聖典であり、おそらく、GEZANのメンバーにとっても きっとそうだろう。そんな聖典を冒頭の、たったの2行で否定したのだ。
 

この歌はきっと、ブルーハーツが自分のためのものじゃなくなってしまった人への歌なんだ。

時代に飲まれて動く死体になった、それでも音楽は大好きで、
でも、いま流行してるシティポップじゃ満足できない。
あれだけ大好きだったブルーハーツはもう聴こえない。
じゃあ僕らはどうすればいいんだ?
 

2番目のサビでこう歌われる。

「リンダリンダのむこうを みにいこう
切れた弦で編む未来を エンドロールの つづきと」

つまり、現状に対して彼らが出した答えが
「リンダリンダ」や「終わらない歌」が終わってからの世界だ。
しかもそれは「現実」ではなく、「想像」だ。

彼らは曲中に何度も

「absolutely imagination imagination war」

と繰り返す。

そうだ、これは絶対的な想像なんだ。想像の戦争なんだ。

冒頭のMCでVo.のマヒトも言っている。
「この先も色々たぶんあると思うんですけど、想像力で全部超えていこう」

終わらない歌が終わったんだったらその先を想像力で切り開いていくしかないんだ。それはものすごく大きな希望だ。
 
 

GEZANは昨年、長年活動していたオリジナルメンバーのドラム、シャーク安江が脱退した。
彼らにとって「終わらない歌が終わった」象徴的な出来事である。

それまではずっとシャーク安江含むオリジナルメンバーの4人で活動していたので、バンドに大きな影響があるだろうな、と思っていた。しかし、ボーカルのマヒトは「もし一人になってもバンドを続ける」と言った。

続ける。続けるしかないんだ。
 

僕らがこの世界で正気を保っているためには、つらいことや、自分すらも超えてゆく想像をし続ける必要がある。終わらない歌が終わったならその先を想像し続けるんだ。
マヒトはいつだってそうだった。常に一緒に楽しいことをし続けようぜ、と発信し続けている。
 

学生最後の夏休みがやってきた。
もしかしたら就活決まらんとか卒業できないとか悲しい結末が待ってるかもしれないけれど、誰にも負けない想像力で、生き続けるよ。ありがとう、GEZAN。

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