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愛すべき日々に乾杯を

SAKANAMONの“ハロ”に思い出と感情を託す

ちょうどいい温度だったり、関係だったり
ずっとそこに浸かっていたいような気分になるとき
その気持ち良さと同じくらい、切なさを感じる。
多分、友達のままでいたいから告白しないという感情と近くて
どんなに現状に甘えていたくても結局は良くも悪くも変化していくことを先読みして切なくなるのではないだろうか。

SAKANAMONの“ハロ”という曲はこの感情を音にして、歌詞にして演奏しているのではないかと感じるくらい、暖かくて少し切ない。バラード調なわけではなく、ギターもベースもドラムもそれぞれがかっこいいアップテンポな曲調なのに、どこかノスタルジックな雰囲気がある。私は中学生の時に初めて“ハロ”を聴き、高校時代はいつもこれを聴きながら下校していた。その頃から聴く度に何故か暖かく切ない気持ちになっていたが、20歳を過ぎて余計にその複雑な感情に包まれるようになった。お酒を飲むようになったからだろうか、歌詞への共感度も高まって以前よりも鮮明に響いてくる。

≪歌ったりへばったり特にろくな事は考えちゃいないけど
君と笑ったり酔っぱらったりしていれば特に問題無いさ
もう一杯乾杯したいんだ≫

友達と少人数で飲んでいる時、他愛のない話をしている時、その心地良い空間に揺蕩っていたいと思う。
昔河川敷で花火をしたこと、旅先で迷子になったこと、何故か互いに気まずい時期があったこと。それらが懐かしいと感じられるようになって、酒のアテになっている。
ただの日常に過ぎないのだけれどこういった感情はなかなか表現するのが難しかったりする。そしてその感情を形にしてくれているのがこの“ハロ”という曲なのではないかと思う。

もうすぐ私は社会人になる。そのための準備や試験に忙しなく取り組んでいると、環境が変わることへの不安や周囲との比較による焦りなどで心が荒れてしまう日もある。そして過去の楽しかった出来事を思い出しては、あの頃に戻りたいと強く願うようになる。しかしよくよく考えてみると、その思い出の中には当時辛かった出来事や日がな一日悩み続けた問題なども含まれていて、「懐かしい」の力ってすごいなあと感心してしまった。いつかの自分がこの曲を聴いたときに、この葛藤や苦悩の時期を思い出して感傷に浸っているかもしれないと考えると少し肩の荷が下りるような気さえしてくる。今はこうやって自分を誤魔化していないと乗り越えられないくらい現状が苦しいけれど、未来の自分の「懐かしい」の中にこの時期の記憶がしっかり残っているように足掻いてみたい。

常に聴いている音楽でも、何か特定の思い出があったりタイミングによって感じ方が異なったりするものがある。きっとこれからも私の中の「懐かしさ」や「心地良さ」は“ハロ”に蓄積されていくのだと思う。年を重ねる毎に“ハロ”を聴くときの切ない暖かさは増していくのだろうか。変わらずに好きであり続けられる音楽があることを嬉しく思う。

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