3911 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

秋山黄色とわたしと元彼氏と。

モノローグの流れる夜に

8年半付き合っていた彼氏と別れた。

理由はよく分からない。 

こんな理由で別れることになってしまうような
そんな危うい関係が数年続いていた。

出会いは16歳。
それから8年と半年と少し。
彼はわたしの青春の全てだった。 

どの場面を切り取っても
わたしの青春時代には彼がいるのだ。
その事実が嬉しくも、時に足枷になった。

わたしたちは遠距離が長かった。
付き合ってからの半分以上を離れた街で過ごした。

それでも、わたしは彼が好きだったし
この先もきっと一緒にいるんだろうなと思っていた。

きっとそれは彼も同じだった。
それなのに、じゃあ何故。

わたしたちはタイミングが悪かった。
いつだってその気になれば近くにいくことができた。
それなのに、学業や仕事や環境のせいにして
それを避けた。

大事にしたいものがたくさんあったのだ。

大学生活を楽しむ彼を羨ましく思いながら、
わたしは看護学校で実習に追われる日々を過ごした。

一足先に就職して、社会人を楽しむわたしを
教員採用試験に苦しむ彼はどんな目で見ていたのか
それは分からない。

少しずつ、でも確実に私たちの歩く歩幅はずれていた。

別れを切り出したのはわたしだ。
彼に何か不満があったのかと言われると
目立った不満は何もなかった。

いい年になったのだから、
今後の展望のひとつやふたつ、欲しかったけれど。

「別れて欲しい」
1ヶ月半ぶりに会った彼にそう告げたときの
あの寂しそうな顔をまだ覚えている。

何度も話し合いを求める彼と
もう終わりにしたいわたしは
最後は逃げるように話を遮った。

そうして8年半は終わった。
 

それから2年が経つ。

そんなときに出会ったのが秋山黄色だ。

はじめてこの歌を聴いたとき、
思わず涙が出た。

一人の部屋 たらればを何百回吐き散らかして
二人で居たあの時より思い詰めている ずっと
(秋山黄色/モノローグ)

わたしは彼と別れてからずっと
過去を捨てられずに生きていた。

2人で行った街、2人で聞いた音楽、
2人で過ごしたこの部屋も。

後悔しているか、そう聞かれたら
なんと答えるかそればかり考えていた。

思い出はこのままもう触れたくない
過ごした日々すら疑ってしまう
馬鹿だな僕らは
不幸も幸せも背負っていく勇気が
まさになかっただけだ
(秋山黄色/モノローグ)

カメラロールの写真を消したのは
別れて2年経ってからだった。
思い出に触れるのが怖かったからだ。
写真の中で楽しそうに笑う2人を
見るのが怖かった。

あんなに楽しかったのに…
写真を消しながら泣いた。
別れてから泣いたのは初めてだった。

結婚を考えていた、と彼は言った。

結婚するなら付いてきて欲しいというのが
彼の考えだった。

仕事も軌道に乗りはじめ、
プライベートも充実していたわたしには
“ 付いていく” ということが想像できなくて
どうしてわたしばっかり、
仕事や仲間や家族を捨てていかなければいけないの、
と彼に言った。

違う。
表面上はそうだったけれど
本当は違ったのだ。

わたしにはまだ
彼と不幸も幸せも背負っていく勇気がなかった。
ただそれだけなのだ。

まだまだ未熟で子どもだった。

この歌を聴いて、彼が1番に思い浮かんだ。

「元気?」
そう、LINEを送った。

「ぼちぼち」
と返ってきた返事には何も返さなかった。

わたしは気がついた、
彼のLINEの音楽の設定がこの歌だったことに。

二人でつけ合った傷の数が
あなたの日々に変わりますように
(秋山黄色/モノローグ)

たくさん傷つけあってきた私たちだけど
わたしが今もこんなに貴方を思っているのを
知るはずもないだろうけど
わたし、貴方に会えて本当に幸せでした。

貴方もわたしを忘れずに
生きて行って欲しい。

そのくらい傷の残る8年半だった。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい