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2017年8月4日

isakana (49歳)
102
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プリンス&ザ・レヴォリューション『パープル・レイン』

DELUXE-EXPANDED EDITION発売に寄せて

 紫の雨の人、プリンスが大衆に「見つかってしまった」大きなきっかけであるアルバムが、2017年6月23日、デラックス盤となってリリースされた。彼が亡くなった2016年、米国で一番売れたサウンドトラックは、『スーサイド・スクアッド』ではなく、『パープル・レイン』だった(ビルボード誌)。初めてリマスターされたアルバム本編、そして、デラックス盤の目玉となる2枚目のディスクは宝の山=未発表曲で満たされている。四枚組となったデラックス・エクスパンディッド・エディションには、シングル・エディットやアルバムには未収録でシングルでのみ発売された曲や、エクステンディッド・ヴァージョンが収録されたCDと、長年「何で、映像出し直さないのかねぇ?」と不思議だったパープル・レイン・ツアーのDVDが追加されている。過去にも『Crystal Ball』という未発表曲/未発表テイクてんこ盛りの企画盤や、音源貯蔵金庫からアルバム・コンセプトにあわせて蔵出しする例は少なからずあったが、オリジナル・アルバムにCD1枚分の未発表モノを付けて出し直すというのは前代未聞だ。まぁ、『パープル・レイン』を監督したアルバート・マグノーリの言葉を借りれば「映画のための曲を百曲は聴いた」(引用元:「プリンスとパープル・レイン」2017年DU BOOKS)らしいから、プリンスの気が向いたら10枚組以上のSuper Ultra Violet Box Setだってあり得たのが恐ろしいところだ。CD発売から1カ月以上が経ち、買って聴き込んでいる人も多いだろうから、「そんなもん、勝手に自分のPC上にでも残しておけば良いだろう」みたいな内容となるのは承知で殴り書きをさせていただく。でも、『音楽文』は、たくさんの音楽好きの方々が目にする場だと思うから、読んでくれた人のうち極々僅か、であっても、何らかのきっかけとなってくれればと思う。ここで書くのは、主に、CDレーベル面のあの女性の瞳の色からして気合が入っている「CD 2」の、しかも一部の曲が主軸だが、脱線の予感は既にありまくりだ。

【CD 1:The Original Album(2015 Paisley Park Remaster)】
●ペイズリー・パーク名義で本人が行ったというリマスター。このアルバムは、24K仕様、SHM-CD仕様等「高音質」をうたった商品が過去にも出ているが、本CDでは、視聴環境が貧弱な我が家においても、とても分かりやすい音圧の適正化がなされている。高めのヘッドホンで聴いた時には、過去音源群よりもクリアに聴こえる部分もあったし、きちんとしたオーディオ・システム(アナログ盤なら、すんごい高いレコード・プレーヤーとか)や、ハイレゾでも聴いてみたい。音圧の話で言えば、本当は『PARADE』や『SIGN “” THE TIMES 』等々のペイズリー・パーク・リマスターも是非聴いてみたかったところ。あっ、いけない、いけない、「ビートに抱かれて/When Doves Cry」のミュージックビデオの最後のところみたいになってしまう。(プリンスの(遺族の)公式YouTubeチャンネルでは、たくさんのミュージックビデオが公開中です)
●いきなりだが、7曲目「ダイ・フォー・ユー/I Would Die 4 U」について。現在では巷に溢れている4/fourとかU/youとか2(two / too / to)とかの表記の源に近いであろう33年前のプリンスのワードセンスがタイトルに滲み出ているこの曲は、彼の狂おしいまでの愛と情熱が溢れたものとして有名だ。「君のためなら死ねる」という、ある意味陳腐なほどのメッセージ。でも、そういうもので人の心を撃ち抜いてしまったり、説得力を持たせたりすることこそ曲のパワーであり、アーティストのパワーであるとも言える。そして、私がこの曲を大好きな理由の一つに、プリンスが見せる多面性の一つ「お茶目さ」がある。曲のクライマックスのパートで、“U – I would die 4 u !”「君の、君のためなら死ねる!」と叫んだ後で、彼はすかさずさりげない保険を付け加える。“darling if u want me 2”「ダーリン、君が僕にそうして欲しいのなら」。一体、どこの誰が、真顔で彼に「死んで欲しい」などと言えようか?(彼の恋愛遍歴・仕事の鬼っぷり等を思い起こすに、若干突っ込み待ちのきらいがなくはない) 今回のDVDライブ映像(1985年3月30日付)や、本作品CD 3に収録のEXTENDED VERSIONではそれほど目立たないのだが、当時のミュージックビデオ=映画『パープル・レイン』に特典映像として収録されているライブ映像(1984年11月20日付)=プリンスの(遺族の)公式YouTubeチャンネルにも公開中の映像では、“DARLIN IF U WANT ME 2~!!!”「君が僕にそうして欲しいのならあぁぁっ!!!」と絶唱する場面があり、その少し前の、衣装の首元をもぞもぞする(あれっ、うまく解けないぞ?的な雰囲気も漂う)仕草の後に一気に胸毛全開の「おはだけ」を披露する場面とともに、プリンスが愛おしくて仕方ない。
●それと、アルバムの1曲目を飾る「レッツ・ゴー・クレイジー/Let’s Go Crazy」について。1990年、京都のタワーレコードが四条烏丸にあった頃、店内でパブリック・エネミーの3rdアルバム『Fear Of A Black Planet』から、シングル曲“Brother’s Gonna Work It Out”が流れた。そのカオティックなノイズの洪水に「何じゃこりゃ?格好良い!」と衝撃を受けて、丁度発売されていた8曲入りのCDシングルを購入した。当時まだプロデューサー・チームThe Bomb Squadのサウンド・プロダクションにそれ程馴染みが無かった私は、まさかプリンスの曲のこんな切り刻み方&再構築法があるなんて想像していなかったため、実のところLet’s Go Crazyのエンディングのギターから作られていたパートが私の心を捉えていたのだったと気付いたのは、何回か聴いた後だった。パブリック・エネミーとTLC(プリンスや、プリンスが「闇の大人」を務めたバンド、ザ・タイムのカバー曲をリリースし、自分たちのライブで映画『パープル・レイン』中ののダンスを本当に楽しそうにノリノリで踊りまくっていた)のおかげで、遅めではあるがヒップホップにそれほど抵抗なく、格好良さ、メッセージの強さ、そしてとことんPARTYUPなところから入ることが出来たのは、私のリスナー人生にとっても有り難いことだった。
●敢えてだらだらと書いておきたいのは、Stevie Nicks(フリート・ウッドマックの女性ボーカリスト)のことだ。私が生まれて初めてレンタルしたレコードは3作品だった。(1)プリンスの『1999』、(2)Stevie Nicksの『THE WILD HEART』、(3)DURAN DURANのセルフタイトルアルバム(“Save A Prayer”が入ったアルバム『RIO』を借りるべきところを間違えた)。『ワイルド・ハート』は、とにかくシングルだった“Stand Back”が素晴らしくて借りたのだ。ある程度時間が経過してから、S. Nicks自身が「スタンド・バック」は、プリンスの“Little Red Corvette”(from『1999』)にインスパイアされた曲で、新婚旅行初日にラジオから聴こえてきた同曲に別のメロディを充ててハミングしたことをきっかけに曲が出来上がり、直後のレコーディングにはシンセサイザー等でプリンスが参加したことを公表してくれた。私は、「俺の耳は間違っていなかった」と感動したものだった。1991年発売の彼女の『THE BEST OF STEVIE NICKS / TIMESPACE』のブックレット、日本盤では今年発売された『ワイルド・ハート』のデラックス・エディションのブックレットにも詳しい。同盤のボーナストラックに「スタンド・バック」の別テイクが入らないかなぁ、という私のスケベ心は脆くも崩れ去ったが、ブックレットのS. ニックスの話を基に推測すると、プリンスが主として追加したのは、等間隔で小刻みに刻まれたシンセライン(後に“I Would Die 4 U”で聴かれるようなやつ)と思われる。
 一旦話は逸れる。曲としての「パープル・レイン」が出来上がった際、曲調がジャーニーの「時への誓い/Faithfully」に似ているかもしれないと懸念した彼が、作曲者のジョナサン・ケインに電話をしたとされている(引用元:「プリンスとパープル・レイン」2017年DU BOOKS)。そして、プリンスが「パープル・レイン」の歌詞を書くにあたり、S. ニックスに協力をお願いした(彼女はこの大仕事を電話で丁重に辞退した)というエピソード(引用元:同じく「プリンスとパープル・レイン」)がある。ただの憶測だが、プリンスがS. ニックスに協力依頼をしたのは、「スタンド・バック」についてプリンスに連絡をよこしたS. ニックスの真摯な態度だけが理由ではないとも思っている。後にDestiny’s Childの“Bootylicious”に大胆にサンプリングされS.ニックス本人もミュージックビデオに登場している彼女のヒット・シングル“Edge Of Seventeen”は、“Just like the WHITE winged DOVE… sing a song…Sounds like she’s singing… whoo… whoo… whoo”という歌詞(「白い鳩」の部分は私が大文字にしました)で始まる曲だ。元々はTom Pettyと彼の妻Janeに捧げられ、射殺されたJohn Lennon、癌で亡くなった叔父への追悼の意味も込められたこの曲の歌詞に感銘を受けたプリンスが、「彼女になら任せられるかもしれない」と声を掛けたという妄想はできる。「エッジ・オブ・セヴンティーン」の入ったアルバム『麗しのベラドンナ/Bella Donna』には、妖艶なドレスに身を包み、白い鳥を右手にとまらせたS.ニックスがこちらを見据えていて、この白い鳥が鳩/Doveだったりすると、「エッジ・オブ・セヴンティーン」や“When Doves Cry”の歌詞との絡みなども推測されてしっくりくるのだけど、実際のところはタイハクオウムのようだ。鳩より明らかにでかい。

【CD 2:From The Vault & Previously Unreleased】
●≪1曲目≫かつてのバンド・メイト、ベーシストのアンドレ・シモン/Andre Cymoneへの提供曲「The Dance Electric」から開始。アンドレは何かとプリンスと比較されるから損な立場だが、結婚(&離婚)もしたJody Watleyに曲を書き、プロデュースして何曲もチャート(R&Bチャートに留まらずポップチャートにも)にヒットソングを送り込んでいる強者だ。プリンスが同一女性アーティストに曲を書き続け、プロデュースし続け、ジョディー・ワトリー程のヒットを出し続けたことはなかった。この曲自体は、1985年のアンドレのアルバム『AC』に収録されており、12インチ・シングルも出た。2011年には、アルバムがボーナストラック付きのリマスター盤で発売され、2013年の2度目のリマスター盤ではアルバムが2枚組CDへとヴォリュームアップし、かつて発売されたことがなかった10分以上のEXTENDED VERSION(以下「AC-Extended」)が収録され、好紫色家達を色めき立たせた。蓋を開けてみると、何とメイン・ボーカルは抜かれたInstrumentalヴァージョンだったというドンデン返し、でもサイコー!というものであった。今回の“The Dance Electric”(以下「P-エレクトリック」)は、勿論プリンスがメインボーカルで、のっけから「おはよう」を言う相手(“Good morning, XXXXX”)も違っている。でも、今回は、プリンスがアンドレ自身に近いタイプの声色を使っていると思う。初めて聴いた時、曲が唐突に始まる感じも一緒だったから、最初はAC-Extendedにプリンスがボーカルを重ねたものかと思ったが、やっぱりそこで終わらないのがプリンスだった。P-エレクトリックの後半で、「Revolution !」と雄叫びをあげたりする(「ぞわっ」ってなった)のに、バックのコーラス(by Wendy & Lisa from the Revolution)は、AC-Extendedの方でフィーチャーされていたりする。ライブ仕立てのボーカルや、“Take Me With U”に出てくるようなエレクトリック・ドラムが被せられて来てその後も延々のたくりまわっているところなどは、「うわっ!」となった。エンディングも、若干ぶった切り感があったAC-Extendedとは違い、きっちり作られている。この曲、本作品CD 3の8曲目に収録されている“God”の歌詞とも連携しているので、気になる方は「ゴッド」の歌詞をチェックしていただきたい。
●≪3曲目≫Prince and the Revolutionの底力を見せつけるのが、「コンピューター・ブルー(ホ―ルウェイ・スピーチ・ヴァージョン)/Computer Blue(“Hallway Speech” Version)」だ。本作品CD 1のオリジナルを聴いた上でCD 2のこの過剰なヴァージョンを聴いてもなお「プリンスのどこが凄いのかさっぱりわからない」という人は、きっと一生、彼とはほぼ無縁の生活を送るのだろう。いやいや、嘘です。他にもたくさん魅力はあります。しかしながら、好き嫌いはともかく、これらを聴いて何か「凄い」のかピンとこないのであれば、もう私なんぞが何を書いても無駄だ。そして、わからないと言えば、寧ろ、なんでこれがほんの先々月まで、公式に発表されてこなかったのかがホントわからない。アルバムからの5枚目のシングル“Take Me With U”のB面をアルバム収録曲である“Baby, I’m A Star”にしていたが、どうせならB面は“Computer Blue”にして、この凄まじいヴァージョンを収録した12インチ・シングルを切ればよかったのではないの?どうなの?な~んてことを言い始めたら、彼の場合は本当にキリがないのだけれど。
●≪6曲目≫驚いたのが“Possessed”だ。今回DVDで付いてきたライブをVHSやレーザー・ディスで観て来ていたので、曲としてはそれなりに馴染みがあったはずだったのだが、この曲が始まった時は、“Possessed”だとは思っていなかった。また、既聴感はあったものの、直ちにはその一部が映画のあるシーンに使われていたことまでは気付けなかった。プリンスが1989年に発表したサウンドトラック『バットマン/BATMAN』の冒頭は、“THE FUTURE”が飾っているが、あのクールなトラックの萌芽が感じられ、「あぁ、そうだよな、プリンスは『1999』以前からこういうことやっていたもんなぁ。」とか思いながら聴き始めた。バットマンのサントラを初めて聴いた時も、オープニングから「かっこえぇ…」と思ったけど、プリンスがハウスに接近・取り入れたというイメージも抱いていたし、流石プリンス消化&昇華するのが上手いなぁ、とも当時思ったりしていた。勿論、“THE FUTURE”の洗練されたサウンドに、当時のリミキサー諸氏のサウンド・プロダクションが全く影響はしていないことはないだろうし、実際『バットマン』前夜の1987年のアルバム『サイン・オブ・ザ・タイムズ』からの最終シングルB面“Hot Thing”や1988年のアルバム『ラブセクシー』からのシングル“Glam Slam”以降や、プリンスのレーベル『ペイズリー・パーク』からのアーティストの12インチ・シングルでは、様々な外部の人達がリミックスを手掛けている(その一方で“Housequake”や“Alphabet St.”では、12インチ・シングルにおいて外部リミキサーのクレジットがないのに、従来とは違った展開を見せている)。『バットマン』発売の頃、あるいはその前のアルバム『ラブセクシー』の発売の頃、はたまた事実上その前の『ブラック・アルバム』の発売中止をめぐるごたごたの頃というのは、熱狂的なファンの間においてすら、プリンスへの絶対的な評価に揺らぎが生じていたものと思う。そんな中で、頭では、あるいは言葉としてはプリンス自身のサウンドがハウスミュージックに影響を与えているだろうことを思っても、何でもかんでもプリンスの影がチラついてしまうのは如何なものかという自制心が働いて、彼のオリジナルの部分を軽く見てしまっていたなぁ、なんて反省(?)を感じたりもするのであった。
●≪10曲目≫字数制限が気になってきたので、“We Can F**k”について。これまた色々な想いが去来する曲だ。プリンス1990年のアルバム『グラフィティ・ブリッジ/Graffiti Bridge』に収録されている「ウィ・キャン・ファンク/We Can Funk」には、リードボーカル及び作曲でP-Funkの大御所、ジョージ・クリントンがクレジットされている。『グラフィティ・ブリッジ』でこの曲を初めて聴いた時、私は本来の曲の良さとは別の意味でも衝撃を受けた。アルバム『グラフィティ・ブリッジ』中で最も好きな曲の両巨頭「We can funk~Joy in repetition」の流れを真っ新な耳で聴けなかったからだ。約30年前、史上最も売れたブートレグ盤であるらしいプリンスの『ブラック・アルバム』及び、自分にとっての『グラフィティ・ブリッジ』主要曲にまつわるエトセトラは、それなりに私のリスナー人生に影響を与えている。今となってはすっかり、「ウィ・キャン・F**K/FUNK」にはP-Funk勢の“I’m testin’ positive 4 the funk~♪”がないと物足りなくなっている。1993年に私が川崎で初めてP-Funk All Starsを観た時は、同時に生まれて初めて「観たいのに終電がなくなるから泣く泣くライブの途中で帰る」という体験をした。同年には、G.Clinton & The P-Funk All Stars未発表曲集日本企画盤第4弾として、正に「ウィ・キャン・ファンク」のコーラスに登場する歌詞をタイトルにしたアルバム『テスティング・ポジティヴ・4・ファンク』が発表された(聴いてみると、どうやらそのものずばりの曲や歌詞はない模様だった)。それはともかく、ここで収録されている「We Can F**K」は、『グラフィティ・ブリッジ』のヴァージョン(繰り返すが、大好きだ/Pファンク勢による癖になるボーカル・ワークやプリンスのラップが追加され、的確な編集がなされている)とは異なり、10分に及ぶRawなファンクが繰り広げられ、終盤にもいやらしい歌詞というか独白?が詰まっている。Pファンク勢のボーカルがない分、後半のウェンディー&リサ(+プリンス)のバック・コーラスが際立つ。この癖になるコーラスは、家で「ウィ・キャン・F**K/ファンク」をかけていると子供達もちょいちょい「アーーー♪アー、アーーー♪アー、アーーー♪」と被せてくるくらいだ。因みに、本作品が発売された週末、居間で“We Can F**k”を聴いていたら、心配した娘が子供部屋から出て来て私の様子を伺いつつ「何だ、パパが延々、スプーンかフォークかなんかでチャカチャカやっているのかと思った。。。」と告げて去って行った。“We Can F**k”には、「ウィ・キャン・ファンク」だと右チャンネルにしか入っていないフィンガーシンバルのような音(リズムは違うけど、“Raspberry Beret”のお茶目なミュージックビデオや12インチ・ヴァージョンの冒頭のプリンスのカウントの直後にンチャンチャ流れる楽器音)が左右両チャンネルになっていて音も大きめになっている。まぁ、娘がそこまで聴き分けて「ん?このバランスはおかしいぞ?パパ、どうにかしちゃったのか?」と心配してたわけではあるまい。いい加減この辺にしておくが、あともうちょっと。アンディ・アロー/Andy Alloという2011年にプリンスのバンド、The New Power Generationにギタリストとして参加した音楽の才能があり性格も良い若き美人アーティストが居るのだが、プリンスがギターを弾き、アンディ・アローがボーカルを取ったアコースティック・ヴァージョンのこの曲(Oui Can Luv/We Can Loveと改題)が同年突如アンディ・アローのフェイスブックにアップされたり、時を隔てて2015年の11月に12時間だけジェイ・Zの音楽ストリーミング・サービス「タイダル」で(プリンス作品に留まらない他の複数のカバー曲と共に)ストリーミング配信されたりした。これがまた、たまらない出来栄え。タイトルはソフトにされ、男性目線のままで歌われているが、アコースティック・ギター・オンリーというのが生々しくて素晴らしい。アコースティック作品という触れ込みでCDを出しても(例:ギター作品『the TRUTH』やピアノ作品『One Nite Alone』)、つい音を足してしまうきらいがあるプリンス、本作品CD 2の最後の曲「ファーザーズ・ソング」でも、おっ!ピアノ一本か?と思っていたらやはりそうではなかった、という思わず微笑んでしまう瞬間があった。きっと、当時「あっ、これだと映画のテイクとあまり変わらなくなっちゃうな。折角だから違うフレイヴァーを加えた方が。。。」とかやっていたに違いない。好きだ、好きだよプリンス!

●字数もないし、この辺で本当に終了しようと思う。ここまで読んでくれた人達、ありがとうございます。プリンスはずーっと精力的に活動を続けて来た人だから、最新アルバムを差し置いて、このモンスター・アルバムにこんなに向き合ったのは、三十三年振りのような気がする。彼の代名詞的なアンセム「パープル・レイン」は、ライブに行く度に、しかもこってり披露され続けると「もういいから、もっと違う曲やってよ!他に幾らでも凄い曲あるじゃん!」と自分勝手なことも思ったものだった。実際、プリンス自身も「パープル・レイン」を封印したこともあったし、やれば会場的には大うけ必至の「パープル・レイン」を敢えて引っ込めてレコード会社に喧嘩を売りつつ新曲で攻め続けるプリンスに「それでこそプリンス!」と心から喝采を送ったりもした。でも、今、思い起こすと、プリンスのライブで泣いたのって1回しかなかった。1989年の『ラブセクシー・ツアー』日本公演最終日2月13日。コンサートもあと2~3曲で終わろうというところで、プリンスは、何を思ったか、舞台の右袖から謎の日本人通訳を連れてきた。その人にコショコショと耳打ちしては日本語に訳させ、日本のファン達への感謝の言葉を述べていった。最後は「できるだけ早く、また日本に来るよ!」「愛しているよ JAPAN!」そして歌われ、ギターが泣きまくるは「パープル・レイン」。こっちだって泣くに、決まっているだろ~があぁっ!
●翌1990年8月、『ヌード・ツアー』日本公演が東京ドームから始まった。プリンスは本当にかつてない早さで日本に戻って来た。前述の“We Can F**K/Funk”には、“U know the Kamasutra? I could rewrite it with half as many words”という歌詞が出てくる。古代インドの性愛論書『カーマスートラ』を、自分なら半分の言葉で書き換えられると1983年に歌った彼は、1996年に半分の言葉どころか、全く言葉を使わず、音楽だけで表現仕切った。前述の『Crystal Ball』の中の1枚だ。そう、プリンスは有言実行の人なのだ。【突っ込み待ちのまま終】

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