3165 件掲載中 月間賞発表 毎月10日 コメント機能終了のお知らせ
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

Aimerと歩む新たなる夜の旅路

ホールツアー19/20 "rouge de bleu" 色付いた世界の先

rouge de bleu ールージュ ドゥ ブルー
フランス語で「赤と青」

彼女のAimer -エメ- という名前もそうだがツアータイトルやファンクラブ名にもフランス語が使われることが多い。前回はsoleil et pluie ーソレイユ エ プリュイー 「太陽と雨」。テーマカラーはピンクと水色だった。夜を歌っていた初期の頃からは想像もできなかった光景が広がっていた。Aimerがくるくると回りぴょんぴょん跳ねる姿は以前も見たことはあったが、壇上を右往左往と走ったり一緒に手を振ったり声を出して歌ったり。新鮮な内容だった。そんな前回から色濃くなった今回のツアーは果たしてどのようなものになるのか。どきどきが止まらなかった。

黒のドレスに赤と白の素材が含まれた衣装で登場したAimer。新たな夜のはじまりの火蓋となったSTAND-ALONEからステージははじまった。正直驚いた。この勢いのある曲調と力強い歌声が響き一気にその世界へと惹きこまれていった。そして3minではAimer自らオーディエンスを煽り、みんなが立ち上がり、曲を盛り上げるべく大きくクラップをした。ステージを右往左往と動きながら手を振る彼女は本当に楽しそうにきらきらとした笑顔だった。そんな姿を見れるのがとてもうれしい。

真っ赤に燃えるような力強さを持つ曲やそれとはまた一転して少女のような可愛らしさを含む声色で暖かみのある曲を軽やかに歌い上げる姿に彼女の振り幅の大きさを改めて実感させられた。

赤の世界で最も印象的だったのはやはりI beg youだ。まるで何かに取り憑かれたかのように狂気をも孕んだその歌声と表現力に鳥肌が止まらなかった。一度目よりも二度目。二度目よりも三度目。彼女の表現力は留まることを知らない。前回聴いた時よりも更に洗練されていく。最後の「愛してる」のフレーズまでの溜めの静寂は思わず腕を摩る程だった。

そして新たなる夜の旅を宣言したTorches。

「Listen to me Sail away again
未開の海に 海路を照らす願い
繋いだ声は 答えのない世界へと 帆を揺らす
You’re not alone
ただ 荒波を行け その闇を抜け」
ー Torches –

大阪公演以降はグッズでも「トーチ」という松明をモチーフにしたライトが追加され、客席でも松明が灯された。松明の灯火に見せた炎を手にするAimerの姿はその先の夜の旅へと先導するかのようだ。みんなで灯すことで歌詞にもある「ひとりじゃない」ということを強く表現していたと思う。

前半の熱を帯びた赤い世界から後半はより濃い夜を表現する青の世界へ。白に青の差し色のドレスに衣装替えをしたAimer。疾走感溢れるtwofaceから深い夜へと誘うようにしっとりとした曲たちが続いた。

「いつだって 傍にいて
こらえきれず泣きだしたって
闇の中を かすかに照らすよ
そうやって生きてきた君のためだけの
ポラリスになりたい」
ー ポラリス ー

深い深い夜のなかを舟に揺られるかのように進みゆく。好きな曲をあげてと言われたら真っ先に浮かぶポラリス。わたしがはじめて訪れたAimerのライブで聴いた曲。だいすきな曲。静寂のなかに響いた「ポラリスになりたい」という最後のそのフレーズが切実で、ほろりと涙が零れそうになった。

そして真夜中を彩るAMシリーズ。AM02:00、AM03:00、AM04:00とサビのメドレーはバックに現れた時計の針が曲に合わせて進んでいく演出。そしてその時計はこれからの行き先を示す羅針盤のように見えた。

We Twoではオーディエンスにピースサインを求め、共に飛び跳ねたり歌ったり腕を回したりと会場がひとつになった。わたしは基本的にひとりで参加しているが、そんなことは少しも気にならないくらい一緒に楽しんだ。ラストのサビ前、「one, two, three Jump!」の掛け声と共に銀テープが舞い上がり会場を最高潮に盛り上げた。きらきらとテープが宙を舞う光景に思わず感嘆の声が出た。届きもしないのに手を伸ばした。

本編最後となった夜行列車~nothing to lose~はAimerにとってもうひとつのはじまりの曲。ファーストアルバムのSleepless Nightsに収録されているそれはまさに寄り添うような曲で、どこか不安気で、自分自身で「これでいいよね」と言い聞かせるような印象だった。当時の自分が過去の自分に向けて歌っているのだと思った。しかし現在の彼女の歌声では全く別のもののように聴こえた。

「今はまだ遠いあなたに 気付いて欲しい
気付いて欲しいよ ねえ
I’ve nothing to lose, nothing to lose at all」
ー 夜行列車~nothing to lose~ ー

未来に向けて、行く先を照らすように歌っているようだった。ファイナルの東京公演では涙が止まらなかった。しっかりと見届けたかったのに思わず目を閉じてしまう程、号泣してしまった。いま思い出しても泣きそうなくらい心に沁みた。新たなる夜を旅する列車は今度はその道を照らされながら再び走り出したのだと思う。

同じツアータイトルでも回を重ねるごとにさらに進化していく。Aimerのライブに何度も足を運びたくなる理由のひとつがそれだ。2日間行われる会場では1日目には「bleu de rouge ーブル ドゥ ルージュー」と副題をつけ、赤から青ではなく青から赤へ移りゆく異なるセットリスト。とある会場で提案された「いけるか、○○ー!」と会場を煽る声。ペンライトならぬトーチで会場を照らし、更には銀テープを舞わせる。初めての試みに挑戦しながら進化を遂げていく。そして毎回その日のすべてで彼女は歌を届けてくれる。声が出る限り歌い続けていたいとそう願う彼女はまるで命を削るかのよう。だからこそ、「会いたい人には生きてるうちにうちに会いに行かなくちゃ」とツイッター上で何度か呟かれているその言葉のように、わたしも会いに行けるうちには何度でもAimerの歌声を聴きに行きたい。

Aimerはこのライブで「音楽であなたを守りたい」と言った。今までの「寄り添いたい」という気持ちからより強い想いへと変わっていた。わたし自身は既に彼女には音楽で守ってもらっていたと思う。悲しいとき、寂しいときは時に涙しながらも寄り添ってもらい、穏やかなときは暖かなメロディーが包んでくれる。すこし落ち込んでも夜明け後の曲たちがそれを吹き飛ばすように力をくれる。彼女の楽曲から生きる力をもらっている。今月末に発売される新譜を楽しみに、まだ当選するかもわからないのに9月からはじまるアコースティックツアーを楽しみに、それまでちゃんと生き続けなきゃと。すこし、大袈裟かもしれないけれど。それでもAimerの音楽を糧に日々生きている。

暗い夜を越えて、眩しくて色付いた世界を抜けた先。再び戻ってきた夜。掲げた松明のようにその夜を一緒に照らしながらこれからも彼女の音楽を聴き続けたいと願う。そして「守りたい」と言ってくれたAimerを守れるように、いちファンとしてこれからも支えていきたい。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい