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2017年8月8日

陽良 (24歳)
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忘れられない the HIATUS “Horse Riding Tour”

忘れられない、今も強く憶えている1日がある。

2013年8月14日、その日はZepp Tokyoでthe HIATUSのHorse Riding Tourのライブだった。

彼らのライブにはANOMALY Tourの頃から参加していた。都内のライブにはできる限り足繁く通い、この日も前日の同会場での公演から続けての参加だった。

このツアーのセットリストは3rdアルバム『A World Of Pandemonium』の美しさや繊細さが際立つ楽曲を中心とした構成になっていた。
私は1stアルバムや2ndアルバムからガラリと変わった世界観に戸惑い、『A World Of Pandemonium』の楽曲とずっときちんと向き合うことが出来ないままでいた。
ライブに足を運びながらも、過去にリリースされたアルバムの、自分の好きな楽曲が披露されることを求めている自分に後ろめたさを感じ、そんな心境のままライブに参加してもいいのかと自問自答を繰り返していた。
それでも彼らの姿を観たい、音を聴きたいという思いが強く、チケットを握りしめてこの日も入場した。

『The Flare』の轟音から始まり、初日と同じ流れで3曲目までが終わった、その時。
 

嵐の前の静かな空気を切り拓くような、ギターのイントロが鳴った。
 

次の曲は何だ、という期待を孕んだ沈黙の後、耳をつんざく、割れるような歓喜の絶叫がその場すべてを支配した。

一瞬にして世界が、空気が変わった。

その変化をもたらしたのは、まさしく嵐そのもの。
私が観た2011年4月以来、恐らく2年ぶりに披露された『Storm Racers』という曲だった。

気が付いた時には、友人の背中に飛び乗って声の限り叫び続けていた。身体中が喜んでいた。
フロアの盛り上がりは序盤にして最高潮に達していた。次の曲になっても明らかに異質な熱を帯びていた。
正直に言ってしまうと、あまりの興奮のためにこのあたりの記憶は少し曖昧だ。けれど今までのどのライブよりも『Bittersweet/Hatching Mayflies』という曲を温かい気持ちで聴くことができた。
色々な気持ちが溢れて感極まってしまい声を上げて泣きじゃくる私に、見知らぬ人々が声をかけ、肩を貸してくれた。この瞬間をずっと待っていたのは、私だけではなかったのだ。

すべてが奇跡のようだった。

Storm Racersというこの曲がくれたのは、単に“珍しい曲を演った”、“自分の好きな激しい曲を演った”という衝撃と喜びの感情だけではなく、その場に居ていいのか、という迷いを抱えていた自分への答えだった。
 

『だって何も間違ってない 戻っちゃだめだ』

『雲行きが怪しくても
そのまま進め
僕は自分で決めたいんだよ
もうちょっとだけ
シンプルに行こうぜ』

(「Storm Racers」対訳より)
 

私がライブハウスに通う理由。彼らの音楽が好きで聴きたいと願う、そんな風にシンプルな、それだけの理由で良かったのだ。
 

『革命には サウンドトラックが必要だろ』

(「Horse Riding」対訳より)
 

正直な気持ちのまま、進むことをやめなければ。
答えを願って、追い求め続ければ。
この音楽の鳴る場で、自分の中に革命のような、こんなひらめきを見つけることが出来る時が来るのだろう、今こうして『A World Of Pandemonium』の楽曲と向かい合える時を迎えられたのだろうと思えた。

そして『Insomnia』から『ベテルギウスの灯』、『紺碧の夜に』という流れで通常フィニッシュとなることが多いのだが、この日の伝説はこれだけでは終わらない。
メンバーがステージ脇へ捌けていくどころか聴こえてきたのはやはり久々に披露される『Lone Train Running』の鍵盤の音色だった。
“まだこんなにやってくれるの?!”という嬉しい呻き声があちこちから上がった。
もう2時間たっぷりとやりきったような感覚だったし、待ち望んでいた1曲がさらに聴けるなんて、と誰もが思っていたのだ。
その後の『Souls』はより心に染み渡り、“次のアルバムでもお前達がこんな風に騒げるような曲をいっぱい作って帰って来るよ”という約束を交わし、ダブルアンコールの最後の最後が終わった後も熱がまったく冷めないままのフィニッシュとなった。
終演後、顔を合わせた誰もが興奮冷めやらぬ笑顔で“最高だった”、“あの時間に人生がすべて詰まっていた”と話していた。思わず力強く抱き合う瞬間もあった。音楽が一番強く生きている“ライブ”というものの凄さを、改めて実感した1日だった。
 

後日、フロントマンである細美武士の公式サイトにて日記が更新されていた。この日の事について触れられていた。

『メンバー全員が思った。ずっとこんなライブができるようになりたかった。なんか、ついに来れたなあ、って感慨深く思ってたら、ウエノさんが終演後に楽屋で一言。「これでようやくちょっと肩の力抜けるな。」いや、ほんといい夜でした。』
(TAKESHI HOSOMI.COM内BLOG 2013年8月24日投稿“No Title”より)

2013年8月14日。
この日の事を一生忘れずに憶えていよう、と思った。

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