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「仕方がない」で押さえ込んでしまった感情へ

ちゃんと悲しんでいいんだよ、と言ってくれるBUMP OF CHICKENの『Smile』

楽しみにしていたライブが中止になった。振替公演はどうしても叶わないとのことだった。仕方がない、誰のせいでもない、もっと辛い人だってたくさんいる、何事も命には変えられない、賢明な判断だ。頭ではわかっている。でもモヤモヤする。

Twitterに思いの丈を投稿しようとしたが、書いてすぐに消した。こんなネガティブな投稿をみて誰もいい気にならないし、むしろ嫌な気持ちにさせてしまうかもしれないと思ったからだ。タイムラインにはみんなそれぞれの楽しみにしていた予定が延期・中止になったというつぶやきがたくさんあって、こんな思いをしているのは自分だけじゃない、だから仕方ないんだ、とまた自分に言い聞かせる。だけどやっぱり悲しくて泣いてしまう。こんなことくらいで泣くなんて幼稚だなと思い、「仕方がないことだから」と言い聞かせる。

そんな日々を過ごしていたのだが、あるときシャッフルで流れてきたBUMP OF CHICKENの「Smile」を聴いて、自分が今まで抑えていた悲しさがわっと表面に出てきて、思考の全てを支配した。家の中だったから遠慮なく泣いた。
 

BUMPの曲はいつもそうだ。一人一人の声にならない叫びを、自分で沈めてしまった悲しみを、見ないように蓋をした感情を掬いあげてくれる。「ここにいていいんだよ」とネガティブな感情の存在と、そう感じている自分を認めてくれる。

中でも「Smile」は東日本大震災の復興支援として発表された曲で、悲しい思いをした人に「無理に笑ったり前向きな発言しなくちゃって思わずに、ちゃんと悲しんでいいんだよ」と寄り添ってくれる曲だ。

「みんな大変なんだから、自分ばかり悲しんでいるわけにはいかない」
「前をむいていこう」

そんな風潮の中で、
「悲しい」「苦しい」「辛い」「なんで」「どうして」
そういった想いを閉じ込めず、思いっきり悲しんだり、泣いたり、吐き出していいんだよと、歌ってくれている。ボーカルの藤原基央の歌声は、途中から叫びのようになり、やるせなさや痛みがひしひしと伝わってくる。その叫びに呼応するように、自分の中のいろんな思いが解放され、涙が止まらなくなる。
そうやって悲しいという感情を認めて表に出せたことで、わたしは少し楽になれた。
 

現状は震災の時とは違うが、この曲は今の私たちにとっても必要なものだ。
悲しみや痛みは人と比べられない。誰のせいにもできなくて仕方がないことでも、悲しんだり辛いって言ったりしてはダメだということではない。
今こそ、ちゃんと悲しんで、どうしてって嘆いて、自分が感じていることを抑え込まずに認めることが大切だ。だから私はこれからも、ライブに行けなくて悲しいという気持ちを仕方ないという言葉で蓋をせず、ちゃんと悲しもうと思う。
 

音楽のライブに行けないことで悲しい気持ちになったが、それを救ってくれるのもやっぱり音楽なのだ。

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