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死に場所は!

Live House R.A.D 10周年ライブを通して観えたENTHのこれから

———もしもしお姉ちゃん、やっぱりあかんかったわ。

2019年も年の瀬、ちょうどクリスマスの日であっただろうか。栄のライブハウスR.A.Dの周年イベントファイナルの出演者が発表された。
Twitterの通知を長押しして画面上のフライヤーを見る。

BACK LIFT

ENTH

そして04 Limited Sazabys

場所はダイアモンドホール。

そこには、私がロックバンドの曲を聴くようになったきっかけのバンドである04 Limited Sazabysの名前。そして彼ら主催のフェスや対バンで出会ったバンドであり、また私にとって初めて好きになったインディーズバンド、ENTHとBACK LIFTの名前があった。その上会場は、何回も通った大好きなライブハウス新栄ダイアモンドホール。

私のワクワクは余裕でキャパを超えた。と、同時に涙が溢れた。私の手は直ぐにプレイガイドの先行申込画面を進めた。申し込まない理由がなかった。

結果はやはり落選。本当にたくさんの人にとって待望であっただろうスリーマン。恐らくその中にはR.A.D10周年の今日まで10年ずっと応援してきた人たちだっているだろうし、私みたいに10周年のうちの半分も知らない人だっている訳だ。簡単に倍率の高さなんて想像できる。心の中では正直無理だろうと思っていた。諦めよう。そう何回も自分に言い聞かせるがどうしても諦められない自分がいた。

一般発売に懸けるか…

しかし不運なことに一般販売のその日は学校で模試。ということは友達もみんな模試だ。友達にも頼めない…最終手段、頼りない弟を召喚し模試に向かう。国語の時間が終わり真っ先に弟に電話する。ここで冒頭の頼りない弟の言葉を聞いた訳だ。

——それから1週間。

その日は名古屋でまたもや模試。一般販売の日からR.A.D店頭でもチケットを販売している、とのことだった。しかし所詮バイト禁止高校生、チケットだけを買うために名古屋まで行く交通費など持っているはずがなかった。悔しくてしかたがなかった。あれほど人気なライブのチケットが発売から1週間も経っているのに残っているはずがない、殆ど希望はなかったが、模試終わり、私は210円の切符を買い一目散に栄へ向かっていた。みるみる薄暗くなってゆく夕方の空。何回行っても、R.A.Dまでの道は小気味悪く、1人で行くとやはり怖い。階段を上る。

受付で恐る恐る聞く。

「バックリとエンスとフォーリミの3マンのチケットって…」

帰ってきた言葉、残り僅かですがまだあります。と。一瞬信じられなかった。

帰り道、1人。チケット片手に泣きながら帰った。人生で3回目の嬉し泣き。

それからライブまで毎日楽しみで仕方がなかった。

そして当日——。

放課後、最上級のワクワクで向かったダイアモンドホール。長い階段。3バンドそれぞれのTシャツを身に纏ったお客さんたち。始まる前から終わって欲しくなくてなんならこの時間が一生続けばいいのに。そう思った。

ステージ上のドラムセットをみる。dw!ということはBACK LIFT!BACK LIFTのライブは10周年のうちの数年しか知らない私でも、その10年間を少しだけ想像してしまえる様なそんなライブ。とても心に沁みた。

一番手がバックリってことは、次はENTHかな…。友達とそんな話しをしながらステージ転換を見る。バンドの大きさや3バンドの中でもいちばん年下であることを考えて、一番手か二番手には来るだろうな、と心の中で勝手に想像してた。

しかし、予想に反しマイクはステージの真ん中に置かれ、バスドラムには04 Limited Sazabysのロゴが刻まれている。

なんと2番手は04 Limited Sazabys。アリーナレベルのステージから名古屋のライブハウスに帰ってきた04 Limited Sazabysはいつもより少しだけ尖って見えた。昔の曲から新しい曲までふんだんに取り入れたセットリストは最近のお客さんも昔のお客さんも楽ませる工夫だろうか。私自身、最高に楽しかったし、さすがだとも思った。

ということは、トリを飾るはENTH。

YAMAHAのドラムセットが置かれる。ラストは間違いなくENTHだ。

前置きが相当長くなったが、ここからは1番書きたかったENTHのことを書こうと思う。

ENTHの曲は毎日聴いていたし、どんな気分でも行くと必ず楽しくなっちゃうENTHのライブはかなりの中毒性で私はずぶずぶその沼にハマっていった。

しかし、私は普段の彼らのライブから、この3バンドのトリと言われた時のENTHを正直想像することはできなかったし、今思うと彼らをを少し見縊っていた。

一曲目最新曲のショートチューン。キラーチューンSTART LINEで会場のボルテージはみるみる上がっていく。何回聴こうが一向に聞き飽きないギターのリフが最高にかっこいい。どんどん飛ばしていく。ドラムのリズムが気持ちいい。自然に体が動く。合間には酒を飲む。楽しくて仕方がない。ボーカルの特別高すぎでも低すぎでもないはずなのに忘れられないあの歌声。哀愁を感じられる声。いつも通りかっこいいENTH。
 

いつもと違ったのはここから。

“俺たち、死に場所名古屋に決めたんで”

そう言って始まったムーンレイカー。この3分間に、上京はせず名古屋で生きていく。そう決意した彼らの覚悟が目一杯詰まっていた。
 

お次はGet Start Together。英詞の曲は歌詞よりも、なんとなくの語感やメロディ、リズム、音に夢中で拳を挙げることに精一杯だが、このタイミングで聴くことで、歌詞の良さを再発見させられた。
 

そして、続く新旧のスローテンポ曲が私たちを叙情的な気持ちにさせてくれる。
 

“When my life is over————”
  (“Will”の歌詞より引用)

この歌詞と綺麗な声の重なりから始まるWill。ギターの美しいアルペジオ。バラードかと思えばいきなり始まるツービート。この日のWillは歌詞が相まってか、いつもに増して心に響いた。

最後はGentleman Kill。スカのリズムやツービートを織り混ぜた上がること間違いなしのナンバー。しんみりでなく、最高にテンション上げて帰してくれるところはやはりENTHだ。

演奏が止む。

まだ掃けていないにも関わらず響くありがとう。わんもーの声。

紛れもなくそこに居たのはこれからの名古屋を作っていくENTHであり、3バンドのトリを最高にかっこよく務め切ったENTHだった。

1か月ほど経った今日でも私はこの日のことを鮮明に覚えている。

17歳になりたての高校2年生の冬のこと。きっとこの先何年たっても忘れないだろう。
 

まずはこのライブの3バンドへ。この3バンドが居なかったら私は名古屋という地をこれほど好きにはならなかったと思う。名古屋のライブシーンを盛り上げてくれたこの3バンドに心から感謝を贈りたいと思う。

そして音楽の繋がりにも感謝をしたい。ENTHやBACK LIFTは今、私に沢山のジャンルの音楽を発信してくれている。私にENTHやBACK LIFTを教えてくれたあの頃の04 Limited Sazabysのように。こんな繋がりが私を素敵な音楽とたくさん出会わせてくれたし、またこれからも繋がっていくんだろうなと思う。

彼らが世界に発信するものは音楽だけに留まらない。

ENTHは私をライブハウス、遊び、ファッション、新しい考え方、名古屋、そして日々更新されてゆく新鮮な音楽に出会わせてくれた。高校生になった私がこれほどまでにライブハウスにどっぷりハマったのも、名古屋のCD屋さんに通うようになったのも、少しオシャレなTシャツを着るようになったのも、真面目すぎない、頑張りすぎないかっこよさに気づいたのも、本気でバカするようになったのも全部全部ENTHの影響だ。

いや、先程は「音楽だけに留まらない」と言ったが、語弊があるかもしれない。もしかするとENTHにとっては既に私たちが普段音楽だと思っていないようなカルチャーやスピリットなどをも巻き込んで全て「音楽」なのかもしれない。先日発売されたSPARK!!SOUND!!SHOW!!とのスプリット盤を聴いてさらにこの気持ちは強まった。

彼らがどんなつもりでいるか私には分からないが、とにかく私に言えることは

これからENTHが作っていくであろう時代が楽しみで仕方ない。

ということだ。
 
 

そう思わせてくれる程今のENTHはかっこいい。

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