3162 件掲載中 月間賞発表 毎月10日 コメント機能終了のお知らせ
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

こんな社会情勢だからこそ貴方に伝えたい話

THE BAWDIESが教えてくれた、転がり続けるということ。

 七転び八起き、とはよく言うけれども、ここまで転がってしまうともう起き上がる気力もなくなってしまうな。

連日膨れ上がる感染者数の報道に心は痛み、ずっと楽しみにしてきたライブや待ち望んだプロ野球の開幕も中止・延期を余儀なくされている。大学の卒業式も中止になり、気持ちの区切りがつかないまま、みんなと離ればなれになっていく。
これ以上被害が大きくならないでほしいという気持ちと、どうして楽しみばかりが奪われていくのかという誰にもぶつけられない怒りが心の中に矛盾してあらわれるから、そんな自分にも嫌気がさしてしまう。

 幼いころから目指していた職業への憧れを、ぽっきりと折られたのが半年前。それまでずっとそれだけを夢見て努力してきた分、挫折もショックも大きくて、それでもこの状況をなんとかしなくちゃと思うけれど、なかなか踏ん切りがつかない。
家族からの風当たりも強くなって、嫌な夢ばかりみるようになって、嗚呼もう起き上がるなんて無理だよ。
 

 ベッドに寝転がったまま、好きなものに思いを馳せようと、同じ気持ちの誰かと繋がろうと、検索窓に「BAWDIES 音楽文」と打ち込みエンターキーを押した。
が、ない。検索結果に該当するものが出てこない。びっくりしてアーティスト一覧画面のスクロールを繰り返すけれど、とうとう「THE BAWDIES」の文字は見つけられなかった。
 孤独だ、と思った。ライブハウスは、あんなにロックンロールと笑顔に溢れているのに、この場所はとても孤独だ。誰もいない。
 

 THE BAWDIESは、たしかに音楽文を書きにくいバンドである。その原因を端的に述べると、歌詞がすべて英語であることが挙げられる。
人々は音楽に人生を重ね合わせ、音楽は我々の気持ちに寄り添ってくれる。そのプロセスの大部分を担うのは、やはり歌詞なのだ。事実、音楽文でも文中に歌詞を引用することが多くあり、私自身も、音楽の中の「言葉」に救われることは少なくない。

 ただ、8年間THE BAWDIESの音楽と生活してきた私は、少なくとも私は、失礼にあたるのかもしれないが、彼らが「何を歌っているか」を一言一句まで知ろうとしてこなかった。英語を聞き取り、それを翻訳し綺麗な日本語にして頭にインプットした状態で曲を聴いたことは、おそらく一度もない。
しかし、彼らの音楽を聴くとき、とりわけライブ(彼らに言わせればロックンロール・パーティーである。)での演奏を目の前にしたとき、心がぐっと揺さぶられて、どうしてか泣いてしまうときがある。
現在THE BAWDIESが行っている、最新アルバム「Section #11」を引っ提げてのツアーでは「I’M YOUR HOME」がそうだった。自分でも気づかないうちに、鳥肌がたち涙が頬を伝っている。歌詞の意味もまともに分かっていないのに、だ。でも、英語を綺麗に翻訳できなくたって、彼らの演奏が、いつでもここに居場所があることを教えてくれていたから。それこそ、心と心で、さらに言えば、魂と魂で対話をする、THE BAWDIESというロックンロールの在り方だと、私は強く思う。
 

 彼らを、「全歌詞英語のお洒落バンド」だと思っている人にこそ、ライブ(もちろんロックンロール・パーティーであるから、静かに眺めるもよし、踊るもよし、自由に楽しんでいただきたい。)に足を運んでほしい。どのバンドにも負けないおもしろMCと初見さんはそのクオリティに驚くこと間違いなしのHOT DOG劇場が待っている。TAXMANの笑顔が光り、JIMの汗がキラキラと舞って、MARCYの鳴らすドラムにROYのシャウトが響く。泥臭くその熱気で蒸し暑いとすら感じる、人間味あふれるフロアがそこには待っている。年齢層も性別も様々なみんなの身体が自然に揺れて、手が挙がって踊り出す、そんな幸せな空間を、その場にいる全員で創り出すことができる。

ベースボーカルであるROYは、いつもロックンロール・パーティー(そう、ライブのことである。)の終盤に、このようなことを口にする。
「今日は心の中、身体の中のもの全部出し切って、空っぽにして、また明日から新しい新鮮な空気を取り入れてほしい。」
嫌なことも、上手くいかないことも、モヤモヤした気持ちも、この空間で一旦リセット。新しい風を常に取り入れて、これからを生きていく。人生はおそらく、その繰り返しなのだろう。

もちろん、その人生は彼らも例外ではない。THE BAWDIESは、デビュー10周年・結成15周年のメモリアルイヤーである2018年に、ベストアルバム「THIS IS THE BEST」を発表した。何年たっても色褪せない最強のロックンロール・ナンバーたちの中に、一つだけ新曲を織り交ぜた。「FEELIN’ FREE」という楽曲である。これが集大成ではなく、これからも“転がり続ける”という彼らの強い意思表示であった。
その決意通り、翌年の2019年に発表されたアルバム「Section #11」の勢いはすさまじいもので、彼ら自身もこのアルバムの楽曲で「代表曲」を塗り替える意気だと話していた。もちろん、まもなく現実になるだろうとわくわくさせられている。疑っているなら楽曲を聴いてほしい。動画サイトでも音楽ストリーミングサービスでも良い。「SKIPPIN’ STONES」と検索してほしい。話はそれから。後悔はさせないから。

 そう、彼らは間違いなく“転がり続けて”いるのだ。ただの変化ではなく、今までのすべてをパワーにかえて、進化している。
 

 転がりっぱなしの私の今は、起き上がることができない私の今は、きっとダメダメなんかじゃない。転がったら、転がったままでもいい。転がったその弾みをバネにして、転がり続ければ良い。変わることを恐れずに、転がり続けてみれば、それは進化につながるかもしれない。

家族関係も、就職も、心の中のモヤモヤも。
自粛だって、どんとこい。パワーにしてやるから。今はただ起き上がれないわけじゃない。次に転がるための、エネルギーをためているのだ。

THE BAWDIESの音楽文がない。どんとこい。私が書く。
ライブハウスではまだ会えないけれど、大丈夫、仲間はここにいるよ。
 

投稿ボタンを押した。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい