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2017年8月11日

江田舎 (22歳)
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拝啓、皆さま。

plentyというバンド

私は今行き場の無い気持ちを4月13日から抱えている。頭の中では理解も納得もしているけど、心が拒否している、そんな状態だ。

-4月13日 plentyは解散を発表した-

いつから、何がきっかけで好きになったかなんて思い出すことが出来ないほど私は彼らの音楽と過ごし、信じていた。彼らのつくる音楽を圧倒的に信じきっていたのだ。
昨年から社会人になり、昔ほど色々な音楽を聴かなくなったし、昔好きだったバンドも聴かなくなった。ライブに行く数も減った。私は「好きがずっと続くことってないんだな。あれもこれも好きだけど本当に好きってことなのかな。」と自分自身の感情に不安があった。しかし、このバンドだけはいつでも聴きたい音楽だったし、いつでもライブに行きたかったし、いつでも圧倒的に好きだった。私はこんなにも好きだと思えるバンドがいるんだ。それなら大丈夫だと安心していた。

そんな気持ちで2016年のワンマンツアー“life”に行った時に「私このバンドが終わったらどうなるんだろう。今こんなにバンドとして強くなっているけどいつ終わるかわからない。そんなこと考えられないし考えたくないな。」とライブ中にふと思ったことがある。何故かとてつもなく不安になったのだ。
まさかその時がこんなにも早く来るとは思ってもいなかった。

ラストツアーが始まってから行ける限りの公演は全て行った。本来なら解散ライブをやったり、最後だからといって多数のライブに行く行為は気乗りしないが、そんな事は過去の昔話にしてやる。3人でやるライブがこの先一生ないかもしれないなら、みれる限りみたいし、聴きたい。行くべきだ。と思った。

ツアー初日の東京公演はplentyのワンマンライブ自体が久しぶりだったし、解散発表をしてはじめのライブだったので、会場の空気は今までで感じたことのない緊張感に包まれていた。
最初の音から全力でぶつかってくる彼等に今までにない迫力を感じ、呼吸と瞬きをするのも忘れるほどだった。彼等はいつも通りのゆるいスタイルで演奏していたが、演奏の力強さと江沼の歌声の自由さ、バンドとしてのグルーヴがこれまでで最高潮だった。
MCもいつも通りの口数の少なさ、彼等の音楽を感じるなら余計なことを考えさせないこれがベストだとさえ感じる静寂が心地よかった。
いつもと違っていたのが最後の曲が終わり、去り際に「またね」と言わなかったことだった。次がないことがこんなにもつらいものだとは思わず涙が出た。

それから各会場でそれぞれの最後のライブをする彼等を見届けて、彼等の曲と向き合う日々が続き、解散という事実が自分の中で飲み込めてきた。

“拝啓、皆さま。”や“理想的なボクの世界”で不満や孤独、戸惑い、を歌い、“plenty”でこのバンドと象徴するようなアルバムをつくり、“this”で2人になることで新しい方向性を見出し、“空から降る一億の星”で中村一太を加え再びバンドに戻り新たなグルーヴを生み、別れと生きることについて考えさせられ、“いのちのかたち”で愛を歌い、“life”で生活、命、人間の本来の姿に迫り、これ以上どこへ向かうのだろうと思っていた。
「ボクのために歌う吟」で-言葉頼って生きているんだ-と歌っていた彼が「嘘さえもつけない距離で」で-言葉とは救いじゃないのさ-とうたうようになっていたのだ。
体操座りでうつむいていた少年が仲間を見つけ、愛をみつけ、生命におわりがくることを実感し、恐れながらもたくましく生きていくのだと思えば何故だかスッと解散という事実を理解することが出来た。

しかし理解は出来ても、あたまとこころが別なのが人間である。
ラストツアーのラストライブ名古屋公演、各地でライブを重ねてきた彼等は初日より肩の力が抜け、このツアー中にもパワーアップしていた。ライブ中何度も何度も、心の中で「こんなにいいバンドがなんで解散するんだ」と悔しく思った。「これでライブハウスでこのバンドをみるのは最後なんだ。」と哀しくもなり、それでも変わらぬ彼等の佇まいと演奏に癒され、感謝した。いつも通り彼等の音楽に身をゆだねればいいだけだと思えた。最後の曲まで最高の演奏で私は笑いながら泣いていた。
こんなに最高で素敵な演奏をありがとうと思う気持ちと、心の奥で哀しいとか嫌だとか受け入れられない気持ちが交差して感情のバランスがうまく取れなかったのだろう。
plentyの最後のツアーが終わってしまった。

その日からもう1年くらい経ったような気がするがまだ1ヶ月ほどだ。そしてあと1ヶ月ほどすると本当に最後のライブが待ち構えている。ここまでの文書で解散を理解したようなことを述べているが、冒頭にも書いたように心はまだその事実を受け入れられずにいる。しかし、それはそれでいいのかもしれない。私の大好きな彼等の音楽を生で聴けるのだから、しっかり楽しもう。生きているうちに。彼等が駆け抜けた蒼き日々を、私が過ごしてきた蒼き日々を見届けにゆこう。

寂しさは擦り切れて小さくなり
愛は消えずに大きくなるから

いつか会えると決めつけて。

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