3408 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

雨が降る星で人々ができることとは

モーニング娘。「雨の降らない星では愛せないだろう?」が気付かせてくれた愛を語ろう

ここ最近は、コロナウイルスの蔓延により、今までの生活が一変してしまったように感じる。
音楽的な話をするならば、自分がチケットを取り、楽しみにしていたライブやイベントが次々と開催見合わせになっていく。
一大事である今だから、それは仕方ないと思うし、楽しみが先延ばしになっただけであるため、これらは良しと思える。

だがしかし、どうしても納得のいかない理不尽なことも中には存在する。それにより私は、何度も何度も傷付き、涙してきた。
そんなときに思い浮かべる曲はいつも同じ曲だった。

「雨の降らない星では愛せないだろう?」

モーニング娘。のこの曲。
途中、中国語が出てくるため、初めて聴いた方は驚くことと思う。
私は、この曲を頭に思い浮かべては、勝手に救われている、そんな日々だ。なぜ救われているのか、その考え方がもしかしたら誰かの気持ちを救うかもしれない。だからこそ今、この曲を通して私が伝えたいことをひとしきり綴っていこうと思う。決して、今の状況に落ち込むのではなく、明るい未来を願ったものになるように……
 

私の仕事は、コロナウイルスにより過酷化した。
ドラッグストアで正社員をしているのだが、報道やSNSでの話題が加熱していくにつれて、売り場から次々と物がなくなっていき、結果的に人々のストレスが増し、心無い言葉をかけられるという負の連鎖である。

まず消えたのはマスクだ。マスクの取り合いが始まる。マスクが入荷して売り場に出そうとするとまわりを大勢の人に囲まれ、一挙手一投足ジロジロと見られ、まるで何かの見せ物の気分だった。マスクの売り方が悪いというクレームが多く、その度に改善していく。気付いたら、消費者に対する我々の行動は至れり尽くせり状態だ。
そうこうしているうちに、トイレットペーパーやティッシュペーパーがなくなるというデマが流れ、それらも売り場から消えていく。
「週末は急ぎではない外出を控えて欲しい」と都知事が言えば、食料も売り場から消える。

物がないと、人々の気持ちにも焦りが出てくるようだ。それらが売り切れただけで、暴言を吐かれる。怒鳴られることは日常茶飯事、電話が鳴るたびに「またマスクか…」と恐怖で怯える。

そんな日々がもう2ヶ月以上続いているのだ。
我慢の限界を何度も超えたし、食事をまともに取れない日もあった。
時間が経てば落ち着くだろうと思っていた状況は、東京の外出自粛要請により、更に過酷化していく。
 

しかし、そんな日々に小さな光が刺したのは、「雨の降らない星では愛せないだろう?」をふとした瞬間に思い出したからだった。
 

前述の通り、この曲には中国語の歌詞が入っている。当時、中国から日本に来てモーニング娘。のメンバーとして活躍していたジュンジュン、リンリンの2名のための歌詞だった。
この2名に限らず、モーニング娘。は地方からオーディションを受け、合格を機に上京するという流れが多い。そんなメンバーたちの気持ちに寄り添ったかのように、サビ以外の部分では故郷や家族を思う歌詞が並ぶ。だからこそメンバーは、歌いながら大切な人や地を思い出すのだろうと思う。
最も印象に残っているのは2018年6月、日本武道館公演でこの曲が披露された時に、普段は素敵な笑顔を見せている横山玲奈が、涙を浮かべながら歌唱していた姿だ。彼女は、数日前に父親を亡くしていた。父親を想いながら、歌詞一つ一つを噛み締めていたことだろう。まだ17歳の女の子がステージに立つと決めた覚悟、強さ……それらを考えていると今でも胸が締め付けられる思いがする。

さて本題に戻る。この曲のサビ部分の歌詞に注目し、今と未来について考えていきたい。
 

“悲しみのない 星ではやさしくなれないだろう?
僕たちは誰彼も 憎む必要はない”
 

これは、2番のサビの歌詞だ。
毎日のように殺伐とした環境で仕事していると、どうしても優しさというものを忘れてしまいがちである。
物がなくて困っている人、朝早くからマスクが入荷しているか分からないのに寒い中並んでいる人など、様々な方を目の当たりにする。関わる人全てが理解のある方とは限らず、頭を悩ませることもある。朝早くから並ぶことをこちらが強制している訳でもないのに、「寒いんだからさっさと開けろ!」といった言葉をかけられることもあり、反論したくなった。

そんなときに、どう行動したら幸せになれるか。

それを考えた時に行き着くのが、この歌詞なのである。私自身は、心無い言葉をかけられることで悲しみを存分に味わった。きっと、ライブや大事な学校行事などの楽しみがなくなったり、仕事が思うように行かなくなってしまったりした人もいるだろう。多くの方が何かしらの悲しみを抱いて今の世の中を生きていることと思う。
悲しみを知った後に、自分が辛い思いをしたのだからと、他者を同じ目に遭わせることももちろんできる。マスクが買えず、ドラッグストア店員に心無い言葉を浴びせることも、その心理から来るものだろう。しかし人を傷つけると、巡り巡って再び自分が傷付くに過ぎない。結果的に、誰も幸せにはなれない。
そのように誰彼を憎むのではなく、痛みを味わっただけ誰かに優しくしてみる。私も職場では、吐かれた暴言も真摯に受け止め、丁寧な対応を続けている。
まずはその、“誰かに優しくできた”という事実だけで、少しの幸せを感じられるだろう。
悲しみを味わった少しネガティブな自分が誰かに優しくしたという事実は、悲しみを味わっていない時に同じことをするよりも、少しだけ幸せの度合いが大きくなると私は思う。
 

更に話を大きくしたのが1番のサビだ。

“雨の降らない 星では愛し合えないだろう?
僕たちは未来まで たすきを渡す使命”
 

自分自身の話や自分の周りの話から一歩、更に一歩踏み出して、地球という星、先に待っている未来にまで話を進める。

この歌詞を読み解くときにキーワードとなるのが“雨”だと考える。一般的に雨のイメージは、良くない場合が多い。楽しみな用事がある時に雨が降っていると、とりあえず落ち込む。
だがしかし、この曲では雨が必要不可欠となる。降らないと愛し合えないと言うのだから……。

この世の中で言う雨は何か?
ここでは、コロナウイルスそのものを雨と考えてみよう。

コロナウイルスという名の雨は世界中に降っている。結果的に、世界全体が同じ物を相手に喜怒哀楽している状況となる。

そんな中、雨が降り始めてから仕事で辛い思いをし、ずぶ濡れになった私に、傘を差し出してくれた人々がいた。
その人たちは、私の落ち込んだ気持ちに共感してくれた。心配してくれた。
「無理はしないで」という何気ない言葉がどれだけ嬉しかったか……

そんな何気ないことでも、雨が降ったからこそ、そのありがたみに触れ、大切にしたい存在に気付けたと思う。この歌詞でいう“愛”は、恋愛に限った話ではない。友人や家族、世界など、自分が関わる人々や物に対する“愛”だ。

1番のサビの歌詞は、

“陸のない 星にはならないように 僕たちが大声で 歌うのさ”

と続く。
陸のない星というのは、降りしきる雨に人々が負け、地球全体が海になってしまった様子を表すだろう。
人が愛も優しさも全て捨て、他者を傷つけてばかりいたら、コロナウイルスという雨にあっさり負けてしまう。そうならないためにできることは、様々な人から優しさという形の愛を受け取ったら、同じように誰かを愛することだ。
よく「人は1人では生きていけない」という言葉を聞くが、まさにその通りであり、未曾有の事態だからこそ人は助け合って、協力し合っていかなければ生きていけない。
もしもこの世界でひとりぼっちだったら……
誰かいたとしても、それが自分を傷つけてくる存在だったら……
そんな世界なら、雨に打たれたことが直接的な原因でなくても心が死んでしまう。
逆に、人から優しくしてもらったことや、自分は愛されているのだと感じられる出来事があったら、きっと生きようと思えるきっかけになるだろう。
誰もが何かしらの悲しみを抱えている中で、他者を気にかけること、他者を愛し大切にできること、その気持ちを多くの人がもてたなら、愛のたすきリレーが続いて、未来にも愛や優しさ、そして人々が生きる陸も必ず残り続ける。
 

コロナウイルスで悲しみに暮れていた私は、「雨の降らない星では愛せないだろう?」を聴くことで、この状況を前向きに捉えることができた。
私たちが今を生きてきた証として未来に残すべくは、コロナウイルスの蔓延でマスクがなくなったことや多くの人に心無い言葉を浴びせられたことでは無い。もちろん、一大事であるため、教訓として、事実としてコロナウイルスのことは知っておく必要はある。
私が未来で誰かにコロナウイルスについて話をするとしたら、「様々な愛を感じることができた期間だった」と伝えるだろう。
普段なら気付けなかったことに目を向けることができたし、ライブに行くこと、仕事が上手く進むことといった普通の暮らしがどれだけ愛に溢れていて幸せなものかを改めて考えることができるという意味では、決して今は無駄ではない。

まだまだ油断は出来ないし、今後更なる状況悪化を招くかもしれない。
それでも気持ちだけは平和であり続けたい。人々の愛が、終息への近道となるかもしれないのだから。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい