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2017年8月12日

なみだうさぎ (16歳)

音楽とは何か

back numberが教えてくれたもの

「音楽とはなにか。」
そう聞かれたらなんと答えるだろうか。
“気分転換したい時に聞くもの” “暇な時になんとなく聞くもの” などだろうか。たぶん多くの人はそう答えるだろう。私も少し前まではそう答えていたと思う。だが、その答えが変わる日がやってくる。
 

音楽というものを本格的に聞き出したのは、確か小学校低学年くらいだったと思う。その頃は周りの子の影響もあってか、男性アイドルグループにハマっていた。CDを買ったり、出演しているドラマや映画、バラエティ番組なども見る程度のファンだった。好きだったが、「ライブに行きたい!」というほどでもなかった。そして次々に好きな歌手というのは変わっていった。女性アイドルグループからボカロ、女性シンガーソングライターなど、色々な歌手を好きになったが長続きせず、すぐに飽きてしまっていた。その理由はたぶん、”歌手が好き” というよりは、”その歌手が歌っている歌が好き” だったからだと今では思う。だから、あまり自分好みでない歌が出た時に、「あぁ、もういいかな。」となり聞かなくなっていったんだと思う。
 

だがそんな私に、ある出会いが訪れる。
 

元々音楽を聞くのが好きだったので、音楽番組はよく見ていた。そしてその音楽番組で、ある3人組バンドを目にすることになる。彼らの名前は、「back number」。見たこともないし聞いたこともない。はたまたバンドというものにそれまでまったく興味がなかったし聞いてこなかった。だが私はなぜだかわからないが、直感的に「聞いてみたい。」と思った。「一体どんな歌を歌うのだろう。」「またよくある恋愛ソングだろうか。」そんなことを思っていた矢先、ボーカルである清水依与吏の第一声が私の胸に突き刺さった。
 
 
 

〈私のスカートが/青く揺れている/終わりの言葉に/怯えているのね〉
 

たった一行のこの歌詞で、私は鳥肌がたつほど引き込まれた。

“このバンドは他とは何か違う。”

そう思った。これは「fish」という曲で、まず驚いたのが、歌詞の中に “私”と”スカート” が出てきたことだ。まさか女性目線の歌を3人組の男性バンドが歌うとは予想もしていなかった。そして、〈終わりの言葉に/怯えているのね〉というところで、これは別れを切り出される女性の切ない歌だということがわかる。このたった一行でこれだけの情報があり、情景さえ思い浮かべることができるのだ。さらに私が引き込まれた理由はもう1つある。それは、”声”だ。今にも泣いてしまいそうな、切ない声。歌詞に感情輸入をして心の底からの叫びを歌っているような気がして、「なんか、すごいな。」そう率直に思えた。

私は曲が終わるとすぐにback numberについて調べた。そして過去の曲を遡っていくうちに、私に衝撃を与えたある1曲に出会う。それは、「幸せ」だ。
 

〈私が聞きたかったのは/終電の時間でも好きな人の悪口でもなくて/せめて今日のために切った髪に気付いて/似合ってるよって言ってほしかった〉
 
 

これを聞いて、自然と涙が出てきた。
別にこの歌詞のような思いをしたことはない。なのに泣いてしまった。それはたぶん、この歌詞があまりにも自分の気持ちそのままをぶつけていたからだと思う。この歌詞の中の女の子は本当に相手のことが好きで、だけど相手には他に好きな子がいてそれを知っているから好きという気持ちを伝えることができない。そんな、切なすぎる苦しい気持ちがこの歌詞から滲み出ているのだ。

極めつけはこの歌詞。
 

〈会いたくて/でもほら横にいても/また辛くなってる/その人より私の方が先に/好きになったのになぁ〉
 

私が思うに、ここが片想いの辛さが最高潮に達する時だと思う。”傍にいたいのに辛い。なんで先に好きになったのは私の方なのにこんな想いをしなくちゃいけないの?”
そんな女の子の心の叫びがひしひしと伝わってくる。
だがサビで女の子は、

〈最初から/あなたの幸せしか願っていないから〉

と言っている。これはたぶん強がりなのかなと私は思う。私だったらそんなこと口では言えても心の底からは絶対に思えない。どこかしら、なんで私じゃだめなんだろうと思ってしまうと思う。無理やり笑顔を作って自分に言い聞かせている情景が頭に浮かんでくる。
 

それからはすっかりback numberにハマった。
最初のころはメジャーな曲しか聞いていかなかったが、だんだんとカップリングの曲も聞くようになっていった。それは前までの私では考えられないことだった。前まではカップリングなんてまったく聞かず、有名どころの曲ばかりを聞いてその歌手について充分知っているつもりでいた。もちろん、カップリングを聞かない=ファンではない ということではない。だが私はそれを聞くことであまり知られていない名曲と出会えたり、自分にピッタリな曲を見つけることができた。だからまだ聞いたことがないという人は、ぜひ聞いてみてほしい。
 

そんなカップリングの中で私が1番共感した曲を1つ紹介しようと思う。それは、「信者よ盲目であれ」だ。
back number=恋愛ソング と思っている人は多いだろうが、そんなことはない。これは多々ある応援ソングのうちの1曲にすぎない。
 

〈そう/いつだって不安なんだ/怖くて怖くて仕方がないよ/安心と絶望の間で揺れる〉

〈そろそろ/ナルシストと不安症の間の/丁度良い目印をくれよ/前か左か黒か青か/そんなものあるのか?〉
 

これは部活でなかなか力が出せていない時に聞いて、私を前向きにしてくれた曲だ。この歌詞を聞いてすごいと思ったのが、言葉の選び方だ。清水依与吏の書く歌詞は、”近道より遠回りのものが多い”と私は思う。だから、歌詞が予測できない。大体の曲は、次は”愛してる”がくるかな。などと、予測できることがある。それはありきたりな言葉だからだ。恋愛ソングにおいて、”好き”や”愛してる”は鉄板ワードだろう。だがback numberはあまりそれを使わない。単にストレートに言うのではなく、慎重に慎重に想いを伝えるのだ。
 
 

私はback numberと出会って初めて歌だけではなく、3人の人間性も好きになった。知れば知るほど、より存在を近くに感じることができるような気がして嬉しかった。こうやって音楽文を送りたいと思うほど好きになれたのはback numberが初めてであり、何よりback numberは私に音楽とは何かというのを教えてくれた。私が思うに音楽とは、”自分を変えさせてくれるもの”だと思う。back numberを聞いて身をもってそれを感じた。
 
 

「音楽とは何か。」
 

その答えを教えてくれる出会いは、もうしているかもしれない。

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