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2017年8月15日

さちまる (18歳)
86
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私の前に、確かに彼らが存在した日

[Alexandros]最新ライブ映像作品発売後、ツアーファイナル公演を改めて振り返る

去年の秋、彼らの6枚目のアルバム『EXIST!』が発売されてから9ヶ月、そして、そのアルバムを引っ提げて行われたツアー「Tour 2016~2017 ~We Come In Peace~」ファイナル・幕張メッセ公演2日目から3ヶ月が過ぎた。
先日満を持して発売となった最新ライブ映像作品『We Come In Peace Tour & Documentary』は売り上げも好調で、その人気が確固たるものになりつつある[Alexandros]。私もそんな彼らに夢中で、暇さえあればイヤホンをして彼らの音楽に身を委ねる毎日を送っている。

シャッフルで音楽を聴いていると、ふと流れ出した“ムーンソング”。ボーカル・川上洋平の極上のファルセットとともに美しい旋律を編み出すピアノとアコギの裏に潜む、白井眞輝、磯部寛之、庄村聡泰の楽器隊が発する地に足をつけてひた走るような音。一見綺麗な雰囲気を纏ったこの曲だが、実は最高に泥臭い。だがそれ故に、この曲の持つ色気がさらに引き立つのだ。
同時にこの曲は、およそ3ヶ月前のあの日、ツアーファイナルで1曲目として幕張メッセに鳴り響いた曲でもあった。
自然と私は、自分の人生で歴史的瞬間のひとつとなったあの日の出来事を思い出していた。
 
 
 

あの日は、私にとって初めてのワンマンライブだった。

朝4時に起きて、電車に乗って1人で幕張メッセへと向かった。道中はずっと『EXIST!』を聴いていた。彼らの音に吸い寄せられるように、私は迷うことなく無事に会場へと辿り着いた。

会場に入ってからは心臓のドキドキが止まらなくて、何度も呼吸困難になりかけた。「胸が苦しいってこういうことか…」と少し苦笑いしながら、私はライブが始まるのを今か今かと待ちわびた。
 

スタッフによるアナウンスも終了し、いよいよライブがスタートした…のは良かったものの、惜しくも私は会場の後ろの後ろ。ステージ上の彼らには程遠い距離だった。モニターでしか4人の姿を確認出来ず、私はこの時点ではまだ彼らが本当にこの会場にいるのか信じることが出来なかった。
…このあと起こる、誰もが予想出来なかった事態までは。
 

本編が終了し、程なくしてアンコールが始まった。彼らの登場を待ち望んでいたそのとき、突如私のすぐ後ろの方で悲鳴にも近い歓声が沸き起こった。何事かと振り向くと、前から登場するだろうとばかり思っていた4人が、なんと黒の垂れ幕をめくって会場の後ろから姿を現したのだった。
何が起こったのかわからないまま、周りにつられて私は通路側へと走り出す。すると、視界の先に川上の振り回したタオルが辛うじて映りこんだ。その瞬間、私はやっと彼らが「本当にいるんだ」と思えた。だって、モニターで見るのは、それはいつもと同じだから。画面越しに彼らを見るくらいなら、そんなのライブに来なくたって出来る。違うんだ。私が今日来たのはそんなことのためじゃない。彼らの存在をこの目に焼き付けたくて来たんだ!

身長のせいで、移動した先でもやはり彼らの姿は見えなかった。それでも、明らかにさっきまでと空気が違った。
4人が、そこにいた。
人混みを掻き分けて、手を伸ばせば届きそうな、そんな距離に、私の大好きな大好きな人たちが立ってる。それだけで、今までにないくらい心臓が一気に高鳴った。
ここにいる全員が[Alexandros]です、ちょっとキー高いけど、全員で歌ってください、と、川上がアコギをかき鳴らして始まったのは、アコースティックにアレンジされた“ワタリドリ”。文字通り、会場全員の歌声を乗せた。今考えればあのとき、私たち本当に全員で屋根ぶっ飛ばして空高くまで飛んでいたんじゃないかと思う。
そして、次の“SNOW SOUND”。何とかして4人の姿が見たくて必死に背伸びをすると、少しだけ、ほんの少しだけ、川上の背中が私の視界に映った。
洋平が、私の自分の命の次に大事な、大好きな大好きなバンドの、フロントマンがそこに立ってる。小さなサブステージの上で、ギターを弾いて、歌ってる。動いてる。存在している。今、同じ時間を同じ場所で過ごして、生きている。
彼らも、私と同じ人間だった。

瞬間、張り詰めていた糸が切れたかのように私の両目から涙が溢れ、次々と頬を伝って落ちていった。
会いたくても会えなかった存在、それどころか、私には彼らの生き様、ルックス、発する言葉、音、態度に秘められた確かに輝く一等星級の光、そしてそれでも尚まざまざと見せつけるギラついた反骨精神と泥臭さ────いつだって前しか見ていない、そんな彼らがかっこよすぎて、4人が本当に存在しているなんて到底思えなかったのだ。
けれど今、私の目の前にその4人が存在している。思い返せば、4人に会いたくて一人寂しく涙を流した夜が何度あっただろうか。そんな日々がやっと報われた、そんな気がして、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。

そういえばこのとき、サブステージの周りには銀色の紙吹雪が降っていたらしいのだが、私の目にはそれがどうも金色に見えていた。
勝手な解釈だが、これはきっとステージ上の彼らから溢れ出た輝きが銀色に映り込んで、金色に見えていたのではないかと思う。
すごく、すごく綺麗だった。

気づけば、雪を模した銀色の紙吹雪は、淡い桃色の花吹雪へと変わっていた。
あぁ、そうか。もう4月…春なんだ。
ステージ上の彼らに魔法をかけられた冬の歌はあっという間に春の歌となり、私たちに穏やかな春の訪れを知らせた。

ダブルアンコールのはじめ、2人で“Kaiju”のアコースティックverを披露した川上と庄村。アウトロで本来白井がギターで奏でるメロディーを高らかに歌い上げる川上の歌声に、私は魔力のようなものを感じた。ここにいる全員の心を虜にしてしまうような、力強さと色気に満ち溢れた歌声だった。なるほど、2万3千人のこんな景色を当たり前のように作り出してしまうのも、やはりこの男のこの声があってこそなのだと、改めて思い知らされた。

川上が磯部と白井を呼び寄せ、メンバー全員で演奏した“You’re So Sweet & I Love You”。この曲のタイトルの和訳はこうだ────<お前らなんて最高なんだ、愛してるぜ>。
「それはこっちのセリフだよ、ばか」って、心の中で呟いた。
[Alexandros]、私にはこれほど夢中になれる存在は今までいなかった。彼らに出会ってから、一体どれほどの感情を彼らからもらったことか。
一時期は人間関係が上手くいかず、「いなくなってしまいたい」とさえ思い悩んでいた私だったが、彼らのおかげでその考えはいつのまにかどこか遠くへと消え去っていた。
だって、4人の前ではそんな私のちっぽけな悩みすらくだらないことに思えてくるから。それに何より、4人から目を離したくない。彼らのこの先を、世界一になるその瞬間を、この目で見ていたい。そう思わされることで、私は現実から目を背けないことを決意することが出来た。
彼らには何度繋ぎ止めてもらったことか。感謝してもし切れない。

<オンリーワンじゃクソ食らえだ/ナンバーワンが良い>(“You’re So Sweet & I Love You”)

いかにも川上洋平らしい、宣誓とも言えるようなその言葉が、クライマックスに向け最高潮となった会場に大きく響き渡っていく。
私も含めこの会場全員、彼らが世界一の景色を目指すために大きな覚悟と闘志を燃やしていることを知っている。だからこそ、そんな彼らに少しでも思いを届けようと、皆で必死に手をあげ、ともに心中することを誓う。そう────もはや、世界一になることは4人だけの目標ではない。『[Alexandros]全員の』目標なのだ。
 

演奏が終わり、「もう終わりか…」としんみりし始めたそのとき、聴き慣れたギターのイントロが聴こえ、すぐさま見えるはずのない遠いステージの方へ顔をあげる。痛快すぎて、思わず笑ってしまった。およそ半年に及んだツアーのファイナル公演、その最後の締めくくりに選ばれたのは、彼らの1stシングル“city”だった。

そうだ。これが、これこそが[Alexandros]だ。いつだって私たちの期待を爽快なまでに裏切り、ついてこいと言わんばかりのたくましい背中を見せつけて前に進んでいくその姿こそが、私たちの大好きな[Alexandros]なのだった。
 
 

あの日の夜は、私にとって本当に最高に最強に幸せな時間だった。会場の後ろまでしっかり届いた、花道に立ち、マイク無しで「愛してるぜ!!」と叫んだ川上の肉声と、肩を組んでステージに戻っていく4人の後ろ姿は、昨日のことのようにはっきりと覚えている。
 

「ずっと[Alexandros]についていく」、一体何度彼らにそう思わされてきただろうか。きっともう、数え切れないくらいだろう。彼らに手のひらで転がされている感も若干否めないのだが、そんなことはどうだっていい。

彼らが世界一になるその日まで、私たち[Alexandros]の旅は続いていくのだから。

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