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その声が道しるべ。光の中へ泳ぎ出せ

空と大地とSalyuの歌に包まれて

世界的規模のコロナ禍により、国によってはロックダウンが継続中。
私の住む町でも不要不急の外出を控える自粛要請が出され、穏やかだった“日常”が
奪われてしまった。
“単調な生活”が長くなると、だんだん“今日”が何月何日か何曜日なのかとか
分からなくなる。コロナ鬱や体力や学力の低下が今後深刻な問題と、マスコミや
その道の専門家は言う。私も仕事を休んで既に二ヶ月が経つ。そろそろヤバいな。
言われてみれば少し頭のネジ、ゆるんできてる気がする。家中心の暮らしでも
時の流れは待ってくれない。暖かくもなって気分的に季節が味方してくれるはず。
何でもいいから、脳を刺激する“目標”を持たねば。

先ずは好きな音楽を流し、ウォーミングアップといこう。
テンションを一気に上げたい日は、アップテンポの踊れる音楽。そしてご近所に
聞こえない程度に唄えるゴキゲンな歌モノ。でも今日みたいな春霞のまったり
過ごす午後は、やっぱり“エネルギーチャージ”したい。それには優雅な気分になる
クラシックやスウィング・ジャズもいいが、もっと気楽に自分の力に換えられる
栄養素のような歌モノがいい。言葉数は少なめ、それでいてちゃんと沁みる、
リラックス効果のアロマがじわりと広がる・・・そんなテイストの。

「天に向かい地に響く声」

見出したプロデューサー小林武史氏は、Salyuの声をそう表わした。彼だけでなく、同業のアーティストからも声の魅力を称えられる希有なヴォーカリスト。
渇いた心を潤す“命の水”のような存在にも思うが、まあるくふんわりした声に、
哀愁や悲憤が滲むこともある。だからSalyuの歌には、人肌のぬくもりや鼓動が
強く感じられる。

何か“目標”を・・・と書いたからではないが、たまたま今日の気分で選んだ
アルバムは『landmark』だ。
彼女の作品には「プラットホーム」「TERMINAL」「Merkmal」など“道を示す”表現が
目立つ。そんな中で私が最も好きなのが、このアルバムの3曲目「VALON-1」である。これは初めにRIP SLYMEの ILMARIとIlmari×Salyu名義「VALON」として発表
され、その後Salyu単独で「VALON-1」としてリリースされた歌なのだが。
 

世界は疑いの海から
抜けだせていないと思わないで

******

きっと 壊れた街と それを見てる 取り残された瞳の
銀の光る涙の 先をつたい泳いでいこう

波をかいて 沈まないように
泳いで行ければいい 遠くない夜明けに 
             『VALON-1/landmarkより』
 

“VALON”はILMARIの故郷フィンランド語で“光の中へ” を意味するらしい。
小林氏の描く詞の世界観とエモーショナルなメロディ、Salyuの表現力に
酔いしれるには、他にも良い曲は沢山ある。それらを一通り聴いても私は結局、
ここに辿り着いてしまう。もう何回聴いたか分からない。
レコードだったら、とっくに針も盤も擦り切れている頃。
アイスランドの歌手ビョークを彷彿させるアンビエントな声色、この包容力は
得も言われぬ心地よさ。浮遊感ある静けさから徐々に波紋のように世界が広がり、
ひと筋の光に包まれるラストへ・・・
この歌の世界に更に深く潜りたいときはILMARIの熱いラップがスパイスになるIlmari×Salyuバージョン、そして西洋のおとぎ話のようなPVにも、もれなく
手が伸びる。

日々のイロイロにちょっと疲れたとき、今の世のように“思うようにならない”ことがあったとき、「VALON-1」のSalyuの歌声が私の処方箋になる。
今日も聴いているうちに、たるんだ心と体に力が充分満たされた。
決めた。明日から私の「VALON」泳ぎだそう。
“目標”は小さくていい。ひとつ丁寧に楽しめる何か。それを支えに退屈な日々と
デマの海に溺れないよう、私だけのペースで前へ進もう。

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