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エレカシがくれた明日

それぞれの空の下で

誰かを想って涙を流すのは、久しぶりだ。
先日、地元に住む親友が、病に倒れた。
彼女のお腹の中には新しい命が宿っていた。

急いで東京から地元に帰る準備をしたが、気付いた。
このご時世だ、会いに行こうにも行ってはいけないのではないか。
本人に確認をしたら、やっぱりだ。
家族や夫、誰との面会も許されていないとのことだった。

…なんて無力なんだ。
顔を見て励ますことも出来ない、そばにいて世話も出来ない、
電話の向こうで一人で泣いている親友にかける言葉も見つからない。
誰にも会えないまま、病と戦い子どもを守るということが
一体どれほどの精神力を必要とするか。
どれほど不安で、怖いことか。

ただただ、泣きじゃくる声を電話越しに聞いていた。
病室で一人で泣いているなんて、あまりにも切な過ぎて
涙を堪えることに、必死だった。
 

電話を切った後、途方に暮れていたときだ。
『さあ、がんばろうぜ!』
なんとなく聞き覚えのある声とメロディー。
テレビを見ていた夫が「エレカシ」と呟く。
「これ、『俺たちの明日』って曲。めっちゃ良い曲だよ。」
 

“エレカシ”を初めてきちんと聴いたが、すっかりこの曲に夢中になった。
髪をくしゃくしゃにする「宮本さん」というらしい独特なおじさんは、
澄んだ瞳で「がんばれ!」ではなく『さあ、がんばろうぜ!』と歌う。

『頑張ろうぜ』という言葉すら親友に言って良いか迷っていたところだったが、
宮本さんの歌詞からは全く無責任さを感じない。
そして、『さあ』という掛け声にも、肩を大きな手でポンッと
力強くも優しく、愛情を込めて叩いてもらっているようで自然と元気が出る。
何より、友を想うその歌詞の、なんと温かいことか。
涙が止まらなかった。

大人になると、ましてや家庭を持つと、
学生時代の時のようにいつも一緒というわけにはいかない。
ただ、「いつも一緒」という時を経てきたからこそ
「あの子はきっと今頃、こういう風に頑張っている」と
手に取るように、想像出来るのだ。
どこかで誰かが自分を理解してくれて信じてくれているというだけで、
私は東京での孤独な日々も乗り越えてこれた。

『負けるなよ そうさ オマエの輝きはいつだってオレの宝物』

そう、負けるな、こんな病気になんか負けるな。
大丈夫、絶対に良くなる。
病気に、あの子の輝きは消せないはずだ。
どんなことも乗り越えてきた、凄い子なんだ。
良く泣くけど、泣いた後の強さが半端じゃないんだ。
…そうだ、そうやって信じて祈るしかない。

あの子なら大丈夫だ、と毎日死ぬほど信じて祈ることだ。
私に今できることは、それだ。
不安が少しでも和らぐなら、何時間でも電話に付き合うし
どんな暴言を吐いたって受け止める。
そして私自信も、不安や無力感に負けないこと。
一緒に戦うんだ。戦い抜いてやる。最後まで。
エレカシのお陰でそう思えた。

その後、この歌を親友にも知らせたら、
「すごくうちらっぽくて泣けた。
歌詞も泣けたけど、うちらが同じポイントで感動して泣くだろうなって
それを想像したらまた泣けた」と言っていた。

彼女が入院してから、毎日電話をした。
たくさん泣いて、でもその後は必ず思い出話で大爆笑して、
電話の後私は「俺たちの明日」を必ず聴いては涙を流した。
親友の大切さを思い知りながら、そしてそういう親友の輝きが
どうか失われませんようにと祈りを込めながら聴いた。
宮本さんに『がんばろうぜ!』と言ってもらうのが日課となった。

そんな毎日を繰り返していたら、あっという間に退院の日を迎えた。
「信じてくれて、想ってくれたから頑張れた。
あと、エレカシ毎日聴いてたから!」と
元気な声を聴かせてくれて最高にうれしかった。

「今日の空は綺麗!元気が出るよ。」と送ってくれた一枚の写真。
私も、東京の空を見上げる。

『季節は過ぎてそれぞれの空
オマエこの頃 何想う』

多分、今同じこと考えてるだろうな、と思う。
私はこの日を絶対に忘れないだろう。
来年に延期を余儀なくされたお互いの結婚式では、
今日のことを笑い話にしながら、どうせまた2人で泣くんだろう。

これからも『俺たちの明日』が、私たちを繋いでくれる。
改めて、エレカシの皆さんに感謝を申し上げたい。

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