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2017年8月15日

mr (19歳)

全力で走り、輝きを放ち続けるフジファブリック

RIJF2017で見た彼らの姿

フジファブリックのライブを初めて目にしたのは2014年のロックインジャパンだったな。

そんなことを思い出しながら、私は昂る感情を抑えつつ、3年前と同じようにレイクステージでフジファブリックの出番を待っていた。つい先日のロックインジャパンフェスでのことだ。

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フジファブリックの音楽との出会いは2013年の初夏だった。何気なくYouTubeで再生した「若者のすべて」を聴いたことをきっかけに、フジファブリックの魅力に引き込まれていった。

巷ではよく《叙情性と変態性と普遍性が一体化した個性派バンド》と紹介されているがまさにその通りであり、一度聴いたら忘れられないメロディや、日本語が持つ美しさを感じさせる歌詞、メンバー個々の技術が光る演奏等… 曲を聴き進めていく度に違った衝撃を受けたことを鮮明に覚えている。フジファブリックの音楽に心奪われてからまだ日は浅いものの、心の底から好きだと思える音楽に出会えたことが嬉しかった。それから毎日のように新旧様々な曲を聴き、CDはほとんど揃え、この4年間で何度もライブに足を運んだ。フジファブリックに夢中だった。
 

だがその反面で私は、結成当初からフジファブリックの中心人物として曲を書き続けていたVo./Gt.の志村正彦 -彼が亡くなったという事実を未だに受け止めきれずにいた。フジファブリックを好きすぎるが故に、胸の締め付けられるような思いをすることが幾度となくあった。もっと彼の作る音楽を、4人のフジファブリックが奏でる音楽を聴きたかった。3人になったフジファブリックを心から応援する傍ら、そんなやりきれない気持ちも心のどこかで持ち続けていた。

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しかし、今年のロックインジャパンのフジファブリックのステージを見て、胸の奥でつかえていた悲しみが少しずつ和らいでいくのを、確かに感じた。それは、今回のロックインジャパンフェスで演奏していた、偶然にもタイトルが類似したこの2曲を聴いたときかもしれない。それらの一部歌詞を抜粋する。
 

「今何時?時計はいらない 時なんて取り戻せるからね そうだよ 多分」

「全力で走れ 全力で走れ 滑走路用意出来てるぜ 上空で光れ 上空で光れ 遠くまで」

( Sugar!! – フジファブリック )
 

「あの頃描いてた 夢を忘れはしないよ 君を忘れはしないよ ふいに駆け出した」

「まだまだ行けるさ 明日をもっと信じたいんだ 輝き放ってちょうだい 殻を飛び出してちょうだい」

( SUPER!! – フジファブリック )
 

今までもこの2曲には励まされ奮起させられてきた。だがこの日演奏されたSugar!!とSUPER!!には、今のフジファブリックの思いがより強く込められているように感じた。
 

「時なんて取り戻せる」という志村正彦の言葉。
「まだまだ行けるさ」という山内総一郎の言葉。

彼らだけの音楽を奏でるフジファブリックの3人の姿。

「君を忘れはしないよ」と優しく歌い、空を指さしたのは、志村がいなくなってしまった後、『俺が歌う』と彼に代わってボーカルマイクをとった山内だった。
 

志村亡き後も、フジファブリックはフジファブリックとして歩みを止めることなく進み続けている。そしてその音楽が、今も変わらず多くの人に届いている。その事実に改めて気づかされた。

そして彼らは1番最後に、私にとってのフジファブリックとの出会いの曲であり、思い出深い「若者のすべて」を演奏してくれた。言葉では表現し難いような感情に包まれた。涙が出た。悲しさから溢れてくる涙ではなかった。

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志村が亡くなってしまったことは本当に惜しくてたまらない。彼の才能に惚れ込むほどに行き場のない喪失感が膨らんでいく。でもそれ以上に、彼のつくった音楽に出会えた喜びは大きく、他の何にも代えられない。そして、フジファブリックの音楽が絶えることなく、遺された彼の仲間によって今も奏でられていることを嬉しく思う。今のフジファブリックが創り出す素晴らしい音楽を心から大好きだと思えることを、本当に幸せに思う。そんなことに遅ればせながらようやく気づくことができた。歩みを止めず私たちに素敵な音楽を届けてくれる3人に感謝したい。
 

これからも、フジファブリックが走り続ける限り、私はその姿を追い続けていくだろう。

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