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2017年8月18日

亜沙美 (29歳)
110
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人生GOES ON

フラカンのロックンロールと共に

続ける事って案外難しい 正直しょっちゅう飽きたりしてる
死ぬまで鮮度を保っていたい 腐った魚の匂いはゴメンだ
子供の時 感じてた日々は 今でもきっとどっかで覚えてて
時々心の窓から顔を出す たましいに消費期限はないだろう?
人生GOES ON 人生GOES ON 人生GOES ON・・・・
ー『人生GOES ON』

私は地方の小さなライブハウスで、この歌を噛み締めていた。ライブでもCDでも、何度も聴いているはずなのに、この日はいつになく沁みた。
スピーカーに足を乗せ、上半身を乗り出し、顔を真っ赤にして歌っているのはフラワーカンパニーズのボーカル・鈴木圭介。
「全身全霊」という言葉がそっくりそのまま当てはまる。私にとって、いちばんのロックスター。私は彼を心から尊敬しているし、感謝しているし、恋している。

フラカンに出会って、6年が経つ。
ライブにも数えきれないほど足を運んでいる。地元でライブがあれば必ず行くし、ツアーが始まれば時間とお金が許す限り地方へも足を延ばす。毎朝の通勤時にはイヤホンからフラカンの曲が流れているし、仕事から帰ってからも、寝る前も、常にフラカンの曲に耳を傾けている。生活の一部になっているといっても過言ではない。なぜここまで惹きつけられるのだろう?心が揺さぶられるのだろう?

その魅力のひとつは、鈴木圭介の書く歌詞。
彼の書く歌詞には、露骨に「頑張れ」だとか「前向きになれ」という類のメッセージは一切入っていない。それどころか、ときには剥き出しの言葉で厳しい現実を突きつけてくるもんだから、ダメな自分を受け入れざるを得ない。

地味でも 無様でも 惨めでも
根っこを張って 踏ん張ってろ 意地を張ってろ 笑ってろ
ー『消えぞこない』

逃げきれるもんかよ 落ちきれるもんかよ
歌うしかないんだよ みんな 自分の歌を
ー『はぐれ者讃歌』

迷う程道はなくて 選ぶ程余裕なくて 終わる程勇気なくて まだここにいる
ー『吐きたくなるほど愛されたい』

すべての行き場なき野郎ども 腹くくれ
限りある未来へ 体ごとぶち当たって なだれこんでいけ
何やったって 今さらだって
ー『すべての若さなき野郎ども』

こんなことを言うのは少々失礼かも知れないが、フラカンの音楽に惹かれる人は、どこか不器用で下手な生き方をしている人が多いのではないかと思う。私も例外ではなく、クソ真面目で融通が利かないし、そのくせ正義感だけは人一倍強いため、言わなくても良いことを言ってしまったりする。そのせいで結構損していることもある。そんなことは言われなくたって自分が一番わかっている。
フラカンの音楽はそんな生き方を否定も肯定もしない。上からでもなく恩着せがましくもなく、生活にそっと寄り添ってくれる。「ただただ隣に居る」という感覚のほうが近いかもしれない。そこに親しみを感じるからだと私は思う。

もうひとつの魅力は、徹底した活動スタイル。
フラワーカンパニーズは、年間100本近くのライブをこなすスーパーライブバンドである。
北は北海道から南は沖縄まで、というのは決して大袈裟な話ではなく、彼等にとっては当たり前のことなのだ。その移動手段は、なんと一台のワゴン車。ライブが終わると息つく暇もなくワゴンに機材を詰め込み、自分たちも窮屈そうに乗り込み、次の町へと移動する。着いた先でまた搬入作業をしてライブをする…そんな生活をもう15年以上続けている。
来月リリースされるアルバムに収録される『ハイエース』という曲は、こんな彼等の日常をリアルに歌った曲で、ライブバンドとしてのフラカンの覚悟がはっきりと表れている。

《埃まみれのハイエースに乗って 今日もどこかの町へと走る 6時間くらいか 10時間超えるか 事故がないことを祈りながら》

《最近じゃ続ける事だけが目標になってる 簡単にできるんなら目標になんかしない》

《いつまでこんなの続けてるんだよ いつまでこんなの続けられんだよ》

《体はどんどんガタがきてる 気持ちは年々ぼやけてくる 残っているのは意地か執念か?》

《やめたくないとか やめられないとか 誰かのためとか どうでもいいわ》

《できなくなるまで できなくなるまで できなくなるまで できなくなるまで…》

メンバーは全員今年で48歳。決して若いとは言えない身体には、狭い車内で数時間、ときには数十時間かけての移動は相当厳しいものがあるだろう。並大抵の覚悟では絶対に出来ないことである。
しかしステージの上の彼等は、そんな辛さなど微塵も感じさせない程パワフルだ。そんな彼等の姿はいつも見ていて胸がいっぱいになるし、パワーをもらえる。「私も頑張らなくては!」と心から思うことが出来るのだ。

あと1週間で、私は30歳になる。
実をいうと、29歳を迎えてからの1年間、何か得体の知れないものに怯えていた。30歳の誕生日を迎えるのがずっと怖かったのだ。長い人生、そりゃいろいろあるだろう。親も年をとるし、会社での責任もどんどん重くなるし、悲しい別れも経験するだろう。

ーでも、フラカンのロックンロールと一緒に年を重ねていけるなら、それも悪くないなぁー

ダブルアンコールに応えた後、やりきった顔でステージを後にする4人の姿を見て、そんなことを思った。

いつだってバカみたいに10年後も20年後も
ロックンロールは続いてく どこにもたどり着かないで
進歩も成長もしないままで そのままで
何にも変わらず続いてく 迷いのない声で続いてく
ー『ロックンロール』

「ロックンロールは何の役にも立たない」といつか誰かが言っていたが、それは間違っていると声を大にして言いたい。なぜなら、フラカンのロックンロールは私の人生に大いに役立っているからだ!

夢がなくて 金がなくて 傘がなくて 靴がなくて 
友がなくて 彼女がなくて アテがなくて ツテもなくて
髪が抜けて 豚になって 仕事がなくて 未来がなくて
負けて負けて 泣けて泣けて もう最低にダメでも
ー『東京タワー』

それでも、奥歯かんで、ふんばって、見栄をはって、生きていくしかないんだよ。
私にそう教えてくれたのはフラカンだった。
これから先の人生も、壁にぶち当たったり道に迷いそうになったときは、そのまっすぐな音を頼りに歩いていくつもりだ。だからこの先10年、20年、30年、いや永遠に!4人でロックンロールを鳴らし続けていってほしい。

人生GOES ON、フラカンGOES ON!

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