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エレファントカシマシ2枚組ベストを作る

コンピレーション癖が止まらない

高校生の時からずっと、コンピレーション癖が止まらないでいる。自分の好きなアーティストのお気に入りのナンバーを選んで編集する。音楽好きの人間にとってこれ以上に楽しいことなんて、他に思いつかない。ということで、エレファントカシマシ2枚組ベストCDを実際にプロデュースするような気持ちでやってみたい。

さて、コンピレーションで最も大事なのが選曲であるのは言うまでもないのだけれど、それと同じくらい重要なのが曲順だと認識している。なぜなら、曲を生かすも殺すも全て曲順にかかっているからである。ヒット曲だけを適当に並べたベスト盤が意外とツマラナイのが何よりの証拠だろう。ならばどうするか、自分で作ればいいのだ。この曲はここ以外には考えられない、というピンポイントの位置付けが出来るのは、大いなる情熱と深い愛情を併せ持った人間だけであり、ビッグ・データを駆使したAIでさえも不可能な所業、それがオリジナル・コンピレーション作りなのである。

僕の場合、オープニングは静かで落ち着いた曲で期待感を膨らませ、2曲目にインパクトの強い曲を持ってきて一気に盛り上げ、3、4曲目に最初のビッグウェイヴを起こす目玉を置く。飛んで中盤折り返しの6曲目に中締めとなる重要曲を配して、7、8曲目で流れを変えつつ第二の山場を築く。そしてラスト前にバラード系の曲を置き、最後にとっておきのキラー・チューンでドカン!というパターンが鉄板だ。

コンピレーションは、バラエティに富みながらもサウンドの統一感を演出するのが最大の腕の見せ所で、僕的には、デビュー・アルバムから6枚目の『奴隷天国』までを”初期のエレカシ”とし、7枚目の『東京の空』を架け橋として、8枚目の『ココロに花を』以降を”その後のエレカシ”と区分けしたい。メロディ、アレンジ、詩、宮本の歌い方、ヴォーカルとサウンドのバランスなど、ほぼ全てにおいて「初期」と「その後」では雰囲気が著しく異なっている。「混ぜるな危険!」これはエレカシ・コンピ制作における大原則である。

曲数は1枚あたり12曲がちょうど良い。10曲だと物足りないし、15曲だと多すぎる。よって中間の12曲がベスト。そして、選曲の最終段階において、「あと1曲これだけはどうしても入れたい」なんて気持ちが必ず沸き起こるものだけれど、それをグッと抑え込んで我慢する。曲数を絞り、濃度を高め、完璧な流れを構成するコンピレーション作りではそれが必須。己と戦って勝利した者だけに輝ける明日がある。

というわけで、ディスク1『初期のエレカシ』コンピレーション

01「序曲」夢のちまた(浮世の夢 1989)
02 凡人-散歩き(生活 1990)
03 星の砂(THE ELEPHANT KASHIMASHI 1988)
04 おはよう こんにちは(THE ELEPHANT KASHIMASHI Ⅱ 1988)
05 太陽の季節(奴隷天国 1993)
06 珍奇男(浮世の夢 1989)
07 奴隷天国(奴隷天国 1993)
08 男は行く(生活 1990)
09 シャララ(エレファントカシマシ5 1992)
10 ゲンカクGet Up Baby(THE ELEPHANT KASHIMASHI Ⅱ 1988)
11 道(奴隷天国 1993)
12 ファイティングマン(THE ELEPHANT KASHIMASHI 1988)

『初期のエレカシ』の解説となると、思い入れが強すぎて長くなるので割愛して主旨だけ一言。このディスク1は、ぶっちゃけラストの「ファイティングマン」を最高の気分で聴くためのものであり、前の11曲は、ふぬけたドタマをフル回転させて考えたオードブル、壮大なるイントロダクションだと言ってもいい。

優れたミュージシャンには「この曲を世に解き放つために生まれてきた」みたいな曲が必ず存在する。エレカシの数ある名曲の中で、僕が勝手にそう認定している曲が「ファイティングマン」なのである。宮本は、おのれの言いたかった事の全てをデビュー・アルバムの1曲目で一片も残さずに吐き出してしまっている。「これ以外のことなんて別に大したことじゃねーよ」と言わんばかりに。

稀代のロック歌手、宮本浩次の荒ぶる魂の叫び、それが爆撃機のようなバンド・サウンドと一体となって、僕の高鳴るハートをマッハでぶち抜いてゆく。エレファントカシマシと付き合って30年以上経ったけれど、この曲を超えるものは未だに無い。でも別にガッカリなんてしていない。なぜなら「ファイティングマン」はそういう特別な曲であり、それがたまたま最初だったというだけだからだ。

それでは続いて、ディスク2『その後のエレカシ』コンピレーション

01 部屋(ライフ 2002)
02 悲しみの果て(ココロに花を 1996)
03 ガストロンジャー(good morning 2000) 
04 達者であれよ(風 2004)
05 暑中見舞-憂鬱な午後-(ライフ 2002)
06 夢のかけら(愛と夢 1998)
07 歴史(扉 2004)
08 化ケモノ青年(扉 2004)
09 友達がいるのさ(風 2004)
10 so many people(グッドモーニング 2000)
11 おまえとふたりきり(愛と夢 1998)
12 パワー・イン・ザ・ワールド(扉 2004)

初めて「悲しみの果て」を聴いた時のあの、目の前の世界がバーンと開けてゆくような開放感は、今でも鮮明によみがえってくる。まさしくターニング・ポイント。エレカシの快進撃はここから始まり今に至っているように思える。

そんな『その後のエレカシ』の音楽性は多種多様でセレクトするのがとても難しいのだけれど、だからこそ面白い。「部屋」、「達者であれよ」、「化ケモノ青年」あたりの隠れた名曲をどこに置くか、そういう事を考えるのがたまらなく楽しい。その中にあって、10枚目の『愛と夢』と15枚目の『扉』は超個人的愛聴盤であり、このコンピレーションの重要なポイントを担っている曲のほとんどが、その2枚からのセレクトになっている。「夢のかけら」と「おまえとふたりきり」の、まるでお伽話のような哀切、「歴史」と「パワー・イン・ザ・ワールド」の狂おしいまでの孤高ぶりには、聴くたびに新たな何かを感じずにはいられない。

実を言うと、僕は2008年リリースの18枚目『STARTING OVER』以降のアルバムを全く聴いていない。それがどうしてなのかに明確な理由はなく、結果としてそうなっているだけで意固地な誓いを立てているわけでもない。だから多分、何かきっかけがあれば普通に聴くと思う。それがいつになるかは分からないけれど、『さらにその後のエレカシ』コンピレーションを作ることを密かな楽しみとして取っておきたい。

というわけで、散々頭を悩ませながら楽しく作った、エレファントカシマシ2枚組コンピレーション。これが良いのかと問われれば、まあまあだと答えざるをえないが、君はどうだ?

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