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Sail On ~出航しよう~

変革のノエル・ギャラガー

 ノエル・ギャラガー、彼にオアシスは必要ない。
 誰に新譜をこき下ろされようと、どれだけ再結成を望まれようと、もう彼にオアシスは必要ない。
 俺がオアシスを知ったとき、既にそのバンドは存在していなかった。
 15歳の日本人の少年がロックに目覚めたときにはもう、ノエルは次の航海を始めていた。
 1stアルバム『Noel Gallagher’s High Flying Birds』、エレキのほとんど登場しないサウンドにオアシスとの決別を思わせる。それは彼自身の意向で、敢えてオアシスっぽさを避けたと話していた。
 2ndアルバム『Chasing Yesterday』に収録されている”In The Heat Of The Moment”を初めて聴いた時、「ノエルはもう戻ることはないんだな」とようやく心から悟った。大好きなアーティストの音楽性の変化はだいたい寂しさや憤りを感じる。でもあの時、俺にはそんな感情はなかった。「腑に落ちた」という表現が一番シックリくる。
 ドンッ、ドンッ、ドンッ。バスドラムが鳴る。
 ”Na Na Na Na Na~”。サイケデリック調なファルセットが歌い出す。
 鐘の音が響き渡る。
 そこにいるのは元オアシスのノエル・ギャラガーではなかった。いるのは《Noel Gallagher’s High Flying Birds》のノエル・ギャラガーだった。
 オアシスだろうと何だろうと関係ない。あるのは彼の書いた歌。それだけだった。
 3rdアルバム『Who Built The Moon?』。アルバム全体を覆うエキゾチックさをヘッドホンでまた覆えば、どこか知らない土地にでも飛んでいけそうな気がする。ロックンロールなんてもういいかなとすら思えてくる。事実ダンス系と呼ばれる類のポップスを聴く方が多くなった。彼の音楽に誘われるように。

 まだまだノエルを追いかけたい。今ノエルはむちゃくちゃ面白い!

 そんな中公開されたミュージックビデオ”Sail On”。
 雨と風の音が優しく流れるイントロからアコースティックサウンドが甘くフェードインする。もの悲しげに彼の声が響く。

 ”Sail on”
 ”Tell the girl behind the counter”
 ”That I loved her once but soon I must be gone”

 〈出航しよう〉
 〈カウンターの奥の娘にいってくれ〉
 〈確かに彼女を愛したけれど、もうすぐ俺は行かないといけないんだ〉

 正直”Sad Song”や”Talk Tonight”のようなオアシス時代のアコースティックナンバーを彷彿とさせられた。歌詞も深読みしたくなるような内容だ。
 でもそれが何だっていうんだ。あるのは彼の書く歌だけだ。
 そこにいるのはイギリスが生んだ怪物ソングライター、ノエル・ギャラガー。
 《元オアシス》なんて、そんなものいらない。彼の提げるギターはギブソンではなくフェンダーになった。煙草も辞めた。
 彼はノエル・ギャラガー。英国が誇るオヤジ、ノエル・ギャラガーだ。

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