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2017年8月22日

みどりまみれ (29歳)
69
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会いに行きたくなるバンド

キュウソネコカミ

19歳の夏
大学の夏休みの時に初めてROCK IN JAPAN FES.2007(以下、RIJF)に行って、太陽を浴び夜空を眺めながら開放的に音楽を楽しめる野外フェスを初体験した。

それから10年
社会人になった私は仕事の関係で行きたくても行けず夏フェスから遠ざかっていたが、今回どうしてもRIJF2017に参加したかったので、上司に数ヶ月前から休日申請を出し、行く決意をした。
 

私はここ1年で大好きになったバンドがある。
「キュウソネコカミ」だ。(以下、キュウソ)

気づくとキュウソの音楽に人柄に魅了され何回かライブに行き、落ち込んでいる時に背中を押されたり、自分の今の現状を見つめ直したり、色んな感情を自分の中から引き出してくれた。

彼らの魅力の1つに表現力がある。

その時のライブの雰囲気により、彼らはライブ途中に仮装をしたりしてエンターテイメントが強い面白いライブになる事もあれば、ストイックに演奏してクールでカッコ良いライブになる事もある。
なので、その時々によって同じ曲なのにもかかわらず凄くハッピーな曲でとても笑顔になれる時もあるし、凄く胸に染み込んできて泣けてくる時もある。

キュウソが今まで発売してきた曲の中に
「キュウソネコカミ」という曲がある。
タイトルがバンド名になっているこの曲は歌詞全体で、バンド自体の気持ちが書かれている。
その中ですごく気になった歌詞があった。

「俺らはこんなポテンシャルで
ウダウダやってるつもりは無い
優しい歌は歌えないし
ロキノン系にはなれそも無い!」
(「キュウソネコカミ」/「10代で出したかった」より)
 

挑発しているようで怒っているようで嘆いているようなストレートな歌詞が頭から離れなくなった。
と、同時に私の中でとてもカッコ良く響いた。
そして、「ロキノン系」という言葉にとても衝撃を受けた。
いつの日から「ロッキング・オン・ジャパン」という音楽雑誌によく出るバンドをネット中心に「ロキノン系」と呼んでいることを知った。
でも、なんで敢えてそれを歌詞にしたのか?と不思議に思い彼らの歴史を調べてみると2011年の夏にRIJFも主催している会社が主催している「RO JACK」というオーディションに出演していて優勝ではなく、入賞をしている事を知った。だからなのかなと勝手に想像して納得してしまい、更にこの曲が好きになった。

そして、この曲を聞いた事により私には夢が出来た。
RIJFのステージで「キュウソネコカミ」を歌うキュウソのライブを観たいという夢。

それを叶えるために10年ぶりにRIJFに行った。

チケットを取った時点でどこのステージに出るかも分からない。どの時間にライブをするのかも分からない。そもそも、この曲をやります!!と宣言しているわけではないので、行っても聞けないかもしれない。昔の曲だし時間が限られていて色んなファンの人が集まるフェスだから聞けない可能性のが高い。
それでも、僅かな希望を胸に抱き行った。

開催日が近づき、キュウソが出るのは
PARK STAGE 17時30分から
8月6日のこのステージのトリと知った。

10年ぶりに行った会場には懐かしさもあった。
あまりの暑さに耐えれず涼みに行った観覧車
ゲートをくぐり抜けすぐ目の前にあるLAKE STAGE

色んな音楽があちからこちらから流れていて
躍りながら、ご飯を食べながら全身で楽しんでいたらあっという間に、キュウソの出番が来た。

リハーサルの時点でメンバーが出て来て数曲演奏してくれるのが恒例になっているが、今日も行ってくれた。

でも、いつもの賑やかな余裕のある感じと違うような気がした。どこかトリという立場に緊張しているような。私の気持ちが昂っていたからそう見えてしまったのかもしれない。

しかし、やっぱりいつもと違った。
本編で必ずやる代表曲
「DQNになりたい、40代で死にたい」を演奏してくれた。
今日のキュウソのライブでは一体何が起こるんだろうという気持ちの高まりとほどよく出ている太陽の暑さとで体が今年一番の熱を持ち始めた。

遂に、本番。

SEは今日のGRASS STAGEのトリを務めるレコード会社の大先輩の曲で登場
誰もが知っている夏の定番曲に客席も拍手で盛り上がりメンバーも波に乗りながら笑顔で出てきて、自分の定位置に着き

「ビクターから来ました、キュウソネコカミです」
というボーカルのセイヤさんの声を合図に
「KMDT25」でスタート

皆から待ってました!!の気持ちが溢れだし1曲目から会場全体で楽しんでいるような気持ちになった。
メンバーもいつも通りこちらをそれぞれのスタイルで煽ってくる。しかし、いつもよりも力のこもった何か訴えてくるような感じがあった。

こちらの盛り上がりを止める事なく、次々にライブ定番曲や今度発売される新曲を演奏してくれた。

途中、MCが入り
「PARK STAGEのが入る人数が多いみたいだけど
LAKEステージのが大きい気がする 。」という
ちょっとしたぼやきにクスッとしたが、なんだかこの言葉が私の胸につっかかった。

「KMTR645」では、ギターのオカザワさんの見せ場であるギターソロの所で、聞いたことのある有名曲が流れ、皆で大合唱。
裏のステージで被っているアーティストの歌を唄ってしまうのはなかなか出来ることではないと思う。
けど、これがキュウソなりのアーティストに対しての敬意で、このステージを選んでくれたファンに対しての感謝が込められているのだと思う。

終盤にさしかかり「ハッピーポンコツ」の中で
「一生懸命やろうぜ!やれば出来る!」と歌う
セイヤさんの表情は優しくでも苦しそうな。こっちに向けて言っているようで、セイヤさん自身に向かって言っているようにも聞こえた。

そして、「ビビった」もいつも以上にエモーショナルで、観ているこちら側もキュウソの演奏に合わせて更に熱気に満ちていった。

曲が終わった。
もう本当にそろそろ終わってしまうのだなという時に
「帰んじゃねー!!」とほぼマイクを通さずに叫ぶセイヤさんが居た。
懇願というより怒りに近いような感じもした。
私は前の方に居て人に囲まれており後ろの状況が全く見えなかったが、おそらく、違うステージへと移動していく人が居たのだろう。

そして、
「正直、GRASS STAGE出れなくて
PARK STAGEなのが悔しい!!」と、
今日のライブの中で一番大きな声で叫んだ。

この叫びを聞いた時に私の胸につっかかっていた何かが取れた。
2番目に大きいステージであるトリ。
それに選ばれただけでも充分素晴らしい事だと思う。喜んで良いと思う。けれども、そうじゃないのがキュウソの良いところで、魅力なのだ。
しかも、それを自分たちだけの中に留めておかない、この場で素直な気持ちを吐き出してしまう。
簡単なようで、とても勇気がいる行動だ。

私も正直悔しかった。
キュウソと同世代のバンドだってGRASS STAGEで演奏している。
でも、こうやってこの場で直接、素直な気持ちを伝えてくれたのでその気持ちを受け止めて、
必ずGRASS STAGEで演奏する彼らの姿を見届けようと思った後に演奏された「わかってんだよ」

力強いこちらに全身全霊で鳴り響く演奏に、身動きが上手くとれなくなり、ただ必死に耳を傾け見つめて歌から伝えられる彼らの想いを最後の最後まで全身で受け止めた。

最後の音が鳴り響きながら、ベースのカワクボさん、キーボードのヨコタさん、オカザワさん、セイヤさんがドラムのソゴウさんの方を向き、ライブを終わらせようとしている。

その姿を観て、今日まで抱えてきたであろうキュウソの素直な想いを聞けて、その想いを歌に込めて魅せてくれた事に感謝の気持ちでいっぱいになっていると、セイヤさんが床に倒れた。
そして、音がピンっとなった。

やりきったのだな。
こういう終わり方もキュウソらしくて良いなと自分の中に張りつめていた想いが取れて感情が満たされクスッとなった時に、セイヤさんが立ち上がり、
「今日はアンコールないので」と言って始まった

「キュウソネコカミ」

気づいたら声を出して泣いていた。

最後の最後に、夢が叶ったのだ。

ライブが始まってからは正直、もう期待はしていなかった。そんな事を忘れてしまい、夢中にさせてくれる素晴らしいライブだったのだ。

でも、キュウソの音楽に出会い大好きになってからこの場所で必ず聴きたいと思っていた音楽が今、目の前で演奏され鳴り響いているのだ。

涙が止まらなかった。
こんなにも泣いて、でも、嬉しくて胸が苦しくなって心が震えたライブは初めてだった。

どのアーティストにも言える事だが同じライブなんて2度とない。
同じ曲を演奏したとしてもその場の空気やバンドの想いで違いがある。
だから、見逃したくないのだ。
時に面白く、時にストイックに魅せてくれるキュウソのライブは特にそう想わせてくれる。

これからも悔しさを悲観的に捉えるのではなく
エネルギーにして上を目指していくキュウソを見続けたい。悔しさも喜びも一緒に共有していきたいのだ。

「俺らはこんなポテンシャルで
ウダウダやってるつもりは無い
優しい歌は歌えないし
ロキノン系にはなれそも無い!」

今度は、GRASS STAGEの1曲目に聴けるのが夢です。

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