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2017年8月23日

むらぴよ (19歳)
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見る人の心を揺さぶるロックバンド

MONSTER baSHの大トリでback numberを見た話

私はback numberについてそこまでファンではなかった。有名な曲は知っているしアルバムも何枚かは聴いていて好きな曲もあったが、ものすごく好きというわけではなくライブも昔フェスで1、2度見た程度だった。

去年から音楽好きの友人たちと香川県の野外フェスMONSTER baSHに参加している。トリのバンドはみんなでシートエリアに集合して一緒に見て、その後片付けをして帰るというのが私達の決まりだった。一番大きいステージで今年大トリを務めたのがback numberだった。私は曲が分かるか若干の不安はあったが、楽しみにしている友達もいたので久しぶりにback numberのライブを見た。
 

モニターに映像が流れてback numberの文字が映し出され、ステージにメンバーが登場した。“半透明人間”の最初の一声が発せられた瞬間、隣にいた友人が叫んだ。私達は小高い丘の上からステージを見ていた。日が暮れ始め薄暗くなってきた会場を照らす照明のライト。会場を埋め尽くした揺れ動く人の波。大トリにしか味わえない空気と光景がそこにあった。続く“SISTER”でも会場中で手が挙がり、楽しかった2日間の締めくくりを楽しむ人々で溢れていた。

夏にぴったりの“わたがし”、そして“ハッピーエンド”と曲は続き、その後に披露されたのは“MOTTO”だった。あまりの格好良さに開いた口が塞がらなかった。強めのギターフレーズに痺れた。back numberはロックバンドを聴かない人にもなじみやすい曲を作るため、なんとなくロックバンドではないように感じていたのかもしれない。しかしその時のback numberは完全にロックバンドだった。圧巻だった。続く“青い春”でも会場を盛り上げ、ラストの“スーパースターになったら”で本編は終わった。
 

back numberのステージで一番強烈な印象を与えられたのがアンコールだ。このアンコール終われば2日間のモンバスも終わる。最後にどんな曲を演奏するのだろう。きっと有名なヒット曲で盛り上げて終わるのだろうと思っていた。
袖からメンバーが再び登場し、イントロが奏でられた曲は“クリスマスソング”だった。正直全く予想していなかったし、こんな真夏に?と思った。しかしすぐにこの曲に引き込まれた。季節外れなのに今の雰囲気にぴったりだとすら思えてしまった。

「会いたいと思う回数が 会えないと痛いこの胸が 君の事どう思うか教えようとしてる
いいよ そんな事自分で分かってるよ サンタとやらに頼んでも仕方ないよなぁ」
ー“クリスマスソング”

去年の冬クリスマスソングを初めて聴いた時、「ああback numberが売れるのも当然だ」と思った。誰しもが感じたことのある感情をここまで表現できるなんて、天才だと思った。
夏の夜の野外でこの曲を聴いて、頭の中を様々な思い出が駆け巡った。自分にも苦しかった時があった。苦しかったけどそれを自分の中で自己完結してなんとか終わらせてひたすら耐えてを繰り返していた。それらのことが次々と思い出されて、涙が止まらなくなった。いつの間にか客席でスマホのライトが光り始め、まるでイルミネーションのように会場中を照らした。私もライトを揺らしながら、流れる涙を抑えられないでいた。
 

スタンディングエリアから丘の上まで白い光が一面に広がった「この景色を一生忘れない」と清水依与吏(Vo/Gt)が語った後、最後に“高嶺の花子さん”が披露された。打って変わって真夏の曲になり会場が沸いた。アップテンポな曲に変わっても私はまだ涙が止まらなかった。発表された時期も季節も違う2曲なのに、なぜか繋がっているように感じた。

「会いたいんだ 今すぐその角から 飛び出してきてくれないか
夏の魔物に連れ去られ 僕のもとへ」
ー“高嶺の花子さん”

私だってこんな風に思っていた、いや思いたかった。それすらも殺して耐えていた。今だって苦しいのかもしれない。もう感情が抑えられなかった。曲に乗ることもできずただただ泣いていた。ふと周りを見ると、一緒に来た友人たちも立ち尽くしたりしゃがみ込んだりして泣いていた。きっとそれぞれに苦しんでいることがあって、思い出す記憶があるのだろう。
たくさんの人の心に入り込む曲を作るback numberはすごいと思った。ロックバンドということを見せつけ、見る人の心を掴み、夏フェスの大トリという大役を堂々と果たした。

会場を埋め尽くす観衆に深々と頭を下げたメンバーが袖に捌けていくと、夜空には花火が上がりMONSTER baSHの夏は幕を閉じた。
 

「そこまでファンではなかった」はずの私が、気づけばこんなにもback numberに引き込まれていた。同じようにback numberに2日間のフェスの思い出を塗り替えられてしまった人がどれくらいいるのだろう。私はこのステージを一生忘れないと思う。

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