3456 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

重畳的、物語的な卑弥呼の誕生

BEYOOOOONDS 1Stを聴いて

重畳的、物語的な卑弥呼の誕生
―BEYOOOOONDS「BEYOOOOONDS 1St」を聴いて
冨田浩史

 思えばどうしてこんなにアイドルにハマったのか、考えられるのはモーニング娘。の「LOVEマシーン」である。入院中に自宅での外泊が許され、リラックスしているときに妹から「お兄ちゃん、これからやる曲、面白いよ」と言われ「ASAYAN」で「LOVEマシーン」のフルコーラスを聴いた。あの曲の二番の歌詞が

あんたの笑顔は/世界がうらやむ/夢があるんじゃないか!/
Dance! Dancin’ all of the night (踊れ! 一晩中踊れ!)

と、あったのだが、これを聴いた瞬間「あれ? これって例えばザ・ブルーハーツみたいなロックが歌うことじゃないの?」と思った。「アイドルの方がロックより先に行ってんじゃん」と思った。それから太陽とシスコムーンを好きになりマイナーなものではFolder5、D&D、ZONEを好きになり、メジャーなものでは浜崎あゆみ、水樹奈々、BABYMETALを好きになった。(この三者は僕の中ではアイドルである)。しかし今はJAPANにBiSHのインタビューが連載されるのだから時代は変わったものだ。

 アイドルは自分で作詞作曲が出来ない。そこで職業作家が書き下してアイドルは歌う。それは言ってみれば卑弥呼なのだ。神に祈る卑弥呼に曲が降りてくる。そしてロックミュージシャンであるつんく♂さんのメッセージが娘。に降りてきて、世の中に広まっていく。これがアイドルなんです。

 そんな娘。から始まったアイドル集団、ハロー!プロジェクトの期待の新星が、今から紹介するBEYOOOOONDS(以下ビヨーーンズと表記)なのだ。第61回日本レコード大賞最優秀新人賞も取っている。YOU TUBEで観てほしいが、例えば「眼鏡の男の子」には意味がたくさん重なり合い、一つの寸劇みたいになっている。(それがタイトルの「重畳的、物語的」の意味です)。ライブはまるで学園祭みたいだ。細かいことを言うとメロディの高低差が狭いような気がする。でもラップだって音域は広くないがグルーヴを生み出している。そして前田敦子、百田夏菜子のような、はっきりしたセンターがいない。キーボードが弾けるメンバーもいるが、基本はヴォーカルグループである。

メンバーは12名だが、これと言って特徴的なメンバーはいない。でも12名集まったら凄い。小劇団を圧倒する連携を見せる。メンバーは一岡伶奈、島倉りか、西田汐里、江口紗耶からなるユニット「CHICA#TETSU」(代表曲は「都営大江戸線の六本木駅で抱きしめて」)、さらに高瀬くるみ、前田こころ(僕の推しメン)、山崎夢羽、岡村美波、清野桃々姫からなるユニット「雨ノ森 川海」(代表曲は「GIRL ZONE」)、また専属メンバー(この「専属」という言葉の使い方も引っかかるが)平井美葉、小林萌花(キーボード担当、かなり上手い)、里吉うたの(代表曲は「We Need a Name!」)で構成される。とにかく寸劇や語りなど演技力が高い。二つのグループを足して追加メンバーを参加させたみたいだが、人数の多さに個性が光らないのでは? というこちらの思いを逆手にとって、みんな光っている。魅力的である。

今は懐かしき「平成名物テレビ イカすバンド天国(イカ天)」で映画監督の大島渚は“たま”に対して「すぐれた芸術って『パッと』出来た感じがするんだよね」と言っていたが、ビヨーーンズも厳しいレッスンの舞台裏を感じさせない。

 それではここからアルバムのなかでもPVになった曲を紹介してみよう。ちなみに僕のCDは「りぼん」や「なかよし」のような低年齢向け少女漫画誌の表紙のようなデザインでなかなか芸が細かい。

#アツイ!
 エアコンの利いてないラーメン屋や付き合い初めのカップル等とにかく熱いものを並べたナンバー。アルバムのオープニングを飾るホットなナンバー。

#ニッポンノD・N・A!
 JAGATARAの「日本人て暗いね」に相通ずるような日本のサラリーマンに対する逆説的応援歌。日本の経済を支えている人に聞いて欲しい。

#眼鏡の男の子
 ビヨーーンズ唯一のシングル。ハロプロ所属グループのメジャーデビューシングル初のオリコン週間ランキング1位。次の曲の「恋のおスウィング」とそのまた次の曲の「文化祭実行委員長の恋」と“学園三部作”になっている。

#Go Waist
 Pet Shop Boysの「Go West」のカバー。女の子にとって一番大問題の“おなかのくびれを作りたい”と言う欲求についての切実な曲。

 それにしてもKAGOMEとちゃっかりコラボした「ビタミンME」は何でアルバムに入っていないんだろう。チアリーダー姿でかわいいのに。新曲なのか?

 とにかく百聞は一見に如かず、もとい一見は百聞に如かずのアルバムです。ぜひヘビロテしてください。最新型のアイドル像が体感できますよ。

 あと二週間後にライブDVD「LIVE BEYOOOOONDS 1St」が発売される。ちょっとダイジェストを観たがやはり前田こころは目立っている。長身のボーイッシュな女の子ってみんな好きだからな。めっちゃ楽しみ!

 僕はBiSHがアイドルの最終形態だと思っていたのに、思わぬ伏兵が現れた。僕はこれからももクロを応援するべきか、BiSHを応援するべき?か、ビヨーーンズを応援するべきか? 悩む。思案投げ首、である。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい