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2017年8月24日

アンズ (18歳)
29
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この夏預けたくなった音

ザ・モアイズユーと私の夏

 

《今夜だけは君のそばにいたいんだ》

ありがちだけれどどこか惹かれてしまうのは、他の誰でもないボーカル、本多真央の、あのエモい歌い方と表情があるからであろう。

私がこの“花火”という曲をちゃんと聞いたのは、つい2ヶ月前。

当時付き合っていた彼氏が私に貸してくれた何枚かのCDの1つで、借りてからiPodに入れたものの、私の興味のある分野の音楽ではなく、しばらく放っておいたのだった。

結局、彼と別れるまで1度も聞かなかった。じゃあ、どうして別れてから聞こうって思ったって?
それは、別れ話をして去り際に
「一緒に花火見に行きたかったな。」
と言った彼の言葉がきっかけだった。

その時、ハッとしたのを覚えている。
夏祭り一緒に行こうねなんて約束した事。
それと同時に、借りたCDに“花火”という曲があった事も思い出したのだ。

帰りのバスでほんの少し寂しい気持ちを抱きながら聞いた“花火”は、何だ大したことないじゃん、なんて思った。
そう思ったのに、もう一度聞くと、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビと続いていくうちに、聞いてるこっちが小っ恥ずかしくなるくらいストレートな歌詞が心にスッと入ってきた。
そして気づけば、バスの窓に映る自分が涙を零していた。

《8月の夜風に君の黒髪が揺れてる》
 

別に黒髪でもない私がまるで、もう終わった彼と私の歌だと重ね合わせてしまうくらい、ソウルフルなこの曲にやられたのだ。
 
 

8月がもうすぐ終わる、そうは感じさせないくらい毎日暑い中、私は地元の花火大会に行った。
きっと、ドラマや映画なんかだったら、ここで彼と再会なんかしちゃって、いい感じの雰囲気になって、復縁、なんて事があるんだろうけど、別にそんな事は起こらないし、起こってもほしくないけど。
けれど、大きな打ち上げ花火が上がっていく瞬間、なぜか、“ザ・モアイズユー”の“花火”がまた頭の中で流れるんだ。
 

《花火の色 僕らの涙は同じ色をしてた》

彼もこんな涙を流したのかな、なんて柄にもないような事を思って、花火を見たんだ。

《花火の音 2人は夏の終わりを見てた》

最後の花火が打ち上がったとき、私の夏は終わったんだ。私の恋は終わったんだ。
 

それから、ブリーチして傷んだ髪を黒髪に戻してみたり、新しい恋を探してみようなんて思ったり、色々スッキリとした。
こんな風に、たった数ヶ月の夏がこの曲のおかげで随分と変わって見えて、私自身も何だか今までよりも情で溢れていた気がした。
それと同時に、もっとこのバンドを知りたいと思った。
私の心に1度は入ってこなかったこの曲が今ではずっと奥底に居座るくらい、あったかくて人間臭くてエモくて、虜になってる。
大阪、センチメンタルロックバンドを名乗る彼らに私の夏以外の季節も預けたくなった。

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