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歴史の転換点?

~「ローリングピアノマン リクオ ツイキャスLIVEプレミア有料配信ライブ」

 今回のコロナ禍により、私自身チケットを購入していたライブがことごとく延期や中止となり、そんななか、京都左京区一乗寺の町おこしイベントを主催するライブハウスの店長が企画した「ローリングピアノマン リクオ ツイキャスLIVEプレミア有料配信ライブ」を視聴する機会を得た。人生初のインターネット配信ライブ体験。
 配信が始まるまでの待ち時間、インターネット環境設定の苦手意識や、DVD見てるのと変わらないんじゃ・・・という不安と、ひと月半ぶりに生のリクオ氏の音楽に会える期待とでわが心臓はバクバクの状態。地元地域店舗のテイクアウトメニューの情報が流れた後、ようやくオープニングを迎える。パソコンのディスプレイにうつる懐かしい姿をみとめたとたん、心は一気にライブ会場「ノルウェイジャンウッド」にとんでいた。
 配信を提供する「ツイキャス」は、視聴しながら購入者がチャットを書き込み、閲覧できる仕様になっている。このリアルタイムのコメントや歓声のおかげで観客のあいだに離れていながらも一体感がうまれ、もしかしたらライブハウスで聴くよりもリクオファンであることのつながりが強まったような気がしていた。
ひとりで観ていることを感じない、そして熱いリクオ氏からのメッセージが、心情がつまった興奮の二時間半。
 さらにツイキャスは生配信後2週間、購入者は自由に閲覧することができ、私は毎日見てしまった。
このライブを反芻のような行為は、リアルタイムの高揚感から少し距離を置いているせいか、興奮して見落としていた演奏者のライブに対する思いや仕掛けに、より気づかせてくれる。
 あらゆるジャンルの匂いがする高い音楽性でありながら、社会的問題をテーマにした曲をも歌うリクオ氏。笑いあるMC、親しみやすい京都なまり。繰り返し視聴していると、丁寧に選ばれた曲曲の中心を貫くメッセージが見えてくる。
 「今ここでしかできないライブ」と予告していたとおり、この状況のなか、弱いもの、置き去りにされようとするものへの慈愛にあふれたリクオ氏の思いが一筋の光のように横たわっていることにあらためて気づく。
 ブルーハーツの「青空」。感極まるのをおさえながら歌う今まで見たことのない姿に胸をしめつけられた。
 「怒りもある。それも否定しない」と言う。しかし決して怒りにまかせて断罪するようなことはしない。星野源の「穴を掘る」を選曲。例の“うちで踊ろう”の動画について、空気の読めない国のトップがのっかり、ネット上では、政治利用されたとか、しまいには星野氏自身の政治的志向まで問いただされたり、まるでもらい事故のような災難だなあと、私自身は気の毒に思っていた。その彼の曲を選ぶところに他人事とスルーしてしまわない優しい視線を感じる。そしてニック・ロウのカバー曲「(What’s So Fanny’Bout) Peace,Love & Understanding」からは、リクオ氏の歌うことに対する柔らかい覚悟のようなものをうけとめる。
 
 ライブハウスへ足を運んで共有する時間のすばらしさはじゅうぶんに分かっているけれど、ライブの終わりは、心解き放つ異空間と現世との境界線。その切れ目は突然にやってきてふと我に返り、終わった後に余韻を楽しむことはあってもこれほど考えることはなかったかもしれない。
 ドキドキした個人的な初体験でもあったけれど、この状況にネット配信にふみきったリクオ氏の一歩は、今が大きな歴史の転換点であることも示してくれているような気がする。
 ネット配信の功罪の功ばかりでなくもし罪があるとすれば・・・くりかえし見れば見るほど、やっぱりライブハウスのざわめきの中でリクオ氏の音楽に会いたくてたまらなくなる、ということかな。
 音楽の世界がおいつめられる状況で前を向き早急に行動し配信の環境をととのえ提供してくださったスタッフのかたへの感謝の思いも忘れません。

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