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テレワークでチャリティソングを公開した佐野元春はイノベーター

ロックを双方向メディアとして発信する佐野元春はアフターコロナの音楽ビジネスの新モデルを提示する?

KISSがチャリティをするというニュースを読んだ。KISSがチャリティと驚いたが、単独で実施するところがKISSである。支援目的が、新型コロナウイルスの影響で多くのライブが中止を余儀なくされているなか、コンサートを裏で支えるクルー、スタッフを救済、支援するそうだ。ロックビジネスの真っただ中にいて、多くの恩恵を受けたKISSである。ジーン・シモンズは目のつけどころが違うし、ロックをロックビジネスを愛しているジーンだからこそのチャリティだ。僕もTシャツを買った(山下達郎さんのチャリティTシャツも買った。医療関係者の皆さんへのチャリティは勿論:命がけだ、その他、ライブハウス支援などのチャリティも感動的だった。ライブハウスから新しい素晴らしい音楽が生まれていく過程を僕は知らないが、今回のことで、その過程を少し考えることが出来た)。ドイツでは、フリーの芸術家にも支援があるという。

このご時世で、ライブは何時観れるのか、ミュージシャンは大丈夫かと思っていた僕。コンサートは多くのクルー、スタッフに支えられて、実施されているということを改めて考えさせられた。僕は、その裏側を知らない。多くの皆さんがいるからこそ僕はコンサートを楽しんできた。

しかし、世界が恐怖に包まれたこのご時世、従来型の音楽ビジネスは変化するしかないのではないかと思う。なんて大袈裟なことを書いたが、僕の悩みは僕が今後もライブを楽しるかなぁという悩みである。このままでは、まだ行ったことのない大きなフェスにはいけない・・・体験したい。井上陽水さんの「傘がない」が脳裏を過る。

右肩上がりで育ち、科学が進歩するなかで育った僕。まさか感染症でこのようなことが起きてしまうというのは考えたこともなかった。自分の想像力のなさ、無知を恥じるばかりである。そういうなかで、多くのミュージシャンが、音楽の力を信じ様々な形でメッセージを送っていることは音楽が生活の一部になっている僕には力強い。音楽の力を信じている。が、現実的には、感染症であるのだから、政治と科学(医学)の世界だ。

現実は厳しい。僕の楽しみであった多くのライブは中止になった。仕方がない。既に言われていることであるが、Beforeコロナ、Afterコロナでは、世の中の様相は変わるであろう。
そしてそれは、音楽ビジネスのありようにも変化をもたらすことは必然であるように思う。

星野源さんの「うちで踊ろう Dancing On The Inside」は圧倒的な再生回数と様々な意味で話題を呼んだことは皆さんのご存知の通りである。

2桁もの再生回数に差がついているが、その公開の5日遅れで発表された曲がある
「この道」(Social Distancing Version)  佐野元春 & ザ・コヨーテバンド

是非機会があれば観てほしい。5日遅れであるが、完璧にバンドサウンドになっているから、その制作の構想は随分と前にできていたのだと思う。(時間軸を問題にしているのではない)
完全テレワークで作り上げたバンドサウンドであるところが画期的だ。佐野元春さんらしい。

「この道」(Social Distancing Version)  をは、レゲエのリズムで、非常に簡単な平易な(佐野元春さんにしては)歌詞である(そういえば、レゲエ、スカをメジャーで取り入れたのも最初は佐野元春さんじゃないかな)。
多分、子供から大人まで歌える覚えやすい、歌詞、メロディにしたのだと思う。
すばらしい希望の歌である。長いが、歌詞を引用する。因みに著作権フリーで誰でも使える曲である。

「この道」(Social Distancing Version)(作詞 佐野元春):筆者の聴き取り

この道はもっと なだらかでもいい
いつかきっと いつかきっと
朝が満ちる その日まで

この道はもっと 明るくてもいい
いつかきっと いつかきっと
夜が明ける その日まで

この道は  おおらかでもいい
いつかきっと いつかきっと
たどり着ける その日まで

朝陽に包まれて 今日がまた始まる
昨日までの悩みはきっと いつのまにかみんな 消えてゆくだろう

私たちはもっと 幸せになるだろう
いつかきっと いつかきっと
願いが叶う その日まで

その日まで…
 

今でこそあたりまえなのかもしれないが、ロック(佐野元春さんは、ロック音楽、POP音楽という言い方をする)がメディアであると位置づけた先駆者は日本では佐野元春さんである。

コンサート、伝説のラジオ番組サウンドストリート≒元春レイディオ・ショー、雑誌THIS、ポエトリー・リーディング。

佐野元春さんは、常に様々なメディアを使ってロック音楽を情報発信してきた。(正確な記録はわからないが)メジャーアーティストでは、最初期に自身のWebサイトを立ち上げ、ストリーミング、サブスクにもいち早く対応した。Youtubeにも数多くの動画を公開している。

世界、メディアの変化に、日本で常に先頭にたって、切り拓いてきた。ロック音楽をメディアと位置付けている佐野元春さんの矜持である。

佐野元春さんがロック音楽をメディアだと位置付けているのは、ロック音楽が、双方向のコミュニケーションであることを誰よりも意識していたからだ。既存の音楽ビジネスとの比較をしているのではない。良し悪しをつけるわけでもない。佐野元春さんは、常にロック音楽はメディアであり、双方向のコミュニケーションであることをコンセプトにして活動を続けてきた。

この自粛ムードのなかで、音楽業界が停滞している中で、ボブ・ディランとザ・ローリング・ストーンズは、暗い歌を発表した。自粛したくなるところであるが、音楽の力を信じているこの2組のミュージシャンは凄い(他のミュージシャンも発表しているかもしれない。僕が知らないだけかもだけかもしれない。U2のボノも動画を配信しているのは知っている)。

佐野元春さんも「この道」(Social Distancing Version)を発表後に、新曲をこの自粛ムードの中で発表した。何か現在の世の中とその中でのエンターテイメント:ロック音楽の役割を示唆しているようである。

「エンタテイメント!」(作詞 佐野元春さん):歌詞は筆者の聴き取り
     略
(サビ)
It’s just an entertainment
束の間でいい 嫌なこと忘れる 夢のような世界
It’s just an entertainment

みんな敵対しあって、自分の都合で生きいる
怖気づいたのは誰 そっと次の順番を待っている

It’s just an entertainment
終わらないダンス 誰も傷つかない そこにあるのは望むような世界
It’s just an entertainment

墜ちていくいく星をみていた夜
It’s just an entertainment
誰もが堕ちていくあの人を見ていた夜
It’s just an entertainment

It’s just an entertainment
もう泣かなくていい 奇妙なガスに満ちているこの危げな世界
It’s just an entertainment

   略

ボブ・ディラン、ザ・ローリング・ストーンズ、そして佐野元春さんともレコーディングは随分以前に完了していると思うが、現在を予言したような歌詞である
《奇妙なガスに満ちているこの危げな世界》
この自粛ムードの中であるからこそ、音楽の力を信じる3組のアーティストは新曲を発表したのだと思う。そこには、現実を俯瞰した稀有なミュージシャンの卓越した能力を感じ取ることが出来る。

このご時世になって、(某知事の言い方のパクリだが)三密であるコンサート、フェスの在り方は、変わらざるを得ないであろう。元通りになるしても相当の時間が必要であるし、人類の歴史上の大きな感染症が動物由来(ほとんどがそうだと思う)である限り、人類が自然を浸食し続ける限り(声高々に自然破壊をするのは悪であるなどという尤もらしいことは言うつもりもないし、僕にはそれの良し悪しはわからない)、現在の状況は度々人類に起こりえると思う。

そういう事態にエンターテイメントである音楽ビジネスは、備え、変化しなければならない。そんなことを考えていたら、《Exhibitionism-ザ・ザ・ローリング・ストーンズ展》を思い出した。ザ・ローリング・ストーンズの大ファンとしては感動の展示だった。特に彼らが初期に共同で暮らしていたという汚いアパート、そして、セッションを繰り返して、数々の名曲、名盤を生み出したスタジオの再現が興味深かった。

この展示会で最も圧巻だったのは、最後のコーナーの3Dの「サティスファクション」のライブ映像だった。これだけで観る価値があった。映画で絶対見観たい。

で、音楽ビジネスであるが、
<そうだ3Dのあの映像でいいじゃないか。観るのをあきらめた映画『白い暴動』も直後にネットで観れたし、リアルタイムで観ればいい。臨場感を出すには3Dにして、3Dの再生は家庭では難しいので、高性能ヘッドセット、高品質の映像と音を完全に密閉してみせればいい。ネットは5Gになるし可能だ。そして視聴料を徴収すればいい。俺は観る。>

<が、まてよ。ことは、そんなに単純じゃない。ストーンズの映像は観客の熱狂を体験できた。ここが重要だ。双方向にしなければならない。そこは技術革新が必要だ。観客の熱狂も含めてライブなのだ。歓声、大勢の人たちがいてライブは成り立つのだ>

単純にライブ映像を流すなら、ペイ・パー・ビューの仕組みを練り直せばいい。しかし、双方向性は成り立たない。
きっともう既に次を睨んだ世界中の優秀な頭脳が次の音楽ビジネスを考えていることだろう。

そして、出来上がったロック音楽の新しい枠組み、技術イノベーションをいち早く佐野さんは取り入れると思うのだ。メディアとして、ロック音楽を発信し続けた佐野元春さんだからこそ、日本で最初にその技術を取り入れ、実現すると思うのだ。

かつての大ヒット曲、アンジェリーナ、サムディなどのヒット曲満載のライブをお決まりのように展開すれば、佐野元春さんは現在でもアリーナを満杯にできるであろう。しかし、佐野元春さんは、定期的に新しい作品を発表し、新作を中心としたライブをライブハウスのような小さな箱でツアーを展開する。常に現役であろうとする。それこそ佐野元春さんである。

今後の音楽業界の変化にいちはやく対応するのは佐野元春さんであると思う。
だからこそ、佐野元春さんから益々目が離せない。そこには新しい音楽ビジネスの姿があり、成長し、既存のスタッフが、新しい枠組みで、活躍して僕を楽しませてくれる。

昨年だったか、一昨年だったか、佐野元春さんのコンサートに行った時の佐野元春さんのMCを僕の記憶の範囲で以下に記述する
“新しい曲ばかりでごめんね。でも僕は、ティーンエイジに聴いてもらえる曲を作りたいんだ”
佐野元春さんの永遠の願いである。

革新的な歌詞、サウンドを80年代に鳴らし無数のエピゴーネンを生んだ佐野元春さん。現状に留まらず、エピゴーネンを蹴散らしてきた。そんな佐野元春さんは新しいロック音楽のありかたのイノベーターであると僕は確信している。そして、今日もティーネイジャーのためのナンバーを作り続けるのだ。

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