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“自分らしさ”ってナンダ? 答えを求めてまどい続ける

サカナクションの音楽を夜に聴いたせいです。

5月9日21時にYouTubeでプレミア公開された『サカナクション デビュー10周年
イベント”2007.05.09 – 2017.05.09″』を観た。
彼等の音楽は日頃から好きで聴いてきたものの、一度もライブに参加するチャンスがなく。だからこうして間接的ではあるけれど 、“ライブ形式”で長時間その世界に
浸るのは初めてのこと。10周年を記念したイベントは、ライブありメンバー裏話ありの貴重で豪華な企画。ファンからのリクエストをもとにしてサカナクションの楽曲をランキング形式で発表、上位曲を思い出話を交え生演奏で披露するスタイルで進む。

メンバーそれぞれのトークもとても興味深く、ますます好感を持てた。特にフロントマンである山口一郎の言葉は、ひとつひとつ胸に響く。その中で印象に残った話が
ある。
2nd MaxiSg.「アルクアラウンド」がMVの高い評価と共にヒットして世に広く知られることとなり「周りに“それ”を求められてイヤだった。ラクしたくないと思った」と。この楽曲が売れたことで曲作りに迷い始めた時、当時のディレクターが「好きなことをやれよと言ってくれた」とも。恩師とも呼べる人はその後、病で亡くなってしまったが、この時のアドバイスに背中を押されサカナクションの音楽に“自由度”が増したのは間違いない。

ファンのランキングの上位にはなかったが、私の選ぶサカナクションランキング
では常に上位にあり、今日の時点でダントツ一位なのが自由度の高い「アイデンティティ」である。
ベスト盤『魚図鑑』の付属解説本によると、「サカナクションの世界観とかけ離れており、それまでのファンが離れ新しい層のファンが増えた」と山口は振り返る。
私はサカナクションのコアなファンじゃない分、単純に「歌詞が刺さる! 疾走感が好き!!」と初めから違和感なく受け容れられた。サカナクションと言えば叙情的で繊細な歌詞の楽曲もモチロンいいが、今の気分は断然こっち。出口の見えないモヤモヤしたこんなご時世だからなのか、アグレッシブな曲調と痛快ストレートなメッセージがガツンと脳に響く。実際、歌い出しから声高に「アイデンティティがない 
生まれない」と耳が痛く一撃食らった気分になる。
 

映し鏡 ショーウインドー 隣の人と自分を見比べる
そう それが真っ当と思い込んで生きてた

どうして 今になって 今になって そう僕は考えたんだろう?
どうして まだ見えない 自分らしさってやつに 朝は来るのか?
 

「ステイホーム期間」が延長され、私の巣ごもり生活にも“飽き”が忍び寄ってきた。
ひとりで過ごすことには慣れっこだが、あまりにその時間がありすぎると余計なことを考えがち。歳を重ねるにつれ経験値が上がったから、他人と比べることがなくなり焦ることも妬む気持ちも失せ「私は私。人は人」と思えるようにはなった。だが、ここまで時間がありすぎるのも困りもの。暇を持て余すと私の悪いクセで「自分は何のために生き、どう在るべきか?」をぐるぐる考えてしまう。
アラサーの私は、寝る間もなく働いていた。あの頃、仕事を通して築き上げた“私というキャラクター”で居続ければラクだった。頼んでもないのに周りが「こんな人だよね」と私のイメージを勝手に膨らませてくれたお蔭で、ある種の個性が仕上
がり“その鎧”があれば仕事の面では無敵だった。ホントの自分をわざわざ見せるのも面倒で、オンとオフで自分を切り替えられるから、それでいいやと割り切って周りの描く期待通りのキャラに徹した。

今の私を見たらあの頃の仲間は“別人”に感じるだろう。健康上の理由と結婚を機に多忙な職場を離れてからは、鎧にも頼らず煩わしい人間関係とも距離を置き、さらに“自分らしく”過ごせているはずだ。自由になる時間を手に入れ、それなりに充実してはいる。でも時々わからなくなる。イマイチ自信がない。

自分は何者で、何をすべきなのか? 

過去何度も自問自答の時期が訪れ、今もまだ年甲斐もなく“自分探し”をしてしまうのだが・・・“確かな答え”に辿り着けないでいる。たとえばもし自分の子供がいたら、親として立ち位置をもっと自覚して、“私”を保てたのだろうか? 
情けない話だが、そんなフワフワとした手探りの中年がここに居る。
恩師に「好きなことをやれ」と言われた山口自身は、殻を破れたようだ。そしてこの歌で答えをちゃんと導き出せている。
私もこれまでずっと“好きなこと”だけをやってココまで来たつもりだけれど、私という人間のアイデンティティが確立されたかどうか、その手応えがいまだ感じられないままだ。だから・・・
 

どうしても叫びたくて 叫びたくて 僕は泣いているんだよ
どうしても気づきたくて 僕は泣いてるんだよ
 

巣ごもり中の今、贅沢に時を無駄遣いしながら、この歌の詞が改めて身に染みる。

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