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2017年8月28日

のほし (20歳)
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惰性で見てたテレビ消すみたいに

平井堅“ノンフィクション”の衝撃

平井堅さんの楽曲“ノンフィクション”の一節に「惰性で見てたテレビ消すみたいに 生きることを時々やめたくなる」という歌詞がある。
色んなことが嫌になってそれらが重なりあったとき、ふと辛くなる。
きっとみんな少なからずそういうことがあるんだと思う。
それを「惰性で見てたテレビ消すみたいに」と表現する平井堅のセンスがすごい。
なんて的確な表現なんだと感動したのを覚えている。
plentyの“最近どうなの”という曲にも「今日も独りで金曜ロードショーだよ 暇貪って満足してみる」という歌詞があるように、
「なんとなくテレビを見る」という行為は平凡な日常の象徴として幸せの代名詞にもなり得る一方で、
何にも果たせていないように感じてしまう自分の人生の象徴として捉えることもできる。
心にゆとりがないとき、日常の無意味さが悪のように思えてしまうのかもしれない。

この“ノンフィクション”は自ら命を絶った友人に向けて書かれた曲だ。
生きているあなたを無条件で肯定する歌詞がとても優しい。
「人生は苦痛ですか? 成功が全てですか?
僕はあなたに あなたに ただ 会いたいだけ
みすぼらしくていいから 欲まみれでもいいから
僕はあなたの あなたの 本当を知りたいから」
ー“ノンフィクション”
いくら頑張りたくても頑張れないときはあるし、
信じていた人に裏切られてもう何もかも捨ててしまいたいと思うことだってある。
それでも、何でもいいから、ただ君のままで生きていてくれればそれでいいんだよと、
ちょっとやそっとじゃ開くことのない心の奥底に、この曲は語りかけてくれる。
これまでたくさんの音楽を聴いてきたけど、こういう曲に出会えることはそう多くはない。
多くの人に届く大衆性を持ちながらも、ひとりひとりの心に深く浸透する力を持っているのが素晴らしい。
言うまでもない、名曲だ。

「描いた夢は叶わないことのほうが多い」し、
「優しい隣人が陰で牙を剥いていたり」するから、
この世界をまるっと受け入れることはあまりに難しい。
自分を好きになることも、自信を持つことも、全然できない。
得意げに話すあの人の顔を見て、悔しくてたまらないのに、自分はどうにもならない。
きっと大人になっても、こういう気持ちに押しつぶされそうになるんだろう。
それでも生きていくんだろう。
いや、生きていきたい。
だから、惰性で見てたテレビ消したくなっても、
一旦そのテレビをぼーっと眺めてみて、気付いた頃には笑っていられたらいい。

テレビを消してしまったあの子にも、この歌が聞こえているだろうか。
ただ、会いたいだけ。

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