521 件掲載中 月間賞発表 毎月10日

2017年8月29日

高橋いちご。 (20歳)
99
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

常識をどこまでも覆すバンド。

-アルカラが私に教えてくれたこと-

いきなり私事で申し訳ないのだが、私は、趣味であるROCKバンドのLIVE参戦に、だいぶ飽きてきたところだった。

慣れというものは怖いものだ。

決まったテンポでツーステップを踏み、決まったテンポで手拍子をする。サビに向けて大きなサークルを作ったり肩車をし、サビに皆で一斉に飛び込む。いわゆるモッシュやダイブ。数年前は、音に合わせてはちゃめちゃに身体を動かすことが楽しくて仕方なかったはずなのに、なんだかバカバカしく感じ始めていた。
ほとんどのアーティストがMCで語る「俺たちがここまでこれたのは、ファンのみんなそれからスタッフ関係者の皆さまのおかげです。本当にありがとう」等の感謝の言葉や、「いけるかお前ら~かかってこいや」「お前ら愛してるぞ」のような熱いMCにも昔ならば一つ一つ感極まっていたはずなのに、最近は内心「いやマジでそういうのどうでもいいから早く曲やれよ」といった冷めた気持ちで溢れ返ってしまっていた。
 
 

そんな気持ちのまま2017年8月25日のSWEET LOVE SHOWERを迎えた。
序盤は、炎天下な気候とは裏腹に私の心は冷めきった気持ちでいっぱいだった。いくつかのアーティストを見たが、やはり気持ちは変わらなかった。しかし、せっかく来たのだからと思い、次のアーティスト“アルカラ”のステージへと重たい足を運んだ。

私がステージについたころには丁度リハーサルが始まろうとしていた。運よく前から2,3列目をキープできた。軽く音出しを行ってから始まったリハーサル。イントロを聞き、「え?」と思わず声をあげてしまった。
アルカラのライブ定番曲と言っても過言ではない「キャッチーを科学する」をまさかリハーサルにぶち込んできたのだった。周りにいた誰もが「え?これリハでやっちゃうの??」といった戸惑いを隠せない表情をしていた。
しかし、曲が始まるとそんな事を考えている間もなく、自然に手足がメロディーに合わせて動いてしまう。「ここでこう動こう」と決めていたわけでもないのに身体を動かさずにはいられない。こんな感覚初めてだ。他のバンドとは何かが違う。そう確信した。

リハーサルが終わった。アーティストは普通いったんステージ裏に戻り、SEが流れてから再度入場するにもかかわらず、稲村(Gt./Vo.)は「もうこのままSE流れるの待ちます~」と言いだした。なんて自由なバンドなんだ。その一言に尽きたと同時に興味が沸いた。

ついに、ライブ本編が始まった。そこには無意識にツーステップを踏む事を止められない自分がいた。

そして、私の一番好きな曲「アブノーマルが足りない」が始まった時には私はもう我を忘れていた。普段あまり大きな声を出さない私。大きな声を出すつもりなんてなかったのに、サビの部分ではもう我慢できずに「アブノーマルが足りなーーーい!」と誰よりも大きな声を出していた。声を挙げる準備もせずに反射的に叫んでしまったものだから、身体が対応できずに咳き込んでしまった。そんな感覚が楽しくて、面白おかしくて仕方がなかった。

そして、MCで稲村(Gt./Vo.)が今日のLIVEは勝手にレコ発ライブにします。と言いだした。もう訳がわからない。本当にアルカラはどこまでも常識をぶち壊してくる。
新曲のアルバムは買っていなかったので全て知らない曲だった。にもかかわらずツーステップを踏む足が止められない。なぜだ。わからない。メロディーに合わせて反射的に身体が動くとしか言いようがなかった。
周りを見渡したら、皆そうだった。他のアーティストでは前述したとおり、サビに向けて飛び込む用意をしているダイバーがいたり、手をたたく準備をしている人がいるといった光景が普通だ。しかし、アルカラのライブでは、皆我慢できなくて反射的に飛び込みに来てしまったというような人達や、私のように無意識に始めたツーステップが止められないといった人ばかりだった。

最高だ。

そしてLIVEの最後。多くは語らず、アルカラのメンバーは次々に退場した。
そんな中、稲村(Gt./Vo.)は「ギターのストラップが首に絡まって取れない!」と一人で大慌てしていた。“バンドの花”ともいえるギターボーカルがそんなにドジでいいのかと思わず吹き出してしまった。無事にストラップが取れ、稲村も退場しようとした。その際に客席に近づき、深く深く。そして、どのアーティストよりも長く、お辞儀をした。
しかし、その姿からはどのバンドマンの「お前ら愛してんぞ」よりも確かな愛がしっかりと伝わってきた。そして、退場していく稲村(Gt./Vo.)の背中に私は「ありがとう」とつぶやいた。
 
 

音に合わせて反射的に身体が動いてしまう。やめられない。これこそが、音楽のたのしさなのだなと言う事。それから、アーティストの言葉や行動に反射的に吹き出してしまったり、感極まって涙する。それこそがLIVEの醍醐味である事。そんな単純な事を、私はLIVE慣れしすぎたが故に忘れてしまっていたのだ。
アルカラは、それらを私に再確認させてくれた。

もしここでアルカラのLIVEを見なければ、私はこの楽しさを一生思い出せなかったのかもしれないと考えるとぞっとする。

本当にアルカラには感謝の気持ちでいっぱいだ。
 

SE前に入場してしまったり、フェスを勝手にレコ発ライブにしてしまったり、本来かっこよくあるべきはずのギターボーカルがドジだったりと、根っから常識を覆してくるアルカラは、今後私にどんなことを教えてくれるのだろうか。どんな世界へ連れてってくれるのだろうか。楽しみでしかたない。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい