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あまり売れないころから優しかった人たち

スピッツとaikoの対談、その司会を担うことができるとしたら

知己と(所謂)音楽雑誌を読み始めた理由について、LINEで語り合う機会があった。私が購読を始めたのは、たしか高校時代のことであり、Mr.Childrenの新譜に関する情報を、一刻も早く知りたいと思い立ったからであった。

知己は音楽雑誌の魅力は、対話の妙だと持論を述べた。ライター(インタビュアー)に何かを問いかけられたり、語りかけられたりする過程で、彼なり彼女なり、そこまで社交的なイメージは持たれていないであろうアーティストが、心を開いていくのが堪らなかったということである。

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もし私が、何らかの機会に、アーティストとの「対話」を果たせるのだとしたら(かなり実現性の薄い仮定ではあるけど)、恐らくは1対1の「対話」は望まないだろうと思う。2人のアーティストを招待し、言うなれば司会者のような形で、お二人の価値観が似ているのではないかと問いかけてみることになるだろう。

私のように非才であり、また明朗快活ではない人間に「司会」が務まるとは(自分では)思えない。それでも、このように「実現しないであろうこと」について、思いをめぐらしてみるというのも、たまには良いものである、少なくとも自分にとっては。

お招きしたいのは、スピッツの草野さんと、aikoさんである。このお二人は、どちらかと言えば社交的な御方なのではないか、そういうイメージを持っている。そのお二人に笑っていただき「自分たちには思っていた以上に共通項があるものだね」と感じていただき、和やかに笑い合っていただき、双方のご活動が更に豊かなものになったら、きっと自分は幸せを感じるだろう。

いくつか問いかける(投げかける)つもりである私見のようなものを書いてみます。そのあとには、草野さんなりaikoさんなりのご回答、あるいは苦笑といったものが返ってくるわけですが、それは完全に「身勝手な想像」になってしまうので、当方の発言だけを以下に書いてみます(恐らくは「司会としては饒舌に過ぎる」と言われてしまうことと思われます)。

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本日はスピッツのフロントマンである草野さん、そしてシンガーソングライターのaikoさんに来ていただきました。ご両人を敬愛してきた者として、この場に居合わせられることを有り難く存じます。ようこそいらっしゃいました。

(ご両人の何らかの反応)

スピッツのキャリアも、aikoさんのキャリアも、かなり長くつづいていますね。私はスピッツの存在を中学時代に知り、aikoさんの楽曲は高校時代に聴き始めました。長く、愛聴してきました。いま自分が40歳を迎えようとしていることを思うと、とても感慨ぶかいです。「長く歩みつづけてきたこと」について、お二人のお考えを伺います。

(ご両人の何らかの反応)

私には、スピッツが好きで堪らないという、年下の知己がいます。そして、aikoさんの大ファンだという、やはり年少の知り合いもいるのです。それはつまり、お二人の最新作、あるいは近年に発表された楽曲が、旅立ちのころの輝きを失わずに、明日を担う若者に届いていることを意味するのだと思っています。そのあたりを、どのようにお考えでしょうか。

(ご両人の何らかの反応)

私は最新作について、お二人のお話を聴きたくもあるのですが、敢えてメジャーデビューを果たした作品、それについて私見を述べ、またお二人に話し合ってもいただきたいと思っています。スピッツもaikoさんも、一歩目にして既に「傑作」を世に放ったと、僭越ながら考えております。デビュー曲への思い入れは、やはり格別なものなのでしょうか。

(ご両人の何らかの反応)

スピッツの1stシングルは「ヒバリのこころ」、aikoさんの1stシングルは「あした」ですね。私はこの2曲に、共通項があると思うのです。第一に、過去を振り返るよりは、むしろ未来を見て何かを宣誓するような、力強い詞が含まれています。

<<僕らこれから強く生きていこう>>
<<きっとずっとずっと あなたは大切だから>>

これは「直情」と言うか、アーティストとしての、あるいはひとりの人間としての、誓いだったのでしょうか。

(ご両人の何らかの反応)

ただ私には「ヒバリのこころ」の主人公も「あした」の主人公も、心に傷を負っているように思えてならないのです。これから音楽界という大海を泳いでいこうとする、新進のアーティストの発信としては、いくぶん脆いようなところもあるように思えるのです、失礼ながら。

<<水槽の熱帯魚から離れられなくなっていた>>
<<退屈にもあきてついたため息を集め>>

もちろん2曲とも、全体を通しては、ポジティブな発信を試みる佳曲に仕上がっているとは思います。それでも私は、こうやってお二人が「弱いところ」をさらけ出して下さったことに、とても癒されました。こういった歌詞は、リスナーの弱さに寄り添うべく、意図的に紡がれているのでしょうか、それとも草野さんもaikoさんも、実際に「自分は弱いなあ」と感じることがあるのでしょうか。

(ご両人の何らかの反応)

私はスピッツもaikoさんも、思いやりに溢れたアーティストだと思っています。お優しい作詞家が、いま目の前に座っておられます。その「優しさ」は、デビューの時点で、すでに備わっていたのではないかと考えるのです。

<<両手でしっかり君を抱きしめたい>>
<<あなたが泣いてたら あたしも笑えないんだ>>

きっと草野さんもaikoさんも、恋人なり、家族なり、そういった近しい人をイメージして、このような優しい詞を綴ったのだろうとは思います。それでも、私のような一介のリスナーが<<君>>や<<あなた>>に含まれるのだとしたら、お二人の優しさが私にも向けられているのでしたら、これからも何とかやっていけるような気がいたします。無理に言わせるようで恐縮ですが「そうだ」と言ってやってはいただけませんか、私だって「ヒバリのこころ」や「あした」に登場しているのだと、そう認めてはいただけませんか。

(ご両人の何らかの反応)

最後に、とても失礼なことを申し上げます。「ヒバリのこころ」も「あした」も、当時、メガヒットには至らなかったはずです。お二人には、のちに日本を代表するようなアーティストになりながらも、一歩目を大々的に祝されはしなかった、そういう共通項を持つと感じるのです。いま苦闘している若い人に向けて、何か励ましの言葉をいただけませんか。あるいは、ご自身が、あまり売れなかったころの思い出でも聴かせてはいただけませんか。

(ご両人の何らかの反応)

本日はありがとうございます。スピッツとaikoさんが、励まし合うように、その存在を遠くから感じ合うように、ご活動をつづけていっていただきたいと、ひとりのファンとして願います。お気をつけてお帰り下さいませ。

※<<>>内はスピッツ「ヒバリのこころ」、aiko「あした」の歌詞より引用

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