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2017年8月31日

結 (16歳)
358
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誰にも触れない歌

UNISON SQUARE GARDENを好きでいること

物心ついたときから、自分の「好き」に自信がなかった。いつもどこかで不安を抱える生活を続けて10年以上。15歳の冬、私が出会ったのは、UNISON SQUARE GARDENだった。

<安っぽく聞こえるのはわかってるから/自分だけの価値を付けて>
好きなもんは好き、とテンプレートのように繰り返されたそれ。あながち間違いじゃないなと今なら思える。自分の好きなものを誇りに思うことを初めて知った。
<大嫌い 大好き/ちゃんと喋らなきゃ/人形とさして変わらないし>
そう言われたら、自分の好きなものを誰かに言いたくなってしまうじゃないか。喋り倒してしまいたくなる。それがちゃんと言えるというのは、自分の「好き」に自信があることなんだろうと思う。UNISON SQUARE GARDENは、初めて私の「好き」に自信をくれたのだ。

UNISON SQUARE GARDENの好きなところは歌詞につまっている。大半の楽曲の作詞作曲を担当する田淵智也の秀逸な言葉選びには驚いてばかりだ。

<現実はそんなに悲しいものかしら/コンビニに売ってるのに>
15歳、私は見事に思春期をこじらせた。「こんなクソみたいな世界」を決めゼリフにしていそうな猛反抗期だったのだが、歌というのは、ロックバンドというのは凄いもので、
<世界はこんなにも綺麗な肖像/思い込む、そいつも悪くないな>
歌詞に影響されるように少しずつ世の中への反抗期を抜け出していっている気がする。しがらみに悩まされていても好きなものが確かに存在しているなら、そんな生活も悪くないんじゃないか?自分よ、と。

<覚悟もない癖にへらへらするな>
今まで出会った中で「すいませんでした!」と叫んで土下座したくなった歌詞ナンバーワンである。この言葉が私みたいにグサッと刺さる人、他にもいるんじゃなかろうか。ただ適当に毎日やり過ごしていくだけじゃダメなんだと分かっていても、どこかでたるんでしまう自分がいる。そいつが顔を出してきたとき、ここぞとばかりにこの曲を再生して、ピシッと背筋を伸ばしたくなるような歌詞だ。田淵智也は自身のブログで「きちんと君の人生を作っていってほしい」と言う。この歌詞は私に頑張れとは言わない。ただ、私は私で生きていけというメッセージなのかなと勝手に受け取ることにしている。

<超新星アクシデントみたいな事>
本当に田淵智也の言葉の使い方が好きだ。キラキラしていて、意味のない言葉はひとつもない。
<一瞬も飽きちゃいないからさ/人生を譲る気がないんだ>
バンドに変化があれば「昔の方が良かった」と言われ、変化がなければ「面白くない」と言われる世の中だ。UNISON SQUARE GARDENは軸が揺るがないバンドだと思う。そして少数派ではあるが両者の真ん中を行くバンドだ。好きになってから短い私が言うのは説得力がないようだけれど、変わりつつも大切なことは何ひとつ変わっていないのだろう。

「さわれない歌」という楽曲がある。誰のためでもない、バンドの曲として収録された曲だ。田淵自身も以前話していたが、この曲は私たちリスナーに優しくない。包み込んでくれるような音楽とは反対に、自分で生きてみろと突き放してくるのだ。
<もしも僕が君の前まで来て/何かできることがあるとしても/この手は差し出さない/きっかけは与えたいけれど>
それでも好きだった。音楽が私を救ってくれるのではない。リスナーが勝手に音楽に救われているだけで、結局自分を救うのは自分なのだ。そう気付いた曲が、「さわれない歌」である。

<浮かぶ ハテナより/もう少し、もう少し、って思えるように/大丈夫、大丈夫、って僕は歌いたい>
優しくない優しさ、とでも表現すれば良いのだろうか。UNISON SQUARE GARDENのそういうところが好きなんだなとこの曲を聴いていると分かる。たくさんの「好き」をこの文章にしたためたつもりだが、こうやって自分の好きなものを誰かに言ったり見せたりできるのは最初に書いたとおり、自信がついたからに他ならない。2015年7月24日に日本武道館で行われた公演では、MCで田淵智也が「君の好きなロックバンドは誰がなんと言おうと絶対にカッコいいから。自信持っていいよ」と話した。確固たる自信をくれたのだ。
これからも上書きされていくであろうUNISON SQUARE GARDENが好きな気持ちを、ずっと大切にしていこうと思った。幸運なことに、9月に地元で開催される音楽イベントに彼らの出演が決まっている。私にとって初めて彼らの音楽に直に触れる瞬間だ。きっと一生の思い出になる。自分の「好き」が肯定されて、それが自信に変わる瞬間ほど、尊いものはないのだから。

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