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北海道の芸能事務所が見せる音楽の力

CUE ALL STARS「ともに生きよう」に込められた思い

「CREATIVE OFFICE CUE(クリエイティブ・オフィス・キュー)」をご存じだろうか?
’92年に北海道で設立された芸能事務所である。
所属アーティストは初代社長で現会長の鈴井貴之を筆頭に、
今やメンバー全員が全国区の人気を誇る演劇ユニットTEAM NACS、
歌唱力に定評があり’18年に「ぶらぶらぶらり」でメジャーデビューを果たした小橋亜樹、
主にラジオパーソナリティーとして人気の北川久仁子、
昨年結成20周年を迎えたお笑いコンビオクラホマ、
メンバー個々も多数の舞台に出演する演劇ユニットNEXTAGE(ネクステージ)、
大阪出身の癒し系シンガーソングライターChima(チマ)、
CUEアニソンシンガー第一号の綾野ましろ、
島太星(しま・たいせい)の全国区バラエティ出演でも話題のダンスボーカルユニットNORD(ノール)、
SKE48の元メンバーで現在舞台やラジオなどで活躍中の東李苑(あずま・りおん)、
昨年デビューを果たしたアニソンシンガーnonoc(ノノック)の11組。

CUEの社訓は「マルチであれ」
その言葉を裏付けるように、
彼らは北海道の演劇・メディアを中心に積極的な活動を続ける一方で、
’02年から隔年で事務所のイベント
「CUE DREAM JAM-BOREE(キュー・ドリーム・ジャンボリー)」を開催。
芝居・バラエティ・音楽何でもありのショーを繰り広げている。
その中で発表される曲は毎回NACSを中心に自分たちで作詞作曲を担当している。
鈴井・NACSのソングライティング遍歴は長く、
’02年から’04年までHTB(北海道テレビ)で放送されていた「ドラバラ鈴井の巣」で
主題歌・挿入歌などを経費節約も兼ねて手がけたのが最初。
番組終了後もCDJ・毎年末のファンミーティングの度に
新曲を制作・披露している。
6人は本格的に音楽を志していたわけではないが、
結構な音楽ファンとして音楽に接している。
特に安田顕は、子供のころからビートルズをはじめとして
音楽に深くこだわりを持っており、
北海道ローカルの音楽情報番組のMCを15年務めていた。
そんな音楽ファンが作る音楽は音楽への愛情、
ファンに対するサービス精神にあふれた良作がたくさんあり、
本業アーティストが手掛ける音楽となんら遜色がない。

実はアーティストとしての実績もきちんと残しており、
’04年に大泉洋がSTARDUST REVUEとともに手がけた「本日のスープ」は
オリコン週間シングルチャート最高位10位、
同じく’04年に発表された大泉と戸次重幸のユニット「FAN TAN(ファンタン)」の「起きないあいつ」は
オリコン週間シングルチャート最高位7位を記録している。
ちなみに「起きないあいつ」はふたりが出演したNHK「SONGS」のラブソング特集で
視聴者からリクエストされ、SNSでも話題を集めた。(曲はOAされなかったが)

さて、本題。

今年9月に北海きたえーるで開催予定だった「CUE DREAM JAM-BOREE 2020」が
このほど開催を延期することが発表された。
総合プロデューサーの森崎博之が今回のために作詞作曲していた楽曲
「ともに生きよう」のMVを5月24日にYouTubeのCUE公式チャンネルで公開した。
CUE所属アーティストが「CUE ALL STARS」として全員参加。
すべてリモートでレコーディングとMV撮影が行われた。

森崎が手掛ける曲は、以前からファンの間では高い評価を得ていた。
「ドラバラ鈴井の巣」の中で作られ、名バラードと名高い「つぼみ」
’08年CDJエンディングテーマとして作られた「アルバム」
’14年NACSがCDJの中だけで活動するアイドルユニット
TEAM★NACS(ちーむ・ほし・なっくす)の新曲として作られた
メッセージソング「そんなのNACS応援歌」など数々の名曲を残している。

今回の「ともに生きよう」は、コロナ禍の中で制作された。
そんなこともあり、今まさに世界中が直面している問題、そして希望を
ストレートな歌詞とメロディに乗せて届けている。

「君」と出会うことで生まれる幸せな感情、
しかし「今」は会うことも手を握ることもできない。
いつ抜けるかわからない「長いトンネル」をみんなで超えていこう
「その先へ」「君に会いたい」「手を伸ばそう」「超えてゆけ」

文字だけで見るとよくあるタイプのフレーズが多いのかもしれないが、
それがCUEメンバーの声と思いが乗っかると、
強い言霊となってパワーを放つのである。
さらにこの言葉たちにはコロナ禍の現実だけでなく、
2年前に発生した胆振東部地震を乗り越えてきた
北海道の思いも込められている。
誤解されるといけないので言っておきたいが、
「ストレートな歌詞」というのは、
当たり前の「日常」を失ってしまった今だからこそ強く伝わってくる。
それに、言霊を乗せるための思いは
こういう「ストレートでスタンダードなタイプの言葉」にこそ
強く乗せやすいものである。
これはNACSの多くの舞台の脚本・演出を担当してきた
森崎だからこそ成し遂げられる技である。

MVを見ていろいろ気づいたこともある。
世の中での知名度が最も高い大泉・安田それぞれのソロから始まり、
Chima・綾野・nonocの女子アーティスト部、
鈴井と戸次、森崎と音尾琢真のユニゾンに続き、
NACSメインのサビ・他メンバーのコーラスで1番を締める。
2番はNORD島のソロから始まり、
NORD舟木健・安保卓城・瀧原光のユニゾン、ネクステ3人のユニゾン
小橋・北川・東の女子部のユニゾン、オクラホマのユニゾンといったように
安定と新鮮の組み合わせが抜群にいい。
そしてCUE一番の「顔」であるNACSが目立つ部分もきちんと用意されている。

なによりも「手」が効果的に使われている。
2番のサビでは全員が右手を広げて前にかざし、
それ以外の部分でも絵や文字を書いたり花を活けたりなど、
手を使った個人パフォーマンスもあって見ごたえがある。
これはコロナ対策としてずっと言われ続けている
「手を洗う」ことも意識させる意図もあると思う。
4分39秒の間にたくさんのメッセージが込められた
心温まるMVになっている。

「マルチであれ」
北海道でエンタメ活動を行うということは
東京での活動よりも不自由な部分があるということ、
それをひとつのジャンルにとらわれずに
さまざまなことに挑戦することで多くの武器を手にすることができる。
そして、その武器を北海道以外の場で披露することで強みができる。
NACSがまさにそれを証明している。音楽でもまさしくそうだ。
ただ、残念なことにそれがまだ全国に広まっていない。
大泉の歌唱力の高さはCMなどで知れ渡っているが、
まだ日本の音楽界に風穴を開けるところまでには至っていない。
「ともに生きよう」はまさに今だからこそ地域を超えて伝えられる曲。
これを機会に全国、全世界の皆さんに知ってほしい。

ちなみに、MVを最後まで見ているとファンにはおなじみ、
知らない人には驚きのパフォーマンスがあるので、
曲が終わっても最後まで動画を見ることをおすすめする。

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