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「蜃気楼」と「今」

10-FEET TAKUMAがなぜこの曲を歌ったのか考えてみた

緊急事態宣言が解除されたが、相変わらず家で過ごすことが多い毎日が続く。
外出することが制限されたこの窮屈さに、なんとも言えない不安と焦りを感じている。

僕は、そんな感情を抱えたまま、なんとなくYouTubeを見ることした。
目に飛び込んできたのは、10-FEETのTAKUMAがライヴやるような気持ちで歌う、という動画だった。

そこで歌われていた曲は「蜃気楼」。
「蜃気楼」は、2012年にリリースされたアルバム「thread」に収録されている一曲。
ライブでもよく演奏されていて、ファンの間でも人気がある曲の一つだ。

動画では、いつかのライブで見せてくれていたような力強い歌声を響かせているTAKUMA。
また彼らのライブを観たい、そう思わせてくれるような動画だった。

だが、ふと疑問に思ったことがある。
TAKUMAは、なぜ今、この曲を歌おうと思ったのだろうか。

「その向こうへ」、「goes on」、「RIVER」など、10-FEETは数えきれないくらいの名曲を生み出している。
それなのに、なぜTAKUMAは「蜃気楼」を選んだのだろうか。
僕はそんなことを考えながら、何度も「蜃気楼」を聴いていた。

すると、ある一つの考えに行き着いた。

「もしかしたら、この曲で歌われているのは、今の状況そのものなのではないだろうか?」と。

実は、「蜃気楼」の歌詞をよく聴いてみると、今現在僕が感じている思いにところどころリンクしているのだ。

緊急事態宣言が出てから、窮屈な生活が続いている僕たちは《日々に擦り切れて》いて、たまに部屋の外から見える《青空が切なくて》、自由に外に出れる日が来る未来を待っている。

そして、今は大切な《あなたには会えなくて》、《明日は来て》、日々が続いていく。
もともとどこか切なさがちらつく歌詞だったが、こんな状況だと余計にそれを感じてしまう。

だが、ラストに向かうサビでは、そんな空気が少し変わってくる。こんな歌詞が出てくるのだ。

《見失ったあの頃の夢も 今では明日を生きる意味で》

大切な人に会いたい。
思いっきり遊びたい。
ウイルスのことを気にせずに、握手をしたい。

人それぞれ、平穏な日常が戻ったらやりたいことがあるだろう。
些細なことだと思われるかもしれないが、そんな夢が明日に向かって生きていく意味なんだ。

もしかしたら、TAKUMAが一番伝えたいことは、このことなんじゃないだろうか。そう想像してしまうのだ。

「蜃気楼」は、全体を通して切なさが込み上げてくる曲だが、聴き終わった頃には明日に向かって背中を押してくれている、不思議な曲だ。

「トンネルを抜けるまであと少し。みんな、生きて会おう!」

久しぶりに見たギターヒーローは、力強い歌声で、僕たちにそう語りかけてくれている気がした。

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