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山田将司、魂の叫び声

待ち合わせ場所はライブハウスで

「ハローハロー 生きるための言葉を刻もう」

この歌い出しで始まる、THE BACK HORNの「心臓が止まるまでは」
最新アルバム・カルペ・ディエムに収録されている数々の曲の中でも、最初に据えられたこの曲は、最新のバックホーンが凝縮されているようで、とてもかっこいい。
彼らは常に「生きること、そしていつか死ぬこと」そういう世界観を歌ってきた。まさに、その音楽は「生きるための言葉」であり、私も幾度となく彼らの音楽に救われてきた。
アルバム・カルペ・ディエムは最新にして最高傑作だと感じたし、そのアルバムを引っ提げて廻るツアーはとてつもなく熱いものになる…そう確信していた。

しかし、ご存知の人も多いとは思うが、そのツアーは数ヶ所を廻り、完走する事なく、今に至っている。
山田将司の喉の不調(声帯炎、声帯ポリープ除去手術)により、中断した後、コロナ禍による再延期。新しい振替日程は2021年となった。
 

2021年か…。長いな。1年以上バックホーンのライブを見なかった事ってあったかな?メンバーの体調最優先なのは仕方ない。むしろ、「彼らを休ませてくれてありがとう、事務所」と思っていたが、コロナのせいとなると話は別だ…。いや、厄災だからこれも仕方ないのはわかるんだ、だけど…と処理しきれない感情を抱きながら、日々を過ごしていた。
 

そんな中、その知らせは突然やって来た。

2020年5月26日。THE BACK HORNの山田将司が、FM802主催の、「弾き語り部ーリモート編 オンラインライブハウス(仮)」に出演するという。

告知を見た瞬間、応募するかどうか、一瞬迷った。
「山田将司の復帰は、THE BACK HORNのライブで観たい。」
これが、私の正直な気持ち。でも、オンラインとは言え、また、Twitterで少し歌声を上げていたとは言え、手術後にしっかり歌う将司はこれが初となるのも事実。

「将司の歌声を聴きたい」

やっぱりそう思った私は、応募する事にした。
100人という当選枠の中、無事にチケット入手出来た私は、そのライブの為にzoomアカウントを作り、2020年5月26日を迎えた。

オンラインライブハウス(仮)と銘打っているように、当日、開場時間になると、心斎橋BIGCATの入り口から階段を登っていく映像が映し出される。
家にいながらにして、ライブハウスに行っているような感覚だ。
その後は、リモート編という事で、LAMP IN TERRENの松本大さん、GLIM SPANKY松尾レミさんという順番でzoomで繋がっていく。
お二方とも、弾き語りとは思えないくらい熱のこもったパワフルな歌声と演奏で、初めて聴く音楽でも楽しんでいる自分がいた。
 

そして、いよいよTHE BACK HORN山田将司の登場ー。
そこでスマホの前なのに、少し姿勢を正す自分がいた。それくらい、緊張していた。

画面に映った将司は、少し頬が痩せていたような気がした。
それでも、歌声は優しく、力強かった。

1曲目の「きょう、きみと」は弾き語りにピッタリな、しっとりとした曲だ。CMのタイアップとして使われ、当時、CMで流れる度に嬉しかったな〜とか思い出しながら聴き入る。

山田将司自身も、久々の歌声披露しかもオンラインという慣れない環境という事で、少し緊張していた気もする。
でも、その歌声は、紛れもなく、私が大好きな山田将司そのものだった。
「復帰の場はライブハウスで、THE BACK HORNがいいな」そんな風に思っていたが、将司が歌う事で元気になれるなら、ここで少しでも何か手応えを掴めるのなら、それも良いんじゃないのか、少しずつ変わっていく気持ちと、何よりも、「これは生配信であり、今この時間の将司の生の歌声を聴けている」その事実で胸がいっぱいだった。
zoomを使用しているものの、視聴者の姿は映らないので、気持ちはチャットに残すしかない。
私を含め、その日、参加出来たファンの「おかえりなさい」が沢山並んでいた。

2曲目は「月光」
普段、ライブで頻繁にする曲ではないので、画面には驚きの声が並ぶ。将司が何を基準にこの曲を選んだのかはわからないが、曲中の
「道を照らせよ月光 何もかも怖くはない
そうさ あなたが居るのならば踏み出そう今」
を勝手に将司やTHE BACK HORNの状況に照らし合わせて胸が熱くなる。
その後は、視聴者へ「元気にしてる?長い自粛で大変だと思うけど、乗り切っていこう」といった感じのMCを挟んで、3曲目は「冬のミルク」。
20年以上経っても、飽きない・色褪せない名曲には、「本当の声で僕ら歌ってんのかな」という歌詞。
事務所(レコード会社?)の会議室で座って弾き語りをしているその歌声は、もうマイクなんて必要ないんじゃないかと思うくらいに力強く、時折、壁に頭をぶつけるんじゃないかというくらいに、身体を揺らしながら歌うその声は、山田将司の魂の叫び声だと感じた。

チャット欄も沢山の温かい言葉で埋まっていた。
この声が、私達の想いが、直接伝わればいいのに。
将司の歌声は今にも画面を突き破ってきそうなくらいに届いているのに、私達の声を直接聞いてもらえない、画面の向こうに声をかけられないのがもどかしい。
そんな気持ちを抱きながら、最後の曲。

嘉納昌吉さんのカバーで、「花〜すべての人の心に花を〜」
この曲も、沢山の人が辛い状況にある、今の世の中に寄り添ってくれる強く優しい歌だ。
「泣きなさい 笑いなさい
いついつまでも いついつまでも
花をつかもうよ」

泣いてもいいし、笑ってもいい。泣いた後には笑おうよ。どんな生き方でも、生きてさえいれば、そんな自分自身を肯定してくれる。そんな器の大きさがこの歌にはあって、その壮大なメッセージを山田将司が届けてくれた。

それは、カバーに限らず、THE BACK HORNが今までの音楽やライブで届けてきてくれた「心」だとも思う。

将司はFM802の樋口さんとのMCの中で、「まだバックホーンだった?大丈夫だったかな?」と軽い穏やかな口調ではあるが、少しドキっとするような発言をしていた。音楽雑誌のインタビューでも、今まで抱えていた複雑な心境を吐露していたので、この日まで不安がなかったわけがない。
でも、この日の歌声を聴いたファンは、少なくとも私は、「正真正銘、THE BACK HORNの山田将司だったよ。」と強く強く思った。

そして、貴方が、将司が、最後に2019年の年末ライブで「帰る場所ならTHE BACK HORNにあるから」と歌ったように、私達ファンの帰る場所もバックホーンのライブハウスにあるので、次に会う時は、是非ライブハウスで。そして、全力の「おかえりなさい」を言わせてください。

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