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Stand By 「You」

Official髭男dismと、私と、音楽とのエモーショナルディスタンス

音楽って楽しい。
それは果たして本当なのか。
 
 
 

子どもの頃習っていた、いや、当時は自分の意思ではなく習わされていたピアノ。
毎回凝りもせずに、練習をしないままレッスンに行っては先生に叱られ、呆れられていた。
 

高校時代に所属していた吹奏楽部。
大学時代に所属していたオーケストラ。
練習が足りないと先輩に怒られたり、続々と部員が辞めていったり、どうしても出来ないフレーズがあって悔しくて泣いていた。
 

過去の音楽との接点を振り返ると、何故か良くない思い出が真っ先に思い出される。
 

ーーもしかして音楽って楽しくないんじゃないかーー
 

今になって思い返すと、私の心の中には自分でも無意識のうちに、音楽に対するそんな疑いの念が長年蓄積していたんだと思う。
 

しかし、2018年10月、その疑いは消え去る事となる。
 

当時ヘビーローテーションナンバーとして選曲されていたその曲は、職場でいつも聞いているラジオから突然流れてきた。
 

音が跳ねるピアノのイントロ。小気味良いハイハット。
ハスキーで抜けの良いボーカル。耳馴染みの良いメロディ。重なるコーラス。
 

ゴスペルの要素を含むこの曲は初めて聴く私でも思わずリズムをとりたくなった。
手を叩き、体を揺らし、声を出したくなった。
 

頭のピアノの1音目からフェードアウトして終わっていく最後の1音までの間、
このバンドのメンバーと同じ空間にいるような、自分も演奏者の1人になったような、不思議な一体感を感じた。
 

いつもは「流れているのが耳に入る」程度のラジオだが、気付けば仕事をする手は完全に止まり、
この曲の1音1音を、歌詞を「耳を傾けて聴き取ろう」としていた。
 

何だろう、この感覚は。
久しぶりに心が躍った。
 

これまでどんなに良いと思える音楽と出会っても、「音楽って難しい」「音楽って苦しい」「音楽って悔しい」という思考がどうしても先行してしまっていた。
 

しかし、この曲と出会ってから私と音楽の関係性は変わり始めた。
いや、実際は振り出しに戻ったと言うべきだろうか。

「音楽ってワクワクする」
「音楽って幸せだ」

初めて音が出せた時、初めて曲が弾けるようになった時、大勢で音を重ねてその音がピタッと合わさった時、人前で披露して多くの拍手を貰った時…
その時々に感じてきていたはずの、いたってシンプルなその感情を私はずっと忘れていただけだった。
 

それを気付かせてくれたのが
「Official髭男dism」というバンドであり、
「Stand By You」という曲だった。
 

《どんなに凄い賞や順位より
君のそばに居られることが1番誇らしい》

《光溢れた夢の続きは君と共に》
 

この曲で登場する「君」には、「Official髭男dism」に関わる全ての人や物を当てはめる事が出来る。
 

「バンドメンバー」、彼らを側で支えている「家族」「友人」「チームスタッフ」、
長年彼らを応援してきた「ファン」、これから彼らと出会っていく「ファン」、
そして、彼らの中に流れる「音楽」そのもの…
 

「君」に誰を、何を当てはめたとしても、
彼らと「君」との強い繋がり、絆を感じる。
 

この曲を私が初めて聴いた2018年10月、彼らと私の間に絆と呼べるものはまだ皆無だった。
 

それでも、この曲を通じて、彼らは私の目の前に何の前触れもなく現れ、気付けばすぐ隣に居た。
 

今思えば、それは驚くべき距離の詰め方だったように思う。
現実において実際にそれをされようものならば、元々人見知りでパーソナルスペースが広い私は発狂してしまうレベルだ。
 

しかし、この曲における彼らの距離感には一切の無理はなく、
まるでお互いが幼い頃から知っている幼馴染みのような顔で、
気付いたら真横に彼らが居たのだ。
 

それが全く不快ではなかった。
むしろ隣に居てくれる事がとても心地良かった。
 

そして、初めて彼らのワンマンライブを観た時、その感覚は更に強まった。
 

あれ程までに多幸感に満ち溢れた、その場にいる誰もが笑顔になれる、《瞬きも忘れるほどの幸せ》なライブを観たのは初めてだった。
 

中でも印象的だったのは、
ステージ上の彼らがその場にいる誰よりも楽しそうだった事だ。
 

「この場にいる皆と音楽を通じて、一緒に時間を過ごせる事が嬉しくてしょうがない」
そんな顔をして演奏していた。
それは彼らの作り出す音の1つ1つにも全て表れていた。
 

「Stand By You」を初めてラジオで聴いたあの日に感じた、不思議な一体感を
ライブではこの曲のみならず全編において身を以て体感する事となった。
 

そして、ステージ上の笑顔と客席の笑顔、クラップとシンガロングする声の大きな波の中で、私はこう思ったのだ。
 

ーー彼らはきっと誰も置いていかない
彼らの音楽は私のすぐ隣に居てくれる

《君と歌になる》《君と明日へ行く》と高らかに歌ってくれる彼らにとっての「君」に、私も胸を張ってなりたいーー
 

インタビュー等で「今後の目標は?」という質問に対し、
Vo/Pfの藤原氏が「1日でも長くこのメンバーとこのバンドを続けていきたい」と答えるのをこれまで幾度も耳にした。
 

一ファンとしてこの言葉がどんなに嬉しい事か。
 

頼まれても最早離れられる気がしないが、
この言葉を実行し続けてくれる限り、私は勝手に彼らの隣に居たい、と願う。
 

一ファンとして近過ぎず、遠過ぎず、彼らにとっても私にとっても心地良い距離感で
この先も彼らの隣に居られたら、と願う。
 

音楽の豊かさを、高揚感を、温もりを、
そして、音楽の楽しさを常に伝え続けてくれる彼ら4人の隣に。
 
 
 

最後に、過去の私に向けて、今、大声で叫びたい。

「Official髭男dism」の音楽って楽しい。
それは間違いなく本当だ。
 
 
 
 

※《 》内はOfficial髭男dism「Stand By You」歌詞より引用

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