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失意のどん底から這い上がる[Alexandros]のチカラ

彼らが生み出してきた曲と、リモートアルバムと、無観客生配信ライブのこと

コロナウイルス拡大による外部環境の著しい悪化に伴って会社の経営が傾き、私も6月末で解雇されることになった。
いわゆる宿泊業に属する業界で、新型コロナウイルス拡大による経済打撃を受けやすいのは覚悟の上だったが。営業再開に向けて、清掃や研修など身内でできる準備を進めていた。いつかこの闇を抜け出せる時が来ると信じていた。けれども残酷なことに力及ばず、施設は閉館することになった。
今までの努力は何だったんだ……。しかし誰を責めることもできなかった。

転職して、まだ3ヶ月だった。そのうち2ヶ月は休業していたので実質1ヶ月だけの仕事だった。
前の会社から逃げるように入ってきた今の職場。先輩たちは皆優しくて仕事も丁寧に教えてくれて、プライベートでも気軽に遊びに行けるぐらいの仲になれた。ここは自分に合っているかもしれない、仕事へのやりがいも感じつつあった。ようやく安心して暮らしていける居場所にありつけたと思っていた。その矢先に訪れた“解雇”という困難。

途方に暮れた。振り出しに戻った。いや振り出しどころかマイナスだろう。この先どうすれば良いのか。働いて稼がなければ。しかし私と同じく、新たに職探しをしなければならない人はたくさんいるだろう。このような状況で雇ってくれるだけの会社はあるのか。たとえ就職できたとしても、このご時世で雇い続けられるだけの経営力はあるのか。そもそも私は、同僚やお客さんが満足するだけの仕事をできるだろうか。

そして、周りと比べてしまう。私はこのような災難に見舞われているが中には今までと同じように職がある人、またこういう状況だからこそ頑張って活動している人もいる。もちろんその人もその人なりに困難があるのだろうが、私からするとその人たちは光って見えて、正直羨ましくも思う。
自分はどうやって生きていけば良いんだろう。出口の見えない暗いトンネルに迷い込んだようだ。
 

ところが不思議なことに上記のような不安は、解雇を告げられた翌日には気にならなくなった。完全に無くなったと言えば嘘になるが、泣き崩れていつまでも塞ぎ込んでいることはなかった。[Alexandros]のStarrrrrrr、以下のフレーズが頭をよぎったからだ。

「彷徨って 途方に暮れたって
また明日には 新しい方角へ」
-Starrrrrrr

給付金や雇用支援などの制度を調べたり、新たな職探しのサイトを見てみたり、頭に浮かんだ信頼できる人に相談したりと、気付いたら既に動いていた。今まで思い描いていた理想とは違う、厳しい現実。場所も時間も、今までとは全く違う働き方になるかもしれないがそれでも、私は私で「新しい方角へ」歩き出そうとしている。

「光の無いこの世界で/僕はどれくらい見えるの?
“次”が浮かんだその場所へ/ツキを頼らずに向かおう」
-ムーンソング

繊細なピアノやギターの音色が響くムーンソング。まさに私にとって今の状況は「光の無いこの世界」だ。先の見えない、不透明さが増していく未来。あの時代は良かった、などと昔の思い出に浸っている場合ではない。誰かが良い就職先を見つけ出してくれるわけでもない、そんな「ツキ」(運の良さ)を頼ることも出来ない。自分のことは自分が一番良く知っているのだから、自分が今まで見聞きした経験を踏まえて、「“次”に浮かんだ」ところへ向かうしかないのだ。希望の光は自ら作り出していかなければならない。現実逃避する暇を与えることなく、そう言い聞かせてくれるようだ。
 

そうして進んでいる中、助けになりそうな何かや、手を差し伸べてくれる誰かに出会うかもしれない。しかしその情報が間違っている場合もあるし、詐欺とまではいかなくても弱みにつけ込んで甘い汁を吸おうとする人もいる。ましてや、世界的にも大不況なのだ。みんな生き残ることに必死だ。世の中に溢れている膨大な情報網の中から取捨選択をし、自分で考え自分で動かなければならない。

「状況は最悪で/何もかも失敗した時こそ
化かされるな/化かしてやれ」
……
「I don’t believe in fairytales/I don’t need to go to your seminar
(訳:俺はお伽話なんか信じない/お前の怪しいセミナーには行く必要がないぜ)」
-I Don’t Believe In You

優しい励ましではなく、逆境を跳ね返すようなこのアグレッシブさが、今の自分には合う。挑発的というかカウンターというか、ピンチをチャンスに変えろと言わんばかりの曲調と歌詞。この曲は、一種のおまじないのような曲だと思っていた。しかし実際に災難の渦中に自分も巻き込まれて絶望的な状況に至った今でさえも、やせ我慢でもなく、本当に自分はやっていけそうな気がするのだ。
 

その上私には、楽しみなこともある。[Alexandros]の今この状況下でも発表されている、今後の活動。一つは、リモートアルバム「Bedroom Joule」の配信。最初に配信されたのは、Run Away。原曲は高音ボーカルで疾走感の溢れるサウンドが特徴だ。しかしBedroom ver.は、歌詞は全く同じであるが低めの落ち着いた声で、まるで枕元で囁いてくれているような、眠れない不安な夜に大きな安心感をもたらしてくれる曲になっている。
これから随時、配信曲が増えていくようだ。次にどの曲がリリースされるのか、そしてその曲がどのような編曲を経て出てくるのか。楽しみで仕方が無い。
 

そしてもう一つは、6/20(土)と6/21(日)に予定されている、[Alexandros]の無観客生配信ライブ「Party in ur Bedroom」だ。迷わずすぐ、チケットを購入した。[Alexandros]のライブは、観客が手を上げたり跳ねたり騒いだり、そしてシンガロングしたりと一緒に作り上げていく要素も大きいので、今回“無観客”という今までにない環境でどのようなことをしてくれるのか。そちらも非常に楽しみだ。

リモートアルバムに、無観客生配信ライブ。今このような状況でも、無責任な励ましや甘い言葉ではなく、ミュージシャンとして彼らが出来ることを彼らなりに実行して私たちにエネルギーをくれる姿勢にも元気をもらえる。
医療関係者や介護・養護施設の職員さん、生活必需品を販売してくれるスーパーやコンビニの店員さんのように、見えない怖さと向き合いながら働いている人もいれば、その年でしか経験できない文化・スポーツ行事が中止になって、心にぽっかり穴が空いたような悔しい思いをしている生徒さんもいる。そして私のように職を失い、新たに稼ぐ手段を見つけなければならなくなった人もいる。皆それぞれ、辛い思いをしながら現実と向き合っている。
対面でのライブという形で音楽を楽しむことは、しばらくはできないだろうが、「音楽」は、「曲」は、いつも側にいてくれる。ミュージシャンがこのような状況を予想して生んだ曲ではもちろんないだろうが、原曲にしても、形を変えて(編曲も含め)も、今の自分に最も適切な形で響いてくるのだ。

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