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改訂版・アイナに惹かれただけなのに…。

「ジェニーハイ」「ジェニーハイストーリー」を聴いて

 いきなり核心に迫るがこのバンドの成功は、すべて川谷絵音のずば抜けた作詞作曲能力に尽きる。

 川谷は複数のバンドで作詞作曲を手掛けているが、その才能の潤沢さは目を見張る。

 このバンドを知ったのは三日前。You TubeでBiSHを観てたらアイナのソロライブの映像になり、やがて「不便な可愛げfeatアイナ・ジ・エンド(BiSH)」に行きついた。僕はヴォーカルの人を観て「ウチの妹に似てるな」と思った。卵顔のたれ目気味。そしてアイナ登場。アイナはいつも通りアイナだった。いい曲だな、と思いジェニーハイで検索するようになった。

 ジェニーハイのメンバーを紹介したい。

 川谷絵音…プロデュース、作詞作曲、ギター担当。ジェニーハイ以外にもたくさんのバンドを掛け持ちしている。才能の塊。
 小藪千豊…ドラムス担当。吉本新喜劇最年少座長であり、このバンドを作った貢献者。最近では舞台が終わったらすぐにスタジオに入ってひたすら練習に励んでいるらしい。
 くっきー!…ベース担当。お笑いコンビ「野性爆弾」のメンバー。アートに造詣が深く、台湾での個展で数多い人たちを動員した。
 中嶋イッキュウ…ヴォーカル担当。女性。元々は激しめのロックバンド「tricot」の中心メンバー。ジェニーハイで吸収したことをtricotで活かす、と向上心が強い。
 新垣隆…キーボード担当。例の騒動の時に学生から「新垣先生をクビにしないでください」という署名がかなり集まった事でもわかるような人格者。

結成はまずBSの番組でバンド企画が立ち上がり小藪千豊がドラム、くっきー!がベース、中嶋イッキュウがヴォーカルアンドギターだったのだが、小藪が「どうせやるなら本格的にやりたい」と言い出して、川谷絵音にオファーをしたところ快諾され「キーボードが欲しい」と言う川谷の提案で小藪が新垣隆を引っ張ってきたのである。ここは結構重要で、もしイッキュウがギターを弾いてスリー・ピースでやっていたらあまり魅力的でなかったかもしれない。イッキュウは自由な方が跳ねる。

 そもそもなぜ僕は「ゲスの極み乙女。」や「indigo la End」にハマらなかったのか。「私以外私じゃないの」を聴いて「確かにいい曲だな」と思ったが触手は動かなかった。しかしジェニーハイを聴くと”大人”なのである。「ゲスの極み乙女。」「indigo la End」は悪い意味ではなく“若者”なのだ。ジェニーハイはメンバーがふてぶてしいくらい落ち着いている。

川谷は女性ヴォーカルに自分の歌を歌わせる方が合ってるように思える。ちょうど、モーニング娘。とつんく♂さんの関係だ。曲を授けられ歌うイッキュウは素晴らしい。まるで「フレデリック」を歌うパティ・スミス、「電話線」を歌う矢野顕子、はたまた「丸の内サディスティック」を歌う椎名林檎のようである。聴いてて心地よい。

「ジェニーハイラプソディー」のPVで銭湯を借りきって曲の最後でシャワーやお湯をメンバー間で掛け合ったり、「ジェニーハイのテーマ」でお互いの肩を掴んで軽く行進してるのを観ていると「仲いいんだろうな」ということが伝わってくる。

きっとスタジオでも笑いが絶えないのだろうな、と思ったが、皆、忙し過ぎて5人で合わせたことはほとんど無いそうだ。

結果、製作費は通常のアルバムの10倍ぐらいで、50万枚売れなきゃダメらしい。でも彼らの音楽は音楽偏差値70は超えてないとわからないんじゃないかな、と思う。あと思うのはカッコいい人が必ずしもルックスが素敵な人じゃないことも改めて感じた。イッキュウは置いといて他のメンバーはイケメンは川谷しかいない。でも演奏しているとみんなカッコいいのだ。

 曲のテーマだって一つも尊大ではない。恋愛を初めとして、ダイエット・タピオカ・結婚・前世・怠惰感・東京論などが並ぶ。特に結婚の、それもプロポーズのことを描いた「まるで幸せ」は会心の一撃である。ぜひ聴いて欲しい。

 それでは具体的にどんな曲がアルバムに収められているのか? 「シャミナミ」という曲の詞を見てみよう。

*とんでもない恋だった/とっても良い恋だった
泣けど笑えど最後でした/さっぱりなくなってった
泣いても戻らなかった/次もこんなに想えるでしょうか*

 抜群にキャッチーなメロディーに乗って普通の恋愛ソングのような歌詞。でもそれはまやかしなんですね。

マンション購入前の緊張感みたいな/って、知らないけど
でもそんな風なドキドキが/メガの単位で飛んでったんだ
あー疲れた/恋愛感情に憑かれた私に飽きた
折り紙付きの成功愛は/どこに落ちてるのよ/教えてってば

 いきなり川谷節炸裂。独特の表現で聴き手を一気につかむ。

*繰り返し*

でも/kiss youしたい/シャミナミナミダ

外見がシルエットしか見えない
平安時代の恋愛の方がいっそ私には合ってたのかもしれない
だって中身で勝負だから/ハートの分譲価格は億越えなのに
心が美人な私がモテない現代社会を嘆くこの歌

 完全に譜割りを無視した詞。歌いにくそうだけど、イッキュウは歌いこなしちゃうんだよな。

ここで私の担任の先生に話をスイッチ
BABY BABY BABY/とんでもない生徒の
恋の矢印を跳ね返したら/とんでもなく病んじゃった
と思ったら笑顔になった/それで逆に気になりだす僕の歌

 全編、川谷絵音の世界。ちゃんと聞かないと振り回される。

やっぱり
恋愛感情シーソーゲーム
シャミナミナミダ

 この「シーソーゲーム」とはMr.Childrenの曲のことか?

しかしジェニーハイのバンドとしてのコアになるのは、やっぱり新垣隆であろう。真面目さを突き詰めるとおかしみになる。ラップも、踊りも出来ない。声は小さい。けれどピアノを弾かせたら打って変わる。川谷が「将来、志村けんさんみたいになるんじゃないか」と言っていたのはコロナ前ながら鋭い。みんな大人なのと、それに新垣の才能を買っているので、いじり方に愛情がこもっている。表情は変えないが新垣は嬉しそうである。
 

「ジェニーハイのテーマ」というラップの曲でイッキュウは「私のこと知らん人は危機感感じてほしいくらいや」と歌うが、本当にこちらも危機感を感じている。これからジェニーハイを愛していくしかない。

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