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2017年9月5日

ユカ (24歳)
20
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

音楽で心は救われているのかもしれない

この夏のSKY-HIへ最大級のリスペクトを込めて

説教臭い曲も押し付けがましいメッセージの強い曲もあまり得意ではなかった。

辛いときに励まされるような明るい音楽も聴きたくない、かと言って感傷に浸るような音楽も聴きたくない。

音楽が日常の半分を占めるくらいには大好きだが音楽に自分のネガテイブな気持ちを、心を、救ってもらおうなんて思ってはいなかった。

我ながら天邪鬼だ。
 
 

誰かは言った”音楽で世界は救えないー”
 
 

2017年3月から全国を廻るホールツアー”WELIVE”を5月2日、3日の日本武道館2daysで締めくくったSKY-HIは直後から所謂”社会派メッセージ”を強く含んだ曲の発表が続いた。
 
 

いや、それだけではなく、多くの人が耳にしたことがあるであろう洋楽の最新ヒット曲のビートジャックや、ロックバンドとのコライト曲、一夜限りのセッションライブで披露された曲、等々
 
 

今こうして羅列しきれずに息が切れてしまいそうな程の新曲を毎週のように発表し、夏フェスに出演し、ライブをして、深夜のクラブイベントや通り掛かったサイファーへ飛び入る。秋からは日本全国、そして海外ツアーが始まるのだ。ファンでさえ情報を追うのに戸惑うほどの活動量は、本当にリスナー冥利に尽きる夏だった。

SKY-HIは一体いつ寝ているのか不思議で仕方がない。
 
 

そんな情報量の多すぎる中でも特に印象に残っている、衝撃を受けた曲がいくつもある。
 
 

5月リリースの「Silly Game」は

「ライブで2時間半かけてやっている音像が4分に凝縮されたような曲」で、「今の世の中は突っ込みどころが多すぎて、それを口にするしか無い。ただ、問題点をあけすけに言うことや、ただただ叫ぶことが正義であるとも思わない。」

本人はそうインタビューで語っていた。
 
 

“一声かけ綺麗に整列 外れモノを皆で軽蔑 側から見ればどうにもCrazy” (Silly Game / SKY-HI)
 
 

普段から社会問題について深く考えてこなかった、いや、目を背けていたと言ったほうが正しいだろうか。どちらにせよ自分には少し遠い話だと思いがちな内容のリリックが並ぶ。
 
 

他人事のような大きな問題より自分の目の前にある仕事や人間関係のことで頭は精一杯だったのだ。
 
 

しかし、そんな日々自分の日常に起こるパーソナルな話は、社会的なことを語る上で絶対に必要なことだ、と言うSKY-HIの言葉にハッとした。
 
 

もし自分の友達に降りかかるもっと身近な問題だったら?もし誰かの家族に、恋人の日常に、直結するような問題だったら?

そう考えると、確かに他人事だなんて言える状況ではないことに気付くのだ。
 
 

6月にSKY-HIのYoutubeのプライベートアカウントから発表された「キョウボウザイ」という曲もそうだ。
 
 

「私、バカだから政治わかんない」っていう人がもしいたとしたら、むしろそういう人にこそ、政治というか社会って凄く関わってくる。(中略)生きている以上は絶対にその社会とか政治とかの中に組み込まれているはずなのに、そこの話をしないまま過ごしていくのはものすごく怖いと思った」( HIP HOP専門ラジオ”WREP”「WALKING ON WAVES」より)
 
 

と自身のラジオ番組でも話していたが、正にそういうことなのだろうと頷きが止まらなかった。

タイトルを見ただけで自分には関係のないことだと思って敬遠することなく聴けたのは、SKY-HIがそんな話を今になって突然言い出した話ではなくて、もう何年も前からブレずにパスを投げてくれていたからだと思う。
 
 

8月にこれもまたSKY-HIのYoutubeプライベートアカウントから発表された「0570-064-556(Logic“1-800-273-8255”remix) 」は、

ラッパーのLogicが今年5月にリリースしたアルバム「Everybody」に収録された曲、「1-800-273-8255」のビートジャックで、10代の自殺率が上昇傾向にある米国で政府が提供している自殺防止ホットライン「National Suicide Prevention Lifeline」の電話番号がそのままタイトルになった曲だ。(SKY-HIのビートジャックのタイトルになっている「0570-064-556」という番号は日本の「こころの健康相談統一ダイヤル」)
 
 

SKY-HIは自身のTwitterでこのような言葉を添えた。
 
 

「9月の自殺対策強化期間の前にアップしました。 心が壊れてる状態って実は起こりやすくて、でも仕事とかはそんな状態でも出来てしまったりして負のループが起こったり、それ凄く危ない、って思う事が多いです。まずは「逃げちゃダメだ」って空気を変えたり、受け入れる姿勢を作ることが大切に思います。」
 
 

私自身は死にたいと思ったことなんてない。だがこれもまた、他人事には思えなかった。
 
 

また、先日SKY-HIはラジオ番組でこんなことを話していた。
 
 

「日本は自殺大国で年間に3万人くらい死んでいる。潜在的なところだと、もっと凄い数の人がそういう気持ちになることってあると思うし、俺もあるけど、もしこの曲が一瞬でも寄り添ったならば、やった価値はあるなと思う。俺がラッパーである意味はその瞬間に証明されると思っています。」( HIP HOP専門ラジオ”WREP”「WALKING ON WAVES」より)
 
 

この曲はきっと、会ったことのない誰かを、もしかしたら自分の身近な人の心に寄り添い、救うのかもしれない。
 
 

そう思うと、やはり、上に書いたような政治の話も自殺の話も、今こうしてSKY-HIが発信してくれる曲たちを自分の耳で聴くことが出来て良かったと心底感じるのだ。
 
 

押し付けがましいメッセージでもない。そして他人事のように思うこともいつの間にか無くなり、自分のことに置き換えて感じることが出来るようになった私は、いつの間にか大好きな音楽に救われていたのかもしれない。
 
 

重い話を長々と書き連ねてしまったが、SKY-HIの音楽活動の幅は凄まじい。ポリティカルな話題も、愛も、平和も、とんでもなくスキルフルなラップも、ロックも、ポップスも、ファンクも、電光石火のようなスピード感でリスナーに届けてくれる。
 
 

長いようでやはり今年も短かった夏がもうすぐ終わりを告げ、秋が来る。

四季を楽しむように、SKY-HIの音楽に触れ、ふといつかこの怒涛の夏を思い出し、意地を張ってまだほんの少しだけ認めたくない天邪鬼な私の頭に浮かぶ言葉はきっと、

「音楽で誰かの世界は、自分の心は、救われているのかもしれない」だろう。

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