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今だから、マイケル・ジャクソン。

こんな世界を照らすのは、Kingしかいないんだ。

「本当に大切なものは目に見えない」
星の王子さまがいつかそんなことを言っていた。そんなことは分かっているはずなのだけれど、今になると自分たちは何も分かっていなかったんじゃないかと思う。

誰もが知っての通り、世界は今混乱の真っ只中にいる。2020年という何とも区切りのいい年が始まる直前まで、自分たちは期待と希望に浮き足立っていた。2010年代に出たお気に入りのアルバムを聴き返してみたり、オリンピックを目の前にして商業施設はどんどんオープン。世界と日本、というか自分はもっと距離が縮まるはずだった。

それが縮まるどころか、突然自分ひとりでいることを強いられるようになるんだから、本当に先のことは分からない。オープン直前・直後で閉まった建物は、今となってはただの味気ない灰色の箱である。
当たり前のこと程、失ってから当たり前じゃないことに気付く。こんな当たり前なことは、実家を出て母の手料理を食べれなくなった時、トイレットペーパーを自分で買いに行った時に、母のありがたみと同時に学んだと思っていた。

マイケル・ジャクソンは、自分たちにとって贅沢な「当たり前」だった。

彼がまだ小学校に通っている歳では、学校ではなくレコーディングスタジオに通っていて、既に4曲連続全米1位を獲得。ハロウィンの時期にテレビをつければ、”スリラー ”のラストのヴィンセント・プライスの不気味な笑い声と有名な赤いジャケットが目に飛び込んでくる。彼に対するゴシップがそこら中にあったのと同じくらい、ムーンウォークもそこら中に溢れていた。
「世界一有名だった」と言うと大袈裟に聞こえるかも知れないけれど、実際彼ほど子供もお年寄りも分かる人物が他に思いつかない。知名度でミッキーマウスとタイマンを張れる唯一の実在した人間だったと思う。

自分がマイケル・ジャクソンのことを本当の意味で知ったのは、彼が亡くなった2009年のことだった。
ミッキーマウスが死なないと考えるのと同じように、まさかマイケルが死ぬなんて誰も思わなかったのだろう。どれだけ時間は経ってもその衝撃は大きく世界に残っていた。だから当時11歳だったミーハーな自分は、彼の存在を無視出来なかった。当時ディズニーランドで復活上映していたマイケル主演のアトラクション、”キャプテンEO”で彼が叫ぶと同時に踊り出した瞬間、身体が何かに打たれた感覚を覚えた。
それから気づいたら、その衝撃から10年経っていた。そして今ロサンゼルスに居て、ダンスをしている。未だにマイケルになりたくて。

彼のアートに人生を変えられた自分だから思うことだけれど、今こそ自分たちはマイケルを求めている。
彼のようなカリスマを。人道家を。活動家を。ミステリアスを。そしてエンターテイナーを。

例えその時の世界情勢がどうであろうと、スタジアムの中では老若男女、あらゆる人種や文化を持った人たちが一斉に彼の音楽を浴びる。そこにあるのは、愛と希望。
最新の舞台の上で太陽よりも輝く照明をバックに、彼はその空間を完全に司っていた。魂を確実にすり減らしながらも、彼は歌い、叫び、踊り、表現し続けた。
そこで彼は、「白か黒かなんて関係ない」(”Black Or White”)と、「世界を癒そう」(“Heal The World”)と、「世界をより良くしたいなら、鏡の中の自分から変えよう」(“Man In The Mirror”)と、本気で歌っていた。
世界中どこでも、その曲に合わせて人々は歌い、踊り、手を取り、繋がっていた。

テレビの中からも、彼は表現し続けていた。
狼男になりながら(“Thriller”)、本物のギャングを従えながら(“Beat It”)、重力を無視して傾きながら(“Smooth Criminal”)、ブルックリンの地下鉄で、無数のベルトのバックルを響かせながら(“Bad”)、映像と音楽で人々を驚かせ続けた。そしてその根本で、常に愛と平和の心を持って周りの人々や自然に接することを教えていてくれていた。
彼が発し続けたそのメッセージを、自分たちは当時本当に理解していただろうか。

そんな彼がもし今生きていたなら、一体何をしたんだろう。どうやってこの混沌と混乱の世の中を、一つにしていただろう。残念ながらもう、その答えを知る術は自分たちにはない。だけど彼の遺してくれたアートは、確実にある。
まだ誰も経験したことのない問題が世界に余りに多過ぎて、今は自分に世界のために何が出来るかなんて、そんな大それたことは分からない。
だけどきっと、彼のアートと一緒なら、周りと世界に少しだけ優しく出来る気がしている。

今は星になった王子、というか王”King Of Pop”は、「目に見えない大切なこと」を今も自分たちに教えてくれているんだ。

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