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2017年9月7日

豊島ももこ (27歳)
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ユニゾンは王道ではない!邪道のバンドなのだ!

ロックンロールのバトンを継ぐ希少なバンド UNISON SQUARE GARDEN

ユニゾン・スクエア・ガーデンは邪道である。

ユニゾン・スクエア・ガーデンは王道と思われている。たしかにそうだ。武道館を全方位に開いてしまってもチケットはソールドアルト。カラオケランキングでは「シュガーソングとビターステップ」が上位に入り続けている。おそらく今もっともチケットが手に入りにくいバンドだ。私も落ちたー。ヒュー。

しかし、ユニゾンは実は邪道のバンドだった。
私はユニゾン以前のロックの流れをちょっぴり体感している。それを私なりに示したいと思う。

人々から「王道」と言われるバンドがある。ある時代ある時代にそれらが現れ、まるでリレーのバトンのようにロックンロールをパスしていく。RCサクセション→ブルーハーツ→ミッシェル・ガン・エレファント→GOING STEADY→エルレ・アジカン・バンプ・ などなどetc…。邦ロックの王道バンドがいる(ザックリです。すみません)。

彼らの特徴をむりやり考えると「分かりやすさ」だ。1度や2度聴けばメロディーが頭に入って、カラオケで歌詞字幕さえあればすぐに歌うことができる。対して、ユニゾンは「分かりにくい」。言葉の切り方や曲のキメの当て方など、何度も聞かないとカラオケで歌えないのだ。

インタビューを読むと彼らはリスナーの事を熱心に考える。しかし、カラオケで歌う人のことは一切考えていない。というのも、今はフェスやシェアの時代で、みんなと仲良く連帯していく事が重要とされている。バンドに求められているのはフェスやカラオケで「皆」で一緒に歌える歌になっているということだ。アイドルやロックバンド、またはヴィジュアル系が盛んに「WOW WOW」「AH- AH-」とか云う歌詞をここ数年乱発してきたのもそれが要因だと考えられる。歌を知らなくともとりあえず歌えてノレるからだ。

さらに云えばステージで手を叩く仕草をして手拍子を要求したり、「踊れー」や「歌ってくれー」「こんなもんかー」と煽ったりする。目に見える一体感を作ることが今の時代のバンドの「王道」なのだ。ただ、ユニゾンは死ぬほどそれを、やらない!
 

ロッキング・オン・ジャパン2017年9月号のインタビューで作詞作曲を行なう田淵は新曲についてこう語る。

「全然いいこと言ってる感じもないし、外から見ても意味わかんないだろうし、聴く人によってすごい解釈が…(略) 、(今回の曲に)達成感がすごくあるなあ。でもそれは、人からあんまり理解されないだろうなっていうのも全部内包してこの感じなんですよね。 『わかるかな?わかんねえだろうなあ』的な」
 

さらに、バンドとしてリスナーとの関係性はどうあるべきかについてはこう言う。

「お客さんと共依存みたいになるのが、たぶん僕は一番気持ち悪い」
 

彼らは好きなバンドにザ・ブルーハーツやザ・ハイロウズを挙げてきた記事を読んだことがある。そのバンドたちもリスナーが要求するものにドップリと浸からず、「自分たちは自分たちのやりたい事をやる。よかったら付いてきてくれ。無理して俺たちに付き合う必要はないよ」といった感じだ。田淵の発言から察するに、ユニゾンもそのスタンスなのだ。
 

まとめると、今の時代は皆で歌える事や一緒の動作をリスナーと共有していくことがバンドの「王道」である。ところがユニゾンは歌をとくに分かりやすくしないし分かりにくいし、人と一緒に盛り上がる事が良いと考えていない。ユニゾンのあり方は実は「邪道」なのだ。
 
 
 
 

さて、話はそこで終わる。だが1つの疑問に私なりに回答したい。なぜユニゾン・スクエア・ガーデンに「王道」を感じてしまうのか、である。
一見無関係ように思えるかもしれないが最後にちゃんとユニゾンに繋がるので、少々お付き合い頂けたらありがたい。こんな話がある。アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤が以前「今でこそ僕らはロックの王道みたいに言われるけど初めてフジロックに出たときブーイング凄かったからね」とインタビューで語っていた。

ロックといえば暴力性や不良性があってこそという考えが根強かったのが00年代中期まであった。轟音ギターとディストーション声のミッシェルガンエレファントは歓迎された。今でこそ「王道」と感じてしまうがアジカンはその当時のロックシーンでは邪道だったのだ。

それを考えればユニゾンのギターとボーカルをやっている斎藤の声はいわゆるロックぽくはない。ただ、じゃあロックっぽさを追求してロックぽく歌ってそれがうまく出来なかったらロック辞めるべきなのかっていったら そうじゃないのは当たり前である。ただ、ユニゾンのボーカルというのはある世代からするとロックバンドっぽくないのだ。彼らはロックシーンにおいて全く王道ではなかった(1stアルバムはロックぽさを意識してたと思う)。

うるさいロックおじさんが根強くいる時代に彼らは切り込んできた。これは姿勢としてとてもロックではないか。上の世代の価値感に従わず逆らい置いてけぼりにして、若いリスナーをひたすら納得させ突き進んでいった彼らの姿はまぎれもなくロックンロールバンドだった。そもそもロックおじさんや時代に合わせても仕方ない。

邪道と王道は対極にあるのではない。ロックにおいてそれは重なり合っている。邪道を行かなかった者に王道はない。最初から王道とはありえないのだ。それはただの世間の流行りに「乗った」だけだからだ。王道ではない自分達をそのまま打ち出して世界を納得させていくことが実は真っ当なロックの王道である。

ユニゾンは流行りに乗らずに自分たちの信じる道を突きすすむ。結果的に邪道といえるその行為こそが実はロックンロールのバトンを継いできた偉大なロックバンドたちが行ったことなのである。つまり、ユニゾンは現代でロックンロールしてる数少ないバンドなのだ。

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