3898 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

シンプル is best

星野源 「折り合い」

 「Snow Men」や「Pair Dancer」「Nothing」などビートが印象的な曲は、星野源の楽曲の中でも真骨頂といえるくらいにおしゃれでカッコいい。今まではバンド演奏、コーラス、ストリングスが重なり、打ち込みがアクセントになっていた。けれど、6月19日に配信がスタートした「折り合い」は、ギターやベース、ストリングスも削られ、打ち込みのみのビートがメインで、イントロとサビに電子ピアノが入ってくる形で構成されている。極限までシンプルに仕上げたサウンドに惹きこまれた。
 サビでは〈愛しているよ君を〉と倒置法で熱い感情が綴られている。2018 年に発売された「Pop Virus」でも、<君を愛してる>というド直球の表現はあるが、「愛してる」を絞り出すような歌い方が印象だった。けれど今回の「愛しているよ」は低音でクールに歌われていることで、驚くほど自然に耳に届く。「愛している」がキザな格好付けの言葉ではなく、「愛おしい」という感情を最もシンプルに表現できる言葉なのだと気付かされる。夏目漱石が「I love you」を日本人はそんなこと言わないだろうという理由で「月が綺麗ですね」と訳した都市伝説を聞くけれど、もう日本人も「愛している」って言えるじゃん、言おうよって思った。
 「折り合い」のリリースと同時に投稿された星野源のインスタグラムストーリーには、「コロナ禍で生まれたラブソング」と書かれていた。コロナという今まで経験したことがない非常事態の中で、日常が失われる不安、浮き彫りになる孤独。そんな状態でも、日は巡り誰かの誕生日はやってくる。腹は減り、眠くもなる。喧嘩して仲直りする。
 この曲は、忙しい日々の中で埋もれてしまっていたこのシンプルな営みだけで、案外人は生きていけるのだと教えてくれる。結局「シンプル」こそ、かけがいのないのものなんだろうな。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい