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水星にでも旅に出ようか

君とtofubeatsと

あるきっかけがあって何年前かの冬に出会った君に、僕は一目で恋に落ちた。

育った環境もルーツも年齢も違う、僕と君の間には共通項はほとんど無くて、それを作るために必死だったのをよく覚えている。

「どんな音楽聴くの?」
君を目の前にすると思考力が著しく低下してしまう僕が捻り出した必死の一言だ。
君は「tofubeatsとかかな」と教えてくれた。
何故だかおすすめを訊いても教えてもらえなかったので、すぐにYouTubeで検索した。
そして最初に出てきた曲が水星だった。

「君は知ってるかい?踊らな死ぬことを」(tofubeats「水星 feat.オノマトペ大臣」)
この歌い出しで一気に僕の世界は引き込まれた。

それまでの僕にとっての音楽=ロックであり、音に乗るということは理解できても、踊るという感覚は無かった。とはいえ、その時僕は27歳。やはりまだまだ踊り足りない歳だったのだろう。
昔クラブが摘発されたことを報道するニュースなどを見ていた記憶もあり、音楽で踊るという発想を知らず知らずのうちに敬遠していたのかもしれない。

他にも何曲か聴いてみて、すっかりtofubeatsのファンになってしまったことを伝えたら、君はとても嬉しそうだった。

ほどなくしてtofubeatsが出演するイベントに君から誘われて、京都metroに行った。胸を高鳴らせる音を紡ぎ続けるtofubeatsに、楽しそうな笑顔で踊る君。君もtofubeatsも、もっと好きになった。

音楽は不思議だ。
人と人の距離をぎゅっと近づけてくれる。
全然知らなかったりなんとなく距離があった音楽でも、きっかけ一つで、それまでずっと胸の中にあったかのように一気に近づく。

その後も2人で色んな音楽を聴いて、ライブに行って、思い出を作った。

君は今までに出会った誰より自由だった。
音楽だって楽しみ方は自由で、リズムに乗って首を振る人もいれば、踊らな死ぬくらいに音楽を楽しんでいる人だっていてもいい。
それまでの僕はきっと見えない何かに囚われていた。
君と出会ったことで色んな世界が広がった。

最後はあっけなくて儚かった君との関係だったけど、きっと君が教えてくれて好きになった音楽と、君との思い出はずっと胸の中にある。
いつかみたその先に何があるのか、僕もそろそろ探しに行こうと思う。

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