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いつか必ず、ライブ会場に集まれる日が来ると信じて

[Alexandros]が見せた渾身の生配信ライブParty in ur Bedroom

[Alexandros]のリモートアルバム「Bedroom Joule」は6/21(日)0時の配信リリースに加えて、8/26(水)にCD盤としても発売されることになった。その発表と同時に公開されたティザー映像では、どのような状況においても、面白いこと・驚くことを出していく[Alexandros]のスタンスを再確認できたように思う。過去のライブを映像で振り返りながら、このリモートアルバムを作成するに至った背景や、作品に込めた思いもメンバー自身の声で語られていた。

新曲rooftopについて川上洋平(Vo. Gt.)さんは、人にとって一番身近な「恋愛」をテーマに、他人には言えないかもしれないパーソナルな部分を綴った曲で、お客さんに向けたラブソング、とも語っていた。人に会えないこの状況だからこそ、“直接”、人に会って触れ合いたい……それはライブにも言えるだろうと、率直に今の心境を込めたようだった。
〈古ぼけたスタイルで 僕は君を愛していたい〉。アフターコロナと呼ばれる世界かもしれないが、やはりライブで、あの場所であの時間を、音楽を愛する仲間と共有して得られる感動は、リモートでは体験できないこと。あのライブを復活させたい、そのような強いメッセージとして受け取れた曲だ。
 

そして6/20(土)の夜20:00より、生配信ライブ「Party in ur Bedroom」が始まった。約半年ぶりのライブ。「チケットを買って観てくれている人がいる以上、無観客とは言いたくない」「皆さんのご自宅に行きます」と、“有観客”ライブだと意識していることを川上さんは事前にラジオで語っていた。
定刻より少し前、視聴ページにログインするとBedroom Jouleに収録されている音源がオフコーラスで流れていた。画面越しに見えるスタジオは一回り狭く感じるが、床にはおしゃれなラグが敷かれ、小さなテーブルの上にはキャンドルやマグカップなども置かれており、自宅のBedroomに彼らが来てくれるのを心待ちにしているような気分だった。本当にこれからライブが始まるのだと、わくわくするようなセッティングだった。

序盤はリモートアルバム「Bedroom Joule」に収録されている曲から披露された。冒頭は、静かなアコースティックギターのアルペジオから始まるStarrrrrrr 。続いて、Run Away。原曲と違って低音の落ち着いた声に、大きな安心感を覚えた。この2曲は既に配信がスタートしており何度も聴いていたが、それでも、ライブで届けてくれた生音にはうるっと来てしまった。
間にはMCをはさみ、メンバーの目の前にある画面に書き込みが表示されることを説明してくれた。リアルタイムの書き込みを気にしながら、川上さんと磯部寛之(Ba.)さんがにこやかに会話する姿は観ているこちらもほっこりする。
その次のLeaving Grapefruitsは、川上さんが約20トラックもの声を重ねてできたという、声が主役の曲。ヘッドフォンで聴くと、本当に耳元でささやいてくれるような感触だった。歌詞やサウンドに一生懸命耳を傾けるというよりは、力を抜いてリラックスしていると勝手に流れてくる曲だ。
次は磯部さんがディレクションのThunder。雲がもやもやとかかってくるような効果音を背景にしつつも、リズム感のある音もあって小躍りしたくなる、自分だけの世界に入っていけるようにも思えた。
Thunderの後は磯部さんが書き込みを紹介し、白井眞輝(Gt.)さんの弾き語りから始まる月色ホライズン。ギタリストとボーカリストがコラボしたように、白井さんと川上さんがお互いを見つめながら披露する様子が印象に残った。二人も紹介していたように、夏を迎えるのにふさわしい、海を思い浮かべられる楽曲だ。しかし落ち着いただけではない、コーラスが重なり、優しさの中にも力強さを秘めたライブアレンジに仕上がっていた。
そして、雨の音から始まるAdventure。後半、原曲では「オオオ」とシンガロングするこの部分は「ラララ」と、一回り音の高い、子供時代の無邪気さを思い出すようなコーラスに変わっていた。

そして新曲のrooftop、最後は楽器をかき鳴らすような演奏で盛り上がり、既発曲のOblivionへ。それまで座って演奏・コーラスをしていた磯部さんも白井さんも立ち上がる。川上さんは何度もカメラのすぐ近くまで来て歌を届けてくれた。〈I’m interested in the future not in the past(興味あるのは過去じゃなくて未来だけだ)〉〈Seize the day(今を生きろ)〉」〈be strong,be brave(強くあれ 勇ましくあれ)〉と、過去に縛られず、今そして未来へと強く勇敢に動き出すことの大切さを教えてくれる様だった。
その後のBurger Queenではさらに音を響かせ、アウトロでは白井さんが大きく腕を回す動き。爆発力を感じる赤色の照明も入り、熱く暴れるライブの幕開けのように後半戦がスタートした。
続いてのFor Freedomはまさに「自由になりたい」という今の私たちの気持ち、そして彼ら自身の心境を表した曲にとらえられる。曲の後半では磯部さんも叫んで、画面越しの私たちに思いをぶつけてくる。

次はキャッチーでノリの良いドラムが響く。Dracula Laだ。「オンラインだからってシンガロングさせないと思うなよ!」「書き込むこともできるっしょ!」と、自宅ライブならではの煽り方で盛り上げてくれる。書き込みのタイムラインは「オーオーオーオー」のコーラスで賑わう。
そして落ち着く間も無く、非常に特徴のあるドラムソロのイントロが始まり、ギター、ベースと音が重なる。Waitress, Waitress! だ。演奏中はもちろん、最後の最後まで出し切るように各々の楽器を響かせてくれる。Dracula LaもWaitress, Waitress!もドラムの手数が多く複雑なリズムだがリアド偉武(Dr.)さんは前ドラマーの庄村聡泰さんの譜面をしっかりと引き継ぎ、再現してくれていた。

ステージ会場は一度暗くなり、しばらくの静寂に包まれた。ほどなくしてMCが入り、メンバーはライブをしているこの時の楽しさ・喜びをこぼし、観客の書き込みを読み上げてくれた。お互いの気持ちをみんなに共有するこの時間は、離れていても気持ちは通じているということを確かめるために必要な時間だと思う。

赤と赤のギターが並び、Mosquito Bite。長めのアウトロで観客のシンガロングを誘い、Bedroom ver.ではなく通常版のcityへ。そして本編最後は、ライブでは定番のKick&Spin。白井さんのフライングVギターと磯部さんのフライングVベース。ダブルのV楽器で、見た目も映える。川上さんもカメラの前でマイクを向けて、私たちに歌わせてくれる。限られたスペースの中でも、その興奮は十分に伝わってきた。

メンバーがステージから立ち去った後は、パフォーマンスを終えたばかりの楽屋での姿が映された。3月の青学でのライブで販売するはずだったタオル、そして翌日から販売が開始される新作グッズを、誇らしげに宣伝してくれた。

書き込みには溢れんばかりのアンコールを求める声。しばらくすると、聴いたことのあるメロディーが流れてきた。PARTY IS OVERだ。〈Party is over I’m not over〉。そうだ、Partyは終わった。しかし私たちは終わっていない。また新しく進んでいけるメッセージのように受け取れる。
そう長くはない間奏で、書き込みを読み上げた川上さん。後方に待機している1カポの白いジャズマスター。“Starrrrrrrある?”「さあ、どうでしょう!?」と視聴者とのやりとりを伏線に、PARTY IS OVERの弾き語りのアレンジをはさんで盛り上げ、最後は本当にStarrrrrrrをやってくれた。今度は冒頭に演奏したBedroom ver.ではなく、いつものライブでやるような、激しいStarrrrrrr。Starrrrrrrで始まり、Starrrrrrrで終わった今回のライブは感慨深いものだ。〈彷徨って 途方に暮れたって また明日には 新しい方角へ〉。この歌詞は変わらないものの、リリースされた当時と今の状況ではまた違った受け取り方ができるだろう。今のこの状況だからこその解釈もあるし、冒頭のBedroom ver.とも違うメッセージも込められているように思う。
 

こうした余韻に浸っているとあっという間に翌日の0時を迎え、Bedroom Jouleの配信がスタートした。同じBedroom ver.でも、今回のライブで披露されたものとリモートでレコーディングされた音源とでさらに違う曲もあり、新鮮さもあった。本当に彼らは、人を驚かすことが好きで、日々アップデートしていくことが好きな人たちなのだなあと改めて感じた。
 

もちろん、このようなリモートでのライブで満足するはずはない。Party in ur Bedroomという生配信ライブに、自宅で観るならではの新鮮さや面白さは十分にあった。しかし、寂しさや虚しさが全くなかったとは言えない。どんなに大きな拍手をしても、声を張り上げて一緒に歌ったとしても、それらの音を彼らの耳に届けることはできないし、彼らそして他の観客たちと近くにいることでつくられる熱量を肌で感じることはできないのだ。

だから…
〈When the world comes back また会えるように〉
いつか音楽を愛する者が同じ時間・同じ空間に集まり、感動を共有できる日が復活することを願う。

〈 〉内は[Alexandros]の楽曲歌詞の引用。

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