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ご賞味ください。

NICO Touches the Wallsが存在していたこと

「ご賞味ください。」
NICOの最後のアルバム「QUIZMASTER」が発売される前に、ラジオで光村さんがコメントしていた言葉。「NICO Touches the Wallsの新境地」「そして次のスタンダード」とも言っていた。自身のアルバムを聴いてもらうのに、「ご賞味ください」なんて使うの光村氏以外いない!!かっこいい!!と、私はその言葉に胸が高鳴ったのを今でも覚えている。
 

NICO Touches the Wallsの最後のアルバム発売とツアーファイナルからもう1年が経った。
昨年の5月ごろから毎週のようにラジオに出演したり、新曲オンエアの情報があると欠かさずチェックしていたあの頃が懐かしい。
私が最後に彼らのライブを観たのも、もう1年前。時間が過ぎるのは早い。

あるラジオで 18? が流れる前に、冒頭のコメントを残していた。
私は、いや、私たちは彼らのその次のスタンダードとなる新たな新境地へこれからも連れて行ってもらえるものだと思っていた。

現実は違った。
 

彼らが活動を終了すると発表して以来、私の音楽がアップデートされなくなった。
というか、出来なくなった。
NICOだけの音楽を聴いてきたわけでは無いはずなのに、他のバンドの新曲やライブを観るとどうしても重ねてしまってどうしようもなく悲しくなる。小さなライブハウスで陽を浴びる事は少ないけれど20年も続き、まだ先を見ているバンドもあれば、大きなステージに立って歌い続けたって15年で終わりを選ぶバンドもいる。あぁ、私の1番好きなバンドの新曲はもう聴けないのか。もう胸が高鳴ることは無いのか…と悲しくなるのだ。
 

「バンドは生き物だ」
いつか誰かがそう言っていた。その通りだった。
まさか自分の1番のバンドが終わりを迎える日がくるなんて思ってもみなかった。
誰だってそうだと思う。頑張って活動している姿を観て体感していたら、そんなこと思わない。でも、何が起きるかは分からない。だからこそ、行けるライブには行った方がいいと言われていることを自分の好きなバンドが終了してその意味を理解した。
 

行けなかったライブに不思議と後悔は無いが、NICOのライブに行きたい…とは今でも思う。
NICOを好きになって色々な人と繋がれたし、行ったことのない場所にも行けた。大切な友達も出来た。武道館に初めて行けたのはNICOが連れて行ってくれたおかげだし、大阪城ホールもビルボードもとても良い景色をみせてもらえた。後悔が無いのは、行けたライブでNICOが魅せる全てがちゃんと心の隅々まで満足感として行き渡っていたからだと思う。
自分のモチベーションが上がらない時、色んなことが全然うまくいかない時、ちょうどツアーが始まりライブに行って彼らの音を全身に浴びると、何もかも吹き飛んでいつの間にかやる気が出でいた。
 
 

コロナだから今はライブに行けない。とかではなくて、ライブに行きたいバンドがもうこの世に存在しないことが何より悲しいのだ。

「けれど音楽は残る」
これがどれだけ悲しくてつまらないか。形として残っているから、再生ボタンを押せば音楽は聴ける。でもそれだけじゃ満たされない。今までのライブの楽しさを知っているから、またそこに行きたくなってしまう。彼らの生の想いとその温度に触れたくなる。今はもう、存在しないが為にそれが出来ないからなんの張りも潤いもない、カサついた世界にいるようなそんな感じで日々過ごしている。
 

私にとって、どれだけこのバンドの存在が大きかったか。
この穴を埋める役はおそらく無い。 NICO Touches the Wallsの居場所はNICO Touches the Wallsでしか無い。NICOのいない世界をどうやって行きていこう?
とんでもない難題を残して消えた。その問いに上手に答えが出ない。大好きだったから、いない世界なんてあり得ない。既存曲が姿形を変えるあのアレンジはライブでしか聴けない。どんな表情で演奏しているのかライブでしか見れない。強味だった。 ライブも新しい音楽の提示もNICOにしか出来ない魅せ方だった。情報発信の仕方は少々器用貧乏だったが、そこも含め大好きだった。
 
 

彼らが残した最後のアルバム「QUIZMASTER」はオール新曲という形でNICOの幕を降ろした。まさかこれで終わるとは思っても見なかったが、この終わり方はNICOらしいっちゃNICOらしい気もする。一か八かの賭けだったのかもしれない。でも、このオール新曲のアルバム形態も新しいもの好きのNICOならではであり、「OYSTER」「TWISTER」「QUIZMASTER」と3部作揃えた集大成的な捉え方もできれば、NICOの原点でもある、いわゆる「青盤」「赤盤」「黒盤」を連想させることもできるからだ。

これまで彼らにはことごとく音楽の面白さを思い知らされてきた。次はどんなアレンジがくるんだろう?どんな新曲になるんんだろう?ワクワクしていた。
NICOの音楽の力を糧に、自分自身の明日を愛せるように頑張ろうとライブや音源を聴くたびそう思えた。今はどうだろう?
 

大好きだったからこそ、思うところはたくさんある。
ただ、15年もバンドを続けてくれたこと本当に感謝している。その15年の間にNICOに巡り会えたことにも感謝している。本当はもっともっと音楽で遊んでいて欲しかった。
彼らの今後の活動を応援したい気持ちもある。だけど…だけどやっぱりもう一度4人でステージに戻ってきて欲しい。彼らにとって象徴でもある「壁」その壁が4人で活動することの障害であってはならないのもわかる。でも…終わりを選ばなければならないほどだったのか。と、こちらも「?」が残る。

とはいえ私はNICO Touches the Wallsに出会い好きになれた事や、会話の中に出てくるただの「2個」が「NICO」に脳内変換されたりして笑いあえた日々を愛しく思うし、なによりNICOのファンであれた事を誇りに思う。今までたくさん遊んでくれてありがとう。とても楽しかった。NICOの活動は終わっても、確かにNICO Touches the Wallsが存在していたことと、残った数々の名曲が色褪せる事なく、新たなリスナーのもとへ届くことを願います。

「QUIZMASTER」が気になった人に勧める時、私はこう言うでしょう。
 
 
 
 
 
 
 

「NICO Touches the Wallsの新境地、ご賞味ください。」と。

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